ジャズを学ぶ上で『模倣』に関しては賛否があるようです。
私はレッスンで受講生に名演のコピーを薦めていますが、
ある方から『コピーは独創性を損なう』と言われた事がありました。
そのことがキッカケで私は『独創性』とは何かと考えるようになりました。

ジャズが言語であり、アートだとするならば
その『独創性』とはどのようにして生まれるのでしょう?

まず、言語と考えた場合ですが、
我々はどのように言語を習得したのでしょうか?
恐らくは乳幼児の頃、家族から話しかけられ
『ママ』とか『ブーブー』とか簡単な名詞などの単語から
覚え始め、それが徐々に文章として使えるようになったはずです。

①単語の記憶→『ママ』『ブーブー』
②感覚的な文法把握→『』(ママ、アレは車だね)
③イントネーションの使い分け(ママ、ブーブー?→車なの?⇔ママ、ブーブー!→車だよ)
これらは全て模倣により学んでいるはずです。
模倣が上手い人間は観察力、洞察力が優れており、
表現力も長けているのです。
つまりインプット、アウトプット両方のスキルが高いのです。

私の尊敬するタモリさんは『形態模写』の芸が原点です。
タモリさんはご存知の通り早稲田のジャズ研出身です。
多くのジャズマンをコピーしたように
4ヶ国語をコピーし、洗練させ、麻雀芸を完成させたのでしょう。

先に挙げた①~③までの過程には
『音声学的に特徴を捉える』
『法則性を見出す』
『加工、変形し応用(アレンジ)する』
という情報処理能力と情報編集能力が必要となります。
この2つの能力についてはまた別の機会に触れたいと思いますが、
このように人間が言語をマスターする過程には模倣が欠かせない事が解ります。

次にジャズをアートとして捉えた場合ですが、
例えば、絵画であればデッサンが基本でしょう。
これは対象の本質やディテールに迫る為の作業です。
光と影、遠近などの奥行き、質感などの情報をより多く収集する為です。
ただ見るだけでなく詳しく、細かく、多角的に観察する行為です。
そこから表現する為に多くの手法を学びます。
それらは先人が発明し築き上げた手法で『スタイル』でもあります。
印象派、ポスト印象派、キュビズム、シュールレアリスムなどです。
このような多くの手法は手法の洗練やイノベーションから生まれました。
構築されたスタイルを肯定し、深め(高め)たり、反発したりして
新たなスタイル(価値観)が出来上がります。
ジャズの歴史もまさにそうです。

このようにジャズには
個人のコミュニケーションのツール、スキルとしての側面と
ジャズ全体のアートとしての側面があります。

前者はマスターするに当たってのヒントとなり、
後者は上級者に成長する為のヒントとなります。
しかしツールの使い方の過程でも、
スタイルの模索、構築の過程でも、
模倣は欠かせない事がわかるでしょう。

日本には『守破離』と言う言葉があります。
『守』は指導のもとに作業できる→ 自律的に作業を遂行できる(1人前)。
『破』は作業を分析し改善・改良できる(1.5人前)。
『離』は新たな知識(技術)を開発できる(クリエイター)
と言う事です。
ジャズのマスターとは
言語として『守』から入り、
アートとして『離』に向かう道であるかもしれません。

『破』で模倣からは脱却しますが多くの情報を模倣から学び、
アウトプットしては改良を加え、洗練していきます。

説得力とは経験を元に蓄積された情報量だと私は考えております。
『世界は広い』と言うセリフを実際に世界中を回った人が言うのと
部屋から一歩も出ない引きこもりの人物が言うのでは
言葉の重みは違うでしょう。

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