渦男のジャズ道場

八王子の音楽教室ミュージックサロンア・ミューズのサックス講師 網 渦男のブログです。 サックスに関すること、ジャズに関することなどをまとめております。(旧さきこら)

昨晩は初めてのコーラスのレッスンをさせて頂いたのだが、
まず、感銘を受けたのはメンバーの意識でした。
本当に真剣で、その眼差しにこちらがウルウルと来てしまうくらい。
私は発声やボイトレなどはズブの素人なので、そっちの方は、
専門の講師にサポート、指示を頂戴しながらやりました。
曲が結構難しい曲だったので私がやった事は
Step1 スコア、アレンジの解説
Step2 各自の【基準】の統一
Step3 オリジナリティを見出すお手伝い
でした。

モチベーションと熱意は素晴らしいので
スポンジが水を吸うが如く、
摩擦ゼロで吸収していきます。すごいですね。

『スコア、アレンジの解説』は
初心者が多い事と、楽器ではなくコーラスと言う事で、
音楽用語、記号自体に疎いという点を改善いたしました。
また、スコアという設計図が有機的に作用して
サウンドしていると言う事をボンヤリでなく
はっきり耳で理解して頂きました。
これらは『理解』なので一瞬で済む作業です。

次の『各自の【基準】の統一』は
例えば全員の『スタッカート』のデフォルトのサイズ感、
質感、音色を合わせるという作業になります。
Aさんは『タッ』Bさんは『タンッ』Cさんは『トゥッ』ってのを
『基本、デフォルトはコレにしましょ』と決めます。
そうしないと『もっと丸く軽やかに』と支持しても
バラバラにずれるだけなので(笑)
コレを『テヌート』や『mp、mf、f、ff』など
必要な要素のニュアンスを全部合わせていきます。
これは多少厄介です。それぞれの脳みそにある
データベース(情報量)がバラバラですから。
歌謡曲しか聴いた事が無い人の『>(アクセント)』と
クラシックやジャズなど幅広い音楽を聴いてきた人のそれを
合わせる微調整は困難です。しかも頭にイメージできても
『発声、奏法』ではどうすればいいか?は
感覚で出来ちゃう人とボイトレの先生にやり方を教わらないと
出来ない人もいます。
この様な事はコーラスであろうがビッグバンドであろうが、
吹奏楽であろうが、オーケストラであろうが、
アマチュアであればみな同じ障壁があるのではないでしょうか?

そして三つ目の
『オリジナリティを見出すお手伝い』はもっと大変ですが
楽しく有意義な作業です。
そのメンバーでしか出来ない仕掛け、仕込み、サウンドを
探していく作業です。

これは大きく分けてセールスポイントを強調する作業と
ウィークポイントをカバーする作業があります。
熟練者やプロ相手のディレクションは簡単です。
指示を出すだけでできますから。

初心者、アマチュアはそう簡単にはいきません。
普通は全員が同じレベルになるように成長を促すやり方を
取るのでしょうが、私はそうしません(笑)
初心者はそんな急に上手くならないのが現実ですから、
(その人を特訓するという手もありますが)
またアマチュアでもプロには無い素晴らしい瞬間が必ずあるはずです。
そこにスポットを当てる方法もあります。
幕の内弁当のおかずが全部美味しくなくても良いではないか。
どこぞの弁当のシューマイと竹の子の煮付けが好きだけど
アンズは要らないと言う人もいるし、あれが良いのだと言う人もいます。
音楽の評価は人それぞれ。
同じ演奏を聴いて『雑だ』と思う人もいれば
『人間らしくてよろしい』と言う人もいます。
『雑』を数ミリある方向に傾けて『人間味溢れる音楽』にできたら…。
いいじゃないですか(笑)
私はそういうことをします。
全部キレイに整えて型にはめ込んだらmidiで打ち込んだ方が
パーフェクトな演奏が出来ますよ。苦労なく。
人間が音楽を作ると言うことは
『不完全な人同士』がお互いに理解し、認め合って
協力して、知恵を出して少しでも良いものを作る事だと思っています。
社会もそうではないでしょうか?
私は昨日の練習の最後にコーラスメンバーに
『歌が上手くなる事も大事ですが、このメンバーでなくては出来ないサウンドを
みんなで作る楽しさと喜びを財産としましょう』
と言い残して来ました。
Dream Voiceに幸あれ!













イタリアジャズ界ではもはや、トップミュージシャンとしての
地位を確立しているMax Ionatas氏のワークショップが
神保町のマーマデュークミュージックに於いて開催された。

私は一昨日のMaxの来日の歓迎の食事会に
光栄にもマーマデュークの宮武氏にお誘い頂き、
憧れのミュージシャンとの距離が縮まる至福のディナーとなった。
本日のワークショップもそれに続き、ご招待頂いての参加であった。

13:55の開催予定時間の前にすでに会場には参加者が押し寄せていた。
参加者がそろい、会場が手狭になってきたため、
各自楽器を出してケースは店の階段にと言う事になった。
私は今回は楽器を持参せず『聴講のみ』と言う形で参加したのだが、
本当にその選択は正しかった。
参加者の楽器はぶっ飛んでしまう銘器ばかりである。
私の20万そこそこの愛器を持っていったら果たして
何と言われるか想像すらしたくない(笑)


ワークショップの始まりはMaxのデモ演奏からだった。
Maxがリクエストを聞くと参加者から『But Not For Me』との声が上がり、
MaxはOKした。(サポートにベーシストが来ていたが名前は失念した)

彼のソロは『今日はどんな内容を話そうかな?』
と楽しそうに考えているようなソロであった。

最初はシンプルなコードシーケンスからコードを余裕をもって捉え、
短いモチーフを空気中にホーンで軽く放り投げると、
眉毛を上げながらベルでそれをキャッチして
リズムをトレースしたり加工したりしながら、また宙に解き放つ。
まるでサッカーのリフティングでも楽しんでいるかのようなプレイであった。

しかし回数を重ねるごとにそのフレーズは複雑化し、
コードシーケンスからモダンジャズの王道LICKへ、
その後にはモーダルなアプローチから
80年代のスティーブ・グロスマンのペンタトニックのアプローチ、
マイケル・ブレッカーのような90年代のコンテンポラリーなフレーズや
そして2000年以後のヘキサトニックやペアトライアド的な抽象的な
アプローチでのイン&アウト。
まさにこれだけメニューありますけど何にしましょう?的な演奏であった。
贅沢な演奏が終わるとMaxは何を話そうか?と聞いたのだが、
参加者からもこれと言ったリクエストがとっさには返ってこなかったので、
彼の方から
『皆さんはCメジャーの時にどんな音をプレイするかわかるかな?』
と質問した。

ある方が
『アボイドノートがFだという事は知っています。』
と発言した。

私より若いミュージシャンに見受けられたが
『アボイドノート』なんて伝統的で真面目な概念を待つ人が
若手にもいるのだなぁと少々驚いた。

その質問が吉と出てワークショップの前半のテーマは
まさに4度を抜いた『ペンタトニックアプローチ』となった(笑)。

有料のワークショップだったのでこの詳細は
ここで紹介することはできないが、大体は
バーガンジのそれとほぼ同じ内容だと言ってよいと思う。

素晴らしかったのは全員で8バースを回して体感させたという事だ。
理論だけではいけない。サウンドは経験し、味わって初めて血となり、肉となるのだ。
また、すぐに他人のアプローチを聴くのも良い事だ。
脳が新鮮な刺激を受けている内に発想が何倍にも膨らむからだ。

レクチャーは様々なコードへのペンタトニックアプローチについてと発展し、
一通り、実技を交えて解説し終わるとMaxは発展系として
多少アウトしたサウンドのペンアットニックやペンタトニック以外のフレーズの
運用をしてみせた。

冒頭のBut Not~のソロ後半部分のアプローチである。
Maxはこれらを自由に用いて『House』に帰れば良いと言っていた。
用はトニックに解決した時(など)にインサイドに戻ればよいというわけだ。
私はMaxがどのようにアウトするのか興味があったので質問させて頂いた。

と言うのも学生時代グロスマンやブレッカーをコピーしていて
グロスマンやジミヘンはペンタトニックのイン&アウトの遠近法
(つまりスケール(調性)の音がペンタトニックにどれだけ共通音が見受けられるか?
インサイドは5/5アウトサイドは0/5であるので12種類ペンタの距離が解る。)
を感覚的に耳でやっているように思えたのだ。
逆にトレーンやマイケルは計算してやっているように思えたのだ。

果たしてMaxは?
彼はFeeling&Hearingと言っていた。
良かった思った通りだった。私の好きなタイプである。
彼は感覚派だった。

その他にも沢山のレクチャーがあったが、
私が次にうれしかったことは
Maxが『Training Brain』と『Playing Brain』の話の時に
All The Things You Areでコードシーケンスを半コーラスやった後に
『Space!』と言ってしばらくなにも吹かない状況を作り、
『音をできるだけ減らすのだ』と言ってフレーズを減らしていった。
これはまさに私が昨日自分のワークショップでやった
コードシーケンスと『高倉健的アプローチ』と全く同じであった。
この瞬間、『私の教え方は正しかったのだ』
と心の中でガッツポーズを取ったのは言うまでもない。

後はMaxが『シークレット』と言っていたので秘密に致します(笑)
どうしても聞きたい人は直接私に聞いてくださいな(笑)














先日、サクラヤジャズクラブで
ワークショップを担当させて頂いて、
自分の中で課題が出来ました。

まだこのワークショップをキッカケに
『初めてアドリブが出来た』という方が
何人もいらっしゃるのですが、

特に先日は本当に気持ちよさそうに、
幸せそうにアドリブをなさっているのです。

『アドリブなんてとんでもない今日は見るだけで』
と初めは遠慮なさっていた方々が、

目をつぶって音楽に浸りきり、
まるで陶酔するかのようにアドリブに夢中になって、
終った頃には頬を紅潮させ

『今日は本当に楽しかったです!』
と仰った。

こういう『音楽の素晴らしさ』を純粋に感じている人たちに、
私はこれから
『ダイアトニックコードとは』とか
『ドミナントモーションとは』とか
小難しい理論なるものを
教えていかねばならないのだろうか?

アドリブという自由を謳歌している人々へ
『ルール』や『規制』を
強いなければならないのだろうか?

参加者が満足そうに演奏している姿を見ながら
私は秘かに悩んでおりました。

セロニアス・モンクは言いました。
『Jazz and Freedom go hand in hand.』
ジャズと自由は同義です。

演奏に於ける自由とは?
そもそも『自由』とは?

ルールが少ない事?

ルソーは
『人間は生まれながらにして自由』
と言い、
ヘーゲルは
『世界史とは自由の意識が前進していく過程』
と言いました。
なんかよく解りません(笑)。

英語の『Freedom』とは
『大らか』とか『わがまま』のような
能動的ニュアンスがありますが
『Liberty』は
『制約、制限が無い』という受動的意味合いです。

モンクに戻ります。
サクラヤのワークショップでも触れたのですが、
アメリカの公民権運動にジャズやブルースは
少なからず影響を与えました。
キング牧師の運動を黒人ミュージシャンは支援しました。
彼らこそ、常に音楽と言うフィールドで
自由を標榜し、日々戦っている人たちだったからです。

インプロヴィゼイションに於ける自由とは何か?
コード進行の縛りが無い事?
その行き着く先は『フリージャズ』です。
ジャズのメインストリームではありません。

では現代のジャズの第一線は何を志向しているのでしょう?
先日、来日して素晴らしい演奏を聴かせてくれた、
現代ジャズの巨匠、ハービー・ハンコックと
ウェイン・ショーターの演奏は所謂『フリージャズ』でしょうか?
違います。
彼らの演奏はコードもリズムも非常に複雑で
楽曲の難度も演奏クオリティも極めて高度ですが、
信じられないほど『自由』なものです。

彼らが教えてくれている『自由』とは何でしょうか?
それは如何なる局面、境遇に於いても、
自らの英知と技術を駆使して、
自分の信じた音を表現し、指標を示し、
共演者の共感と理解を獲得し、その世界を創造していく事です。
そしてその音楽は聴衆をも巻き込んで
共に新しい音楽、世界観、ビジョンを共有します。
彼らにとって自由とは創造の源泉であり、
創造過程のスタイル、メソッドでもあります。

ゆえに演奏に於ける真の自由とは、
『英知と技術によって自らが獲得するものだ』
と言えるのでしょう。
公民権運動がそうであったように。

さらに時にはルールより大事なものが有るのなら
ルールは二の次で良い事もあるかもしれません。
音楽には好き嫌いはあっても正解が無いのです。

モンクのように自分の表現したい音が、
ピアノという規制や当時の音楽理論に縛られて
表現できないのであれば
半音隣り合った音を同時に『不協和音』として
弾いてしまうという挑戦もするべきなのです。

子供は初めから文法通りの言葉は話せないかもしれません。
でも、初めから文法の正確さを要求したら、
失敗を恐れて話さなくなってしまうかもしれません。
クラシック出身の人がなかなかアドリブの一歩を
踏み出せないのは完璧さを意識しすぎ、
ミスを恥と思うように洗脳されているからです。

ジャズと言う新しい言語をマスターする為には
初めはルールを緩くして、何が言いたいのかを明確にして
極力単純に考えて、自由に表現させるのが第一段階でしょう。
次の段階は、十把一絡げの画一的な理論や手法を強制するのでなく、
その人その人の音楽観、世界観に合った理論、アプローチを見極め、
それを順序良く提供、提案していく事が、
その人の『スタイル』を構築する良き選択、早道となるのだと思います。

誰もが同じフレーズ集を覚えたらクローンロボットです。
『For You』の数だけのメソッドが必要です。
ワークショップを終え、そのような結論に達したので、
また新しい教本を書いてみたいと思います。
これは今までの日本には無いタイプのモノになると思います。 
乞うご期待!

                                                             


 

このブログでも何度か取り上げていますが、
私は『お笑い』が大好きです。
単に笑いたい、という気持ちもありますが、
『知的好奇心』が刺激されるので好きなのです。
音楽とお笑いは似ています。
どちらも人の想像力を掻き立て、楽しませるからです。

先日、ネットでビートたけしさんが
『唯一、負けを認めた芸人』
と言う事で『明石家さんま』さんの名前を挙げていました。
その理由にたけしさんは
『あのアドリブには勝てない、オレがツッコミに回るしかなかった。』
『人のミスも、自分のミスも、笑いに変えてしまう。』
と告白しておりました。
まさにさんまさんは『お笑いファンタジスタ』なのですね。

そもそもたけしさんとさんまさんは実は
『オレたちひょうきん族』が初共演だったそうです。

『オレたちひょうきん族』は当時最高視聴率50%を記録したTBSの「お化け番組」、
ドリフの『8時だョ!全員集合』を超えるものを
とフジテレビがあえて視聴率ノルマを廃し、
『制作者が作りたいものを作る』と大胆な路線変更をして出来た番組でした。

たけしさんの証言によれば、
『ドリフは入念にリハーサルされたコントを生で見せるもの。』だったので
『オレたちは真逆をやった。コントのほとんどはアドリブだった。』そうです。

そこでさんまさんの絶妙に繰り出されるアドリブに対し、
本来は『ボケ』であったはずのたけしさんが
『バカヤロウ!』と『ツッコミ』に回るしかなかったワケです。

さんまさんもすごいですが、
それを瞬時に『ツッコミ』に切り替わって
笑いを完成させたたけしさんもすごいですね。

そのたけしさんも負けを認めた『お笑いモンスター』のさんまさんと
11年半もアドリブトークを続けた人がいます。

そう。タモリさんです。
タモリさんの『笑っていいとも』でこの二人は
「タモリ・さんまの雑談コーナー」
→「タモリ・さんまの日本一の最低男」
→「タモリ・さんまの日本一のサイテー男」
→「さんま・タモリの喋っちゃいまホー」
→「さんま・タモリの笑いごっちゃおまへんで」
→「続・笑いごっちゃおまへんで」
→「さんま・タモリのおいしいんだかだぁ〜!!」
→「タモリ・さんまのんなアホな!」
→「タモリ・さんまのなんちゅうこというの!」
→「タモリ・さんまの狼がきたぞ〜!」
→「タモリ・さんまの日本一のホラ吹き野郎!」
→「タモリ・さんまの何はともあれ」
→「タモリ・さんまのもう大人なんだから」
→「タモリ・さんまのもう大人なんだからネ」
→「タモリ・さんまのもっともっとしゃべらせてよ!!」
とコーナータイトルを変えながらも11年半も
アドリブトークを続けていました。

このコーナーは全くの雑談のような内容で、
タモリさんの『最近どぉ?』などという
『仕込みネタゼロ』のところから始まる即興です。

たけしさんをツッコミに回らせたボケのファンタジスタ、
さんまさんに対してタモリさんは
『髪切った?』とか『オシャレなシャツだね』とか
『疲れてない?』といういかにも日常の雑談的な
ネタを『フリ』ます。

この『当たり前な日常』の『フリ』を
さんまさんが話を盛りに盛って、非日常の『ボケ』にまで発展させ、
タモリさんが『んなワケない。』と『ツッコミ』を入れて
日常に下げる(オチをつける)のか?

これがこのトークの見所だったわけです。
二人の日常ネタのよるコール&レスポンスでオチにいたるので
まるでブルースのようです。

そういう意味で私は
さんまさんとタモリさんのトークを
ブルースセッションを聴くような気持ちで
ワクワク見ていたように思います。

このようにお笑いのスタイルは時代と共に、
ガッチリ台本通りのコント(ドリフ)から
ゆるい台本からのアドリブコント(ひょうきん族)に移行し、
オールアドリブのフリートーク(いいとも)で
頂点を極めたように思えますが、
ダウンタウンはこのスタイルにさらに『縛り』を加えます。

そうです。『ガキの使い』のハガキによるフリートークです。
ここでは、いいともでタモリさんがやっていた『フリ』が、
視聴者ハガキからの『無茶ブリ』へとハードルが上がります。
『上がった』分だけ『下げ(オチ)』への落差があり、
笑いも大きくなるのですが、リスクも当然高くなります。

制約されたフリなので毎回が大喜利のようです。
この『ガキ使い』のトークは
いいともの生のフリートークと、
昭和の爆笑王萩本欽一さんが『欽ドン!』で用いた
『視聴者からのハガキ』からのアドリブコントの手法をミックスしたスタイルです。
アドリブコントはダウンタウンはすでに『ごっつ』で実験済みでしたので
『視聴者からのハガキ』からのアドリブトークにしたのでしょう。

毎回、視聴者ハガキからは
『昔、松本さんは全速力の新幹線に飛び乗ったと聞きましたが~』
というようなありえない『フリ』があるのですが、
松本氏はその『非日常』の縛り(緊張)をそのまま受け入れ、
さもそれが『日常(既知)』であるかのように振舞いつつ、
いつの間にか、聴く人をカフカのような『非日常』の世界へと誘い、
そこでもう1つ、エピソードや山場を作って、緊張を高め、
浜田氏のツッコミによって一気に『日常』へと『オチ』るという
高度な手法を常に成し遂げていました。

この、日常→非日常→日常が
緩和→緊張→緩和という『笑い』のメカニズムなのですが、
私はこれがジャズの演奏に似ているように思います。

ジャズの演奏は通常、
テーマ→アドリブ→テーマというフォーマットで演奏されます。
テーマはスタンダードであれば既知です。
アドリブは未知です。
既知→未知→既知。

お笑いもジャズも
日常から非日常への冒険、転換で
未知によるドキドキワクワク感、緊張感が高まり、
最終的にテーマ(日常、既知)への回帰の安堵感へと
解決する現象です。


いいとものさんまさんとタモリさんのフリートークが
ブルースセッションだとすると、
ダウンタウンのフリートークは
無茶ブリジャムセッションかもしれません。
なのでダウンタウンの方がリスクが高い分だけ
ドキドキ、ハラハラとスリルがあるのです。

松本氏がフリートークのスキルを磨くために
毎日欠かさず『落語』を聴くと言っておりました。
体に笑いのフォーマットを叩き込んでいるのだと思います。

ジャズプレイヤーもジャズの名演だけでなく、
クラシック音楽や映画や、演劇にも触れるべきだと
痛感しております。






私はサックスを始めたばかりの学生の頃、
特にレッスンなどには付いていませんでした。
いわゆる独学です。

そのこと自体、非常に後悔した時期もありましたが、
『教える仕事』をするようになって
その考えは変わりました。

なぜなら独学で『遠回り』したおかげで、
大抵の間違った奏法、練習法、考え方を経験したからです。
 

プロのプレイヤーとして成功したければ、
レッスンについて人よりも早く上達をすべきですが、
レッスンプロとしては経験が足らない事になります。

正しい知識、情報を提供する事と、
どうして間違った方向へ行ってしまうのか?
の原因を突き止めることは似て非なるものなのです。

人から安易に手に入れた情報と
自分の経験から得た情報は違います。

イチローの言葉を借りればそれは
『深みの無い』情報だからです。

例えばサックスの演奏中に高い音を出そうと
マウスピースを噛んでしまうという癖があるとします。

そこで『噛んではいけません』というアドヴァイスをする講師は
プロでは有りません。
そんなことネットでタダで手に入る情報だからです。

本来、講師は
『どうして噛んでしまうのか?』
を考えなくてはなりません。
もっと言えば
『この人はどうして噛んでしまうのか?』
から考えなくてはなりません。

なぜなら『噛んでしまう理由』なんて無数にあるからです。
そしてその原因、理由がわかってそれを指摘しても
簡単に改善しない事もあるのです。

或る場合は『体、筋肉の癖、習慣』だったり、
或る場合は『マインドブロック』だったりです。

体は意識的にも無意識的にも脳の命令で動いています。
正しい情報を与えたところで脳の回路を
すぐに修正できない事もあるのです。

ですから外から見て同じ状況であっても、
『噛まないで』とそのまま伝える人もいれば、
『そこは「ア」と発音してください』と言う人もいれば、
『飼い猫を思い出してください』と言う人もいれば、
『あのCDのあの音をイメージしてください』と言う人もいるのです。

相手の脳にある『パラメータ』を如何に探り当てるか?
がレッスンプロの腕の見せ所なのです。
伝えたい相手の脳にある概念で例える事が
正確に早く伝えるコツとなります。

これは企業のプレゼンテーションも同じでしょう。
ジョブズはそれが上手でした。

『伝える力』はプレゼンもレッスンも演奏も
同じだと私は思っています。


                                                             


 

私自身は小学校1年生の時にちょうど
『ブロック崩し』や『インベーダーゲーム』が流行った
いわゆる『ファミコン世代』ですが、
あいにく母子家庭の一人息子と言う状況では
到底『ファミコン』など買ってもらえるはずもなく、
ファミコンと言えば、お金持ちの友達の家に行っては
気を使って遠慮しながらちょっとだけ楽しませてもらうという
ちょっぴりほろ苦い記憶でございます(笑)。

最近はDSやら何やら(よく知らない)
子供の頃からゲームに親しんでいるのは
当たり前で、生徒さんにレッスンをしていても
『何か攻略法ないっすか?』とよく質問されます。
そんな時に『ゲーム脳だなぁ』と感じたりします。

アドリブと言うのは
『残酷なほどの自由』
を与えられる状況に身をさらす行為です。
『何をやっても自由ですが結果は自己責任』なのです。

自分の脳内ではチャーリー・パーカーや
ソニー・ロリンズ宜しくカッコイイプレイをしていると
思っていても周りの反応はそれほどよろしくなかったり…
というのが現実だったりします。

『自由を与えられて何をするべきか?』
何やら哲学的な命題を突きつけられるのが
ジャズのアドリブです。

話を『ゲーム脳』に戻します。
アドリブと言ってもその内容の評価には
ある程度の基準が存在するわけで
批判を恐れずはっきり言えば
『雑音(ノイズ)』と『音楽』に分かれます。
ストラヴィンスキー曰く、
『音楽とは音程をコントロールする事』
これに横軸にあたる『リズム』を加えて
『音をコントロールする事』と捉えれば
ある秩序(ルール)によって音を
アレンジメントする事と言えるでしょう。
我々の子供の頃のゲームは
『ブロックをただ崩すだけ』とか
『インベーダーをただ撃つだけ』という
単純でテクニックさえ訓練すればよいものが多かったのです。

しかし最近のゲームはそれらの要素に加え
『隠れアイテム』や『ウラ技』など設定が細かいですね。
私の時代の『ゲーム脳』と今のそれとでは
『質が違う』のです。
そういう意味で最近の『ゲーム脳』の方が複雑で
ジャズのアドリブを学ぶには適しているように思います。
若い世代は『どのうに攻略するか?』に熱中します。

昨今『AI時代』の到来と言われ、
世の中がどう変わるのか?とか
どんな職業が無くなるのか?とか
どのような人間が生き残るのか?
などと論議が盛んになっております。

東京都初の民間人校長として話題となった
藤原和博氏によると
これまでの成長社会では『情報処理力』が重要であったが
これからの成熟社会では『情報編集力』が重要になる。
ということです。

つまり、答えが決まっている問題の解決は
決まっている正解を当てる力です。

答えの決まっていない問題の解決は
納得解を導き出す力と言えるでしょう。

ジャズのアドリブに決まった正解はありません。
暗記しているツーファイブフレーズも正解ですし、
突拍子も無いヘンチクリンなフレーズも正解かもしれません。

ただそのヘンチクリンなフレーズはデタラメであれば、
音楽の流れはおかしなことになるでしょう。
コードやリズムなどの情報を踏まえた上で
常識の範囲ギリギリのヘンチクリンであれば、
人によっては『超クール!』となるかもしれません。

Bebopの時代には数々の正解フレーズが発明されました。
今は当時の人からすると『ヘンチクリン』なフレーズを
プレイする人は沢山居ます。
ジャズマンは『ヘンチクリン』が大好きなのでしょう。
ゲームの攻略で言えば
バグを利用した『裏ワザ』や『隠しアイテム』でしょうか。

『ゲーム脳』と言ってもゲーム自体の複雑化、進化によって
単純な情報処理能力だけでは攻略できないように変化してきています。
複雑な設定やオンラインのチームプレイなどでは
情報編集能力も必要となってきているでしょう。

今、電車の中で隣のサラリーマンがスマホでゲームに興じています。
ジャズのアドリブの方がよっぽど面白いのに!
と思いながら、このブログを書いています。




                                                             


 

以前から『お笑い』と『音楽』については
このブログの中でちょいちょい触れてきてはいるのですが、
今日はちゃんとテーマとして取り上げて書いてみたいと思います。

まず『お笑い』ですが、今、テレビを見ると『お笑い番組』というのは
『バラエティ番組』という『幕の内弁当』みたいなものが主流のような気がします。

所謂、『ネタ番組』と言うのは昔から比べると減少したのかもしれません。
今は『お笑い芸人』をキャスティングして、フリートークして
人を笑わせるのが『お笑い芸人』の芸だ
と思っている人も多いかもしれませんね。

彼らは元来劇場や寄席出身の『ネタ芸人』でした。
日々ライブで観客を前に『仕込んだネタ』を披露し、
厳しい洗礼を受けながらのし上がってきた人たちです。

彼らがM-1、R-1で輝かしい成績を残せば
その後、TVの仕事が一時は増えたりします。

しかしグランプリを獲ったにもかかわらず、
TVでは見かけなくなってしまった芸人さんたちもたくさんいます。

TVに出ていないと『売れなくなった』と錯覚してしまいますが、
彼らの中には劇場や寄席という現場で
いまだに大爆笑を取っている人たちも少なくないのです。

マーケットとコンテンツの違いです。

昔、私が尊敬してやまない『タモリ』さんがこんなことを言いました。

『TVは素人が出るものだよ。』

アングラな宴会芸でお笑いの世界に入ったタモリさんならではの
コメントです。

吉本のルミネや寄席と違って、TVという媒体は
寝転がりながら
食べたり飲んだりしながら
スマホをいじりながら
見れますし、
途中でチャンネルを変えることもできます。
NHKでなければお金を払う必要もありません。


何年も修行を積んだお笑いの芸を楽しむならば
入場料を払って楽しむべきでしょう。
劇場や寄席は修行や鍛錬の結果得られた『お笑い職人のスキル』や
『伝統芸能』というコンテンツを楽しむマーケットなのです。

ですから落語のように『同じネタ』でも構わないのです。
内容(情報)でなく『芸』を楽しんでいるのですから。
言い換えれば『何を』でなく『どのように』が重要、価値となります。

『「芝浜」は談志が最高!』などと言うのも演じ方、ニュアンスの違いで
評価されているわけです。


『古典落語』の『古典』を英語に訳すと『クラシック』です。

クラシック音楽も同様、楽譜は一緒で奏者(指揮者も含む)の違いを聴いて楽しむ、
つまりこれも職人芸です。

タモリさんが
『TVは素人が出るものだよ』
と言ったり
『私の芸なんざ素人の宴会芸だよ』
と言ったのは
そういう伝統芸と自分の芸は種類が違うのだと言う事と
『TVは伝統芸のようなコンテンツのマーケットではなくなる』
という事を意味していたのです。

今、TVと言うマーケットでお笑い芸人として戦っていく為には、
『フリートークでのアドリブで笑いを取る』スキルがなくては
『おもんない』としてお声がかからなくなってしまいます。
劇場や寄席の下積み時代で獲得したお笑いのノウハウを
練習なしのアドリブで応用し、活用していかなければなりません。

昔の芸人はクラシック奏者のように本番まで練習し、
それを舞台で上手に表現すればお金がもらえました。


でも今のTV芸人はお笑いのノウハウを
TV画面の中で、他の出演者とコミュニケーションしながら
即興で反応し、流れを作り、パスを回し、トスを上げ、
見事に『オチ』を決めるスキルがいるのです。

まるでジャズミュージシャンのようです。

実は私がタモリさんを尊敬している理由はそこです。

『笑っていいとも』でタレント、芸人、ゲストなど
様々なキャストに進行を任せて、タモリさん本人は一歩引いて自然体。

流れが危なくなったり、マンネリに傾きそうになると全く脈絡と関係ない
『あれ?最近太った?』とか
『その髪型おかしくない?』などのコメントをぶち込んで場の空気を換えてしまう。
まるで、エレクトリック時代のマイルスのキーボードプレイのようです。
定石を嫌い、ハプニングを好むスピリットです。

現在のフリートークお笑い芸人の中でのNo.1は異論無しに
ダウンタウンの松本人志さんでしょう。

彼は若い頃、紳助・竜介を始め多くの芸人のネタを研究したそうです。
そんな即興お笑いモンスターの松本氏は
今でも欠かさず、毎日落語を聴いているそうです。

それが桂枝雀さんと立川志の輔さんだそうです。

ここからは私の勝手な想像ですが、
毎日欠かさず聴くと言う事は分析もさることながら、
体にしみこませているのではないでしょうか?
それは話の流れの『型』であるかもしれないし、
演者独特の『イントネーション』や『間』なのかもしれません。

レベルも質も違いすぎる話ですが、私も学生の頃、
アドリブのマスターのノウハウが全く解らず、
ただひたすらソニー・ロリンズのソロをコピーし、
『音源と同時にシンクロさせてプレイする』という
謎の練習をしていました(笑)。

全く理論的根拠も裏付けもない『おまじない』のような練習ですが、
いくつか得たことはあります。

ニュアンスやイントネーションをまねる事は当然ですが、
シンクロすることにより大きく影響を受けたのは
『間』を含めた『テンション』と『リリース』です。
これは松本氏も『笑い』の生まれる瞬間として言っています。

私はロリンズのソロを『なりきってプレイする』ことで
彼のソロに流れる『テンション』と『リリース』のパルスを感じるようになりました。
そして『名演』とされるソロには必ず『テンション』と『リリース』の
心地よい繰り返しが存在する事が解ったのです。

もしかしたら松本人志氏も枝雀と志の輔を聴きながら
一流の話芸のエッセンスを肌で吸収し、
同じようなパルスを感じているのかもしれないですね。

話をコンテンツとマーケットに戻します。
TVのお笑いがネタ番組からフリートークバラエティに移り変わって行きました。
職人芸(どのように演じるか)を見るよりも、
職人のアドリブ(何を表現するか)が見たいのです。しかもタダで。

フレンチシェフの自慢の定番コース料理よりも
そのシェフの作るチャチャっと作る『賄い飯』に興味があるのかもしれない。
匠の細かいディテールの機微よりも
『発想や視点の意外性』を好むのでしょう。
情報過多は刺激がエスカレートするものです。

しかしそうはいっても一定数の落語ファンや寄席、演芸場ファンと言うものは
クラシックファン同様いるもので、その範囲のマーケットであれば問題ないのでしょう。
昔の『夏のジャズフェス』がそもそもバブルで異常だったのかもしれませんね。

今ジャズライブハウスがプロミュージシャンのライブだけでは厳しくなり、
素人のジャムセッションで収益を得ているというのは面白い現象です。

この場合、刺激がエスカレートしているのではなく、
承認欲求や自分発信ブームかもしれません。
もしくはコミュニティー帰属欲求でしょうか?

これはまた改めて考えてみたいテーマです。

話は変わって、
TVで『フリートークお笑い芸人』の頂点に君臨する松本人志さんが
TVのライバルであるインターネットで製作した
ドキュメント形式のお笑い番組がすごいと話題です。
私は別にこれをアフィリエイトしているわけでもなんでもないが、
とうとう『お笑い職人のアドリブ芸』をTVでタダでなく、
ネットで『お金を払って』見る時代が来たのです。

お笑いの世界がやっと『ジャズ』に追いついたのです。




                                                             


 

前回のあらすじ

ひょんなことから音楽活動に復帰できた私は
大手音楽教室の講師として70人以上の生徒を受け持つ事に。
そこで『アドリブをやってみたい』との要望に
アドリブ習得のノウハウを手探りながら
試行錯誤を繰り返す日々を送っていました。

アドリブを習得しようと思っても
多くの人は『どうすればよいのか』が解りません。
やる事が膨大すぎて何からどう手をつけてよいか解らないでしょう。

私も初めはそうでした。
闇雲に理論書を買って、読んで、挫折して、
コピーして、使えずに、挫折しての繰り返し(笑)。
大量にコピーをする事で感覚的に
アドリブは出来るようになってはいましたが、
自分が出来る事と教える事は別物です。

教える側になったら体系化して
誰にでも通用する再現性が無くてはなりません。

私はヒントの1つとして、
『プロはどのようにアドリブをマスターしたか?』
を調べてみようと私は思いました。

多くのプロの方を調べてみると、
『○○さんに弟子入りした』という
『徒弟制度』のパターンが非常に多かったのです。

しかもある程度の長期間、厳しい課題を与えられ、
訓練されるというパターンです。

これはサービス型レッスンには向きません。
受講生は弟子でなくお客様、
『顧客満足度』というのがKPIとなりますから
スパルタで鍛える事など無理です(笑)
30分(当時は30分が1レッスンでした)で
悩みを解決し、満足してもらい、達成感を
感じさせなくてはなりません。

そうすると目標が下がるので1レッスンが
人によっては『牛の歩み』どころかカタツムリくらいになってしまいます。
そんなレッスンが続いてモチベーションを維持して貰えるかは、
講師として悩ましい事でした。
先がなかなか見えない闇では挫折してしまいます。


『アドリブなんか教えないでジャズの曲だけレッスンしておけばいい』
と言う声も有りましたが、アドリブをやりたい人にとっては
それはすり替え、誤魔化しになります。
いまだにそういう教室は多いようですが。

『誰でも、しかも短期間で』
アドリブをマスターできるノウハウは本当に無いのか?
これは私のミッションでした。

3年後、大手をクビになった私は今の教室を立ち上げます。
よりジャズ色を打ち出した教室にした事もあり、
ジャズ好きの人が集まりました。

その頃には私自身がアドリブの習得について
ノウハウはある程度、検証され、整理されておりました。
ここでも何度か触れておりますが、アドリブ習得には
大きく分けて以下の2通りがあると分類しました。

1つは慣用句、常套句である『Lick』を多く記憶し運用する事。
これはBebopの曲のコード進行などには最適です。

『Lick』の多くがBebopで多用されるツーファイブ的な
進行に対するものですので、暗記さえすれば即戦力です。

ジャズの共通語とも言えましょう。
例えばこんなものです↓

ジャズ道場 『ツーファイヴフレーズのアナライズの巻』



もう1つは本当の即興、もしくは
『Lick』ほどシェアされていない『独自の言語(文法)』を持つこと。

これらはコード進行のパターンと言うよりも
コード単独に対してのアプローチとも言えるかもしれません。
例えばショーターのフリジアンなフレーズなどです。
※マイケル・ブレッカーのコンディミ1発フレーズなどは
もうみんなやるので『Lick』と言っていいかもしれません(笑)。

まず『Lick』に関して言えば、『Lick』だけで
アドリブを乗り切るのは大変です。
沢山覚えなければならないからです。
『Lick』に当てはまらないコード進行には使えませんしね。
ですから『部分使用』が現実的なところでしょう。

ではもう一方の『即興』ないし、『独自の言語』の構築は?

これには最低限の理論的情報知識が必要です。
深く膨大な理論は必ずしも要りません。
最低限で構わないと思います。

私はこれらを最低限の知識を
コード、スケール、ダイアトニック、ドミナントモーション(Ⅱm7Ⅴ7を含む)
くらいでよいとしています。
※拙著『ジャズ道場~初級篇~』の範囲です。

余裕があればオルタードテンションを含んだコードや
ホールトーン、オルタード、メシアンの第5旋法(MTL)などの
特殊なスケールを仕入れても良いでしょう。
※拙著『ジャズ道場~中級篇~』の範囲です。

その他、ヘキサトニックやトライアドペア等の概念は
All The Things You Areや、Stella By Starlightが
目を瞑ってでも出来るようになってからで良いと思います。

まずはシンプルに考えてシンプルに表現する事です。
例えば以下は『枯葉』の最初の4小節です。

123


①は『Lick』、②はスケール、③はコードのみでの
アドリブ例です。
②や③でもニュアンスさえきちんと付ければ充分カッコイイのです。
特に③は私がレッスンで『高倉健奏法』と名付けた、
言葉数の少ないスペースを活かしたアプローチです。

実は大半のアマチュアプレイヤーはアドリブになると
『とにかく何か演奏しなくてはならない!』
という謎の焦り、義務感でやたらめったら音を出す傾向にあります。

『何を表現したいのか?』すら定まっていないのに
『とりあえず何か音を出す』ことばかりに追われてしまいます。

私はいつも『設計図』を描きましょうとレッスンで力説しています。
図面も無いのにいいアドリブの構成など困難です。

図面に『ここは○○なフレーズ』『ここは△△なフレーズ』と
定まっていれば、その発注に応じたフレーズを
脳から発送すればいいのです。


なんと簡単な仕組みでしょう!
アマチュアこそ、このシステムで作文を書くように
アドリブを構成すべきと思うのです。

『Lick』でのプレイは暗記が得意な人は向いておりますが、
私のように苦手な人は大変です。
また常に『覚えている事をプレイする』という記憶に縛られた
プレイになりがちです。
本来、ジャズは自由なはずで、みな違うはずです。
あえてみんなが覚えているフレーズを覚えてプレイしたければ
それでも良いですが『人と違う事がしたい!』と言う人は
このやり方の方が向いています。
ただし、『シンプル』は裏を返せば『幼稚』になりがちですから
表現方法や、構成にはセンスを磨かなくてはなりません。

作文や日記が書ければアドリブができる!

これが私の到達した結論でした。
私の教本『ジャズ道場』にはこんな一文が書かれております。
『アドリブ挫折者ゼロへの挑戦!』
これは私の本気のミッションなのです。





                                                             


 

前回のあらすじ

大学卒業後、ある方に出会って私はジャズに関して多くを教わりました。
それらの知識と大学時代のコピーのデータが脳みそに混在していたのが
24~26歳の頃かと思います。
当時の同世代は着々とプロとして活動し始めておりました。

そんな中、私は一度、音楽を断念します。
父親の仕事がなくなり、一人息子の私は、
両親を支えなくてはならなくなりました。

20代後半にもかかわらず『ミュージシャンを目指す』などという
中二病の甘っちょろいマインドは許されなくなったのです(笑)

私はテナー、ソプラノ、クラリネット、フルートなど楽器を全て売り、
名古屋へアパレル関係の仕事に就くために引っ越しました。
CDやオーディオ、教本なども全て売り払いました。
就職の条件が『音楽を諦める事』だったのです。


そこで色々あったのですが、本題とは関係が無いので
省略、ひょんなことから1年弱して東京へ戻り、
某大手楽器店の音楽教室のサックス講師の面接を受ける事に。

楽器が無いのでろくに吹いたことも無いアルトサックスを
後輩に借りて2週間ほどリハビリし、
無謀にもオーディションを受けに行きました(笑)。

オーディションと聞いていた私は夏だったので普通に
Tシャツと短パンで行きました。
しかし面接会場に着くとみんなスーツ着用ではないですか!!
そうですオーディションでなく『面接』だったのです(笑)。

あれほど『穴があったら入りたい』と思ったことはありませんでした。

しかも周りの人は『音大』や『芸大』出身の人達らしく、
『お~○○さん久し振り~フランス留学の時以来じゃない?』
などとみんな知り合いのようでした。

『人種が違う…』

完全なるアウェイ』
という文字が
立体になってマンガのように私の頭上にガーンと振ってきました。
母からは

『これが最後のチャンス、これに落ちたら本当に音楽は諦めなさい』

と言われておりました。
そんな最後のチャンスに私はなんと
『やらかして』
しまったのです。

他の人たちは実技で『~のソナタ』や『~のコンチェルト』など
なにやらクラシックの現代曲的な演奏をしておりました。

そんな中、私の演奏した曲は
『Donna Lee 』でした。
タイトルを行った瞬間、面接官は目が点でした(笑)

しかも無伴奏なのでアドリブといっても
アカペラで私は

『脳内リズムセクション』

で演奏したワケです。

面接官の何人がこの不可解な状況を理解したでしょう(笑)。

今、思い出しても冷や汗が出ます(笑)。

アドリブに入って2コーラス目くらいで面接官が

『あ、あの~シトウさん、これ、いつまで続くんですかね?』

と私の演奏をさえぎって聞いてきました。

『もう死にたい(涙)』

と思いつつ、
『あ、スンマセン、終ります。』

と演奏は強制終了。

パーカーを演奏したはず私の脳内では
帰りの中央線の車中ずっと
ショパンの『葬送行進曲』
流れておりました(笑)

そんなダメダメな面接でしたが、
実は私、合格しておりました。

しかし、その会社的に『音大卒以外』の採用は初めてということで
『試験(仮)採用』という『但し書き』が付きました。
試用期間内に業績が悪ければ『クビ』です(笑)。

でも、私としては音楽をやってよいという
『ラストチャンス』を得たことで、
そんな『但し書き』など微塵も気にしませんでした(笑)

サックスが吹けるだけで幸せでした。
その試用期間内に、私は幸運にも生徒を増やし、クビも免れ、
半年後には全国トップの講師にまで登りつめます(笑)
幼い頃から私の人生はジェットコースターです。

そのような業績を出せたのは必死というよりも、
私がサックスを吹ける喜びに溢れていたからでしょう。
新米の私は70名以上の受講生を担当することになりました。

そんな大量のレッスンの中で、受講生の切実な悩みに直面するのです。
『いつかアドリブをやってみたい…』
当時(2000年頃)はまだ今ほどのセッションブームはありませんでした。

教材や情報も今ほどない頃です。
それより何より、私自身がアドリブは全く『感覚的』にやっていたので
アドリブのレッスンノウハウ自体が『体系化』もされていませんでした。
人に教えられるのか?というレベルです。

ですので当時の私のアドリブレッスンは

『マイナスワンを聴きながらアドリブをスキャットしてみる』

だったのです。

スキャットができればメロディが浮かぶということですから
『それを楽器で出来ればよい』と考えたのでした。

頭に浮かんだメロディを楽器で出来るようにする練習法、ノウハウは
ここでは『内緒』(笑)ですが、
このやり方の問題点は
感(センス)がいい人に限られてしまう事です。


メロディが思い浮かぶセンスと楽器のコントロールセンスです。
これらはある方法で養う事が出来ますが時間を要します。

すぐに結果を出さねばならない企業の
『サービス型レッスン』には向かないのです。
長期にわたる師弟関係のレッスンには向いてます。

そこで私は自分の脳内でアドリブの際に何が起こっているかを
考え始めたのです。感覚的にやっていた事を
体系化し、再現性のあるノウハウに変換する作業です。

参考の為に何人かのプロのワンポイントレッスンも受けました。
プロの方は
『それは練習だよ』とか
『それはセンスだね』とか
『沢山聴けばいずれできるよ』
と正解のような、正解でないような
答えばかり返ってきました。

『アドリブの秘密、仕組みを知りたい』

この思いが24時間365日、私の脳みそを支配しました。
どうすれば誰でもアドリブを習得できるのか?
この答えを必ず見つけてやる。

そんな事ばかり考え、多くの生徒さんでテストさせてもらい、
色んな方法を色んなタイプの人に試しまくりました。
その頃、私に習っていた人、力不足ですみませんでした。
またご協力ありがとうございました。

また長くなったので今回はこの辺で。

『シトウさんはどうやって
 アドリブができるようになったんですか?』

以前、ある生徒さんからこんな事を聞かれました。

実は私自身は大学時代、
いわゆる『ジャズ研』には入っておりませんでした。
私が入っていたのは『ビッグバンド』のサークルでした。
そうです。グレン・ミラーやカウント・ベイシーなどの
『ビッグバンド』の曲の『譜面』を演奏するサークルです。

しかし、ご存知の方もおられるかと思いますが
『ビッグバンド』でも曲の中で『アドリブソロ』があるのです。

高校時代、『一応』吹奏楽部に所属していた私は、
『楽譜』はなんとか演奏できましたが
(それでもジャズは難しかったです)
『アドリブ』なんてやった事なかったのです。


先輩にアドリブを教わろうと思っても、
アドリブを教えてくれるような先輩は居ませんでした。

当時の私に出来た事はとりあえず
『参考音源のアドリブをコピーする事』
でした。

それでもその曲を知っている人は
『あれは音源のコピーだな』
とアドリブでは無いことがバレてしまいます。

なんとかアドリブが出来るようになりたいと思っていながらも、
当時は今ほど情報もなく、
誰かプロのレッスンを受けようにも、
学費と生活費の全てをアルバイトで稼いでいた私にとっては
そんな余裕も無いと諦めていました。

今思えば、なんとか無理してでもレッスンについていればよかったと
本当に後悔していますが、若さゆえの無知だったのでしょう。

それでもOBの先輩にプロで活躍されている方がいらっしゃったので
そういうOBが部室に遊びに来るとガッチリとマークして(笑)
色々教わりました。

今思えば、それらをきちんと理解できていたかも
甚だ疑問ですが(笑)なんとかコードやスケールの事などを
わずかながら学べたかと思っています。

大学3年生の時にその頃『これを読め』と言われていた
渡辺貞夫さん著の『ジャズスタディ』を買いましたが、
何が書いてあるのかさえサッパリ解りませんでした(笑)
(今でも新品のようなきれいな状態で持っています(笑))

理論の学習を断念した私は先輩の
『コピーは沢山したよ』
との言葉を信じ、ひたすらジャズマンのコピーをしまくりました。

初めは、1小節に何時間もかかりましたが、
そのうち1回聴いただけで何小節も音が採れるようになりました。
↑2行で済ませてますが、随分かかりましたよ(笑)


ビッグバンドのソロ以外で初めてコピーしたのは、
ソニー・スティットだったと思います。
その後、OBの先輩に洗脳されて
マイケル・ブレッカー→ボブ・バーグ→スティーブ・グロスマン
↑良い子はこの順番、真似してはいけませんよ!
その後やっとソニー・ロリンズ、デクスター・ゴードン、
ハンク・モブレイなどでしょうか。

本来は、コールマン・ホーキンスやレスター・ヤングなど
古い人からコピーして勉強すべきと思うのですが、
そんなことさえもわからなかったのです(笑)


勿論、コピーをしただけで一番大事な
『アナライズ』なんぞ、
一切しませんでした。
そんな事もわからなかったのです。
ですからコピーから何も学んでいない状態でした(笑)


『手癖』をつけただけでそれをいつ使うかも解らないという
本当にアホな大学生でした(笑)。


それでも沢山コピーしていると感覚的に
『あ、ここであのフレーズが使えるかも?』と思って
勇気を出して使ってみると

『奇跡的に』

ハマッたりする事があるのです。

そうするとアホな私は

『オレ、天才かも』

と思ったりしたのでした(笑)
今、私の前に当時の自分が居たら小1時間説教をしたいほどです(笑)

大学を卒業して就職もせずにプラプラとしている時、
とあるビッグバンドのトラ(サポート要員)で練習に行った時に、
私はある方に逢いました。

その方は私にジャズの多くの事を教えて下さったのですが、
そのエピソードはまた別の機会に。

ともかくその方に私はジャズ理論についても教えて頂き、
(きちんと師事したわけではないので申し訳なくて弟子とは言えません)
アホな私でもじゃずのアドリブの世界が少し見えたような気がしたのです。

が、しかし、少々ジャズのアドリブの世界が見えたゆえに

『こんなにたくさんの事をしなければならないのか!』

と理想と現実の距離に途方に暮れたのも事実です。

その後は教わった理論と、大学時代のコピーとが、
セッションと言うリアルタイムの即興と言う場で
少しずつ、少しずつ、融合、醸造していった時期がありました。

少々長くなったので今回はこのくらいにしておきます。




                                                             


 



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