前回の投稿記事が
『ボカシ過ぎて話が全く見えん!』
と早々にご意見を頂いたので少しだけ解説すると、
そもそもGlenn MillerのIn The Moodは1939年の作品なので
ジャズと一言にいっても『Swing Jazz』であると言う事です。

『Swing Jazz』と言うのは『For Dance』。
つまり躍らせる為の音楽なのです。
音楽的に言うとドラムはバスドラムは1、3拍目に打つ事が多く、
『ドン、チャ、ドン、チャ、』のパターンが基本です。
フレキシブルに反応してバスドラムを打つのは
1940年代初頭にKenny ClarkeがBebopのドラムスタイルを構築してからです。

さらにこの頃はベースも生音だった為、大きな音を出す為に
弦高を高くしていたので音が『ボン、ボン』と短くなりました。
そのような短めのピチカート奏法とドラムの一定のパターン、
に加え8分音符は踊りやすいように3連符のようにバウンスしていました。
シンバルレガートや『チーンチッキ』、
ハイハットワークは『シーシッキ』となっていたわけです。
そうなると4ビートの各ダウンビート(オモテ拍)が強調され
ステップが踏みやすくなるのです。

ジャズのアーティキュレーションは一般には
アップビートが強調されますが、ここで大事な事は
『Swing Jazz』とBebop以降の『Modern Jazz』とは
グルーヴが違うと言う事です。
Bebopは『For Musicians』で
Modern Jazzは『Listening』なのです。
従ってダウンビートの規則的なアクセントよりも
アップビートや不規則なタイミングでのアクセントが好まれます。

勿論、芸術なので、時代や人によって
はっきり別れると言う事ではなく、
Swing寄り、Modern寄り、とか傾向性が分かれると言う事です。

Swing とBebopの過渡期の『中間派』の演奏↓

リズムセクションはオールドスタイルだが
ホーンセクションにBebopの萌芽が微妙に垣間見られる。
この頃になるとリズムセクションはもうBebopっぽいが
管楽器の音の切り方やアクセントはSwing時代を感じさせる。


カウント・ベイシー楽団に於ける魅力の1つは
この2つの時代のグルーヴが共存していると言う点であることは
ビッグバンドをやっている人なら周知の通り。

※テーマの1コーラス目のグルーヴとヴァンプ以降のTuttiでは
リズムセクションのグルーヴやホーンセクションフレージングが
明らかに異なっているのが解る。
この間にメンバーはグルーヴのタイムスリップを楽しんでいるのだ。

本家Glenn Miller楽団に於いても時代により、
ホーンセクションのフレージングが50年代以降は
若干、Bebop寄りに変わってきているようです。
私はIn The Moodはもはや『伝統芸能』の域に達している(笑)
と感じているのでトラディショナルなフレージングで
演奏して欲しいと思っています。
『目黒のさんま』や『時そば』を現代口語でやられても
『オツだねぇ』とは思わないのです。

P.S.
講座内で話題になったアーティキュレーションの違い↓
Stan Getz(中間派)


 Sonny Rollins(ハードバップ)