前回のあらすじ

大学卒業後、ある方に出会って私はジャズに関して多くを教わりました。
それらの知識と大学時代のコピーのデータが脳みそに混在していたのが
24~26歳の頃かと思います。
当時の同世代は着々とプロとして活動し始めておりました。

そんな中、私は一度、音楽を断念します。
父親の仕事がなくなり、一人息子の私は、
両親を支えなくてはならなくなりました。

20代後半にもかかわらず『ミュージシャンを目指す』などという
中二病の甘っちょろいマインドは許されなくなったのです(笑)

私はテナー、ソプラノ、クラリネット、フルートなど楽器を全て売り、
名古屋へアパレル関係の仕事に就くために引っ越しました。
CDやオーディオ、教本なども全て売り払いました。
就職の条件が『音楽を諦める事』だったのです。


そこで色々あったのですが、本題とは関係が無いので
省略、ひょんなことから1年弱して東京へ戻り、
某大手楽器店の音楽教室のサックス講師の面接を受ける事に。

楽器が無いのでろくに吹いたことも無いアルトサックスを
後輩に借りて2週間ほどリハビリし、
無謀にもオーディションを受けに行きました(笑)。

オーディションと聞いていた私は夏だったので普通に
Tシャツと短パンで行きました。
しかし面接会場に着くとみんなスーツ着用ではないですか!!
そうですオーディションでなく『面接』だったのです(笑)。

あれほど『穴があったら入りたい』と思ったことはありませんでした。

しかも周りの人は『音大』や『芸大』出身の人達らしく、
『お~○○さん久し振り~フランス留学の時以来じゃない?』
などとみんな知り合いのようでした。

『人種が違う…』

完全なるアウェイ』
という文字が
立体になってマンガのように私の頭上にガーンと振ってきました。
母からは

『これが最後のチャンス、これに落ちたら本当に音楽は諦めなさい』

と言われておりました。
そんな最後のチャンスに私はなんと
『やらかして』
しまったのです。

他の人たちは実技で『~のソナタ』や『~のコンチェルト』など
なにやらクラシックの現代曲的な演奏をしておりました。

そんな中、私の演奏した曲は
『Donna Lee 』でした。
タイトルを行った瞬間、面接官は目が点でした(笑)

しかも無伴奏なのでアドリブといっても
アカペラで私は

『脳内リズムセクション』

で演奏したワケです。

面接官の何人がこの不可解な状況を理解したでしょう(笑)。

今、思い出しても冷や汗が出ます(笑)。

アドリブに入って2コーラス目くらいで面接官が

『あ、あの~シトウさん、これ、いつまで続くんですかね?』

と私の演奏をさえぎって聞いてきました。

『もう死にたい(涙)』

と思いつつ、
『あ、スンマセン、終ります。』

と演奏は強制終了。

パーカーを演奏したはず私の脳内では
帰りの中央線の車中ずっと
ショパンの『葬送行進曲』
流れておりました(笑)

そんなダメダメな面接でしたが、
実は私、合格しておりました。

しかし、その会社的に『音大卒以外』の採用は初めてということで
『試験(仮)採用』という『但し書き』が付きました。
試用期間内に業績が悪ければ『クビ』です(笑)。

でも、私としては音楽をやってよいという
『ラストチャンス』を得たことで、
そんな『但し書き』など微塵も気にしませんでした(笑)

サックスが吹けるだけで幸せでした。
その試用期間内に、私は幸運にも生徒を増やし、クビも免れ、
半年後には全国トップの講師にまで登りつめます(笑)
幼い頃から私の人生はジェットコースターです。

そのような業績を出せたのは必死というよりも、
私がサックスを吹ける喜びに溢れていたからでしょう。
新米の私は70名以上の受講生を担当することになりました。

そんな大量のレッスンの中で、受講生の切実な悩みに直面するのです。
『いつかアドリブをやってみたい…』
当時(2000年頃)はまだ今ほどのセッションブームはありませんでした。

教材や情報も今ほどない頃です。
それより何より、私自身がアドリブは全く『感覚的』にやっていたので
アドリブのレッスンノウハウ自体が『体系化』もされていませんでした。
人に教えられるのか?というレベルです。

ですので当時の私のアドリブレッスンは

『マイナスワンを聴きながらアドリブをスキャットしてみる』

だったのです。

スキャットができればメロディが浮かぶということですから
『それを楽器で出来ればよい』と考えたのでした。

頭に浮かんだメロディを楽器で出来るようにする練習法、ノウハウは
ここでは『内緒』(笑)ですが、
このやり方の問題点は
感(センス)がいい人に限られてしまう事です。


メロディが思い浮かぶセンスと楽器のコントロールセンスです。
これらはある方法で養う事が出来ますが時間を要します。

すぐに結果を出さねばならない企業の
『サービス型レッスン』には向かないのです。
長期にわたる師弟関係のレッスンには向いてます。

そこで私は自分の脳内でアドリブの際に何が起こっているかを
考え始めたのです。感覚的にやっていた事を
体系化し、再現性のあるノウハウに変換する作業です。

参考の為に何人かのプロのワンポイントレッスンも受けました。
プロの方は
『それは練習だよ』とか
『それはセンスだね』とか
『沢山聴けばいずれできるよ』
と正解のような、正解でないような
答えばかり返ってきました。

『アドリブの秘密、仕組みを知りたい』

この思いが24時間365日、私の脳みそを支配しました。
どうすれば誰でもアドリブを習得できるのか?
この答えを必ず見つけてやる。

そんな事ばかり考え、多くの生徒さんでテストさせてもらい、
色んな方法を色んなタイプの人に試しまくりました。
その頃、私に習っていた人、力不足ですみませんでした。
またご協力ありがとうございました。

また長くなったので今回はこの辺で。