渦男のジャズ道場

八王子の音楽教室ミュージックサロンア・ミューズのサックス講師 網 渦男のブログです。 サックスに関すること、ジャズに関することなどをまとめております。(旧さきこら)

2017年06月

間が開いてしまいましたが前回からの続編です。
これは実は以前どこかで書いたものの草稿なのですが
以下、少し手を加えて書き直してみます。



音楽で大事な事は『伝える』事だと思います。
ジャズと言う事にフォーカスして話を進めるならば
『アメリカの伝統芸能としてのジャズから何を学び、何を伝えるか?』
と言う事になるでしょう。

当たり前の事ですが、ジャズは耳から学ぶものです。
耳から学ぶ情報は大きく分けて2つだと思います。
『何を言っているか?』と
『どのように言っているか?』です。

以前の記事で『模倣』について書きました。
アメリカで生まれたジャズと言う音楽について
多くの日本人は既知の情報など乏しいものです。
生まれも育ちも生粋のニューオリンズというなら話は別ですが(笑)

我々日本人は美空ひばりや北島三郎、
松田聖子や郷ひろみ、ドリカムやサザン
安室奈美恵やミスチル、浜崎あゆみやB'z、
いきものがかりやSMAP、AKBやEXILE(もうええか)
などを聴いて育っています(笑)
生涯で『Thelonious  Monk』なんて難しい発音をする事無く
人生を全うする人がほとんどでしょう。

ですからジャズを学ぶにはまずは『模倣』から
学ぶ以外にないのです。

話を『耳からの情報』に戻して、今回はこの2つのうち、
『何を言っているか?』
について考えてみたいと思います。
『どんな音をプレイして(伝えて)いるのか?』
と言う事です。

これはいわゆる『耳コピ』という
非常に面倒な作業でもって探求していきます。

昨今は音源の音程はそのままで再生速度を下げて聴く事が出来る
というドラえもんの秘密道具みたいな便利なソフトがあるので
以前よりは容易くなりましたが、私が学生の頃は
カセットテープ(CDだと細かい再生と一時停止がやりづらい)で
下手をすると1拍ごととか聴いては止めて確認の繰り返しで
好きなプレイヤーを採譜していました。

マイケル・ブレッカーの超絶フレーズなんぞ
初めは1拍に10個以上もワケの解らん音が…
全く聞き取れませんでしたね(笑)

慣れると一度に何小節も聞き取れるのですが、
そのスキルが身に付くまでが大変だったのです。
おかげで全てを採り終える頃には
スラスラプレイできるようになっていたりしました。

これらの情報は聴く人の『知的』アンテナをくすぐります。
情報量が多かったり、内容が高度だったりすると
『すげー、チョーヤベー。』となって
心を奪われるのです。

『自分も宮崎哲弥や勝間和代のように頭の良さそうな事を言ってみたい』
という感じで影響されたりします(笑)。

そうしていろんなプレイヤーのいろんな発言(音源)を
学んでいくのです。

それらの情報、イディオムを音楽理論的にアナライズし、
体系化して理解していきます。(Input)
これは以前書いた言語化の作業です。

そしてそれを使用(試用)すること(output)により
失敗や成功を繰り返しながら体得(incorporation)
していくのです。

ではジャズマンは即興(output)の際に
どのような過情報処理を脳内で起こっているのでしょうか?

たとえばBluseでG7というコードが想定された場合、プレイヤーは
まずは大きく2つの選択に迫られます。

①プレイするのか?
②プレイしないのか?

というのは半分冗談で(笑)
プレイする前提ですとまずは

①単音か?
②複数音か?
です。

そして複数音を選択した場合にさらに選択が待っています。

③コーダル(ヴァーティカル)なアプローチをするか?
④モーダル(ホリゾンタル)なアプローチをするか?
です。

さらにコーダルなアプローチを選択した場合には
⑤G7のコードトーンをプレイする。
⑥G7のアッパーストラクチャートライアドをプレイする。
⑦G7 のオルタードテンションをプレイする。
⑧⑤~⑧のミックスして、ヘキサトニック(トライアドペア)でプレイする。
という少なくとも5択が考えられます

一方モーダルなアプローチを選択した場合には
⑨Gのメジャーペンタトニックをプレイする。
⑩Gのマイナーペンタトニックをプレイする。
⑪Gのブルーススケールをプレイする。
⑫Gのミクソリディアンスケールをプレイする。
⑬Gのリディアン♭7thスケールをプレイする。
⑭Gのホールトーンスケールをプレイする。
⑮Gのコンビネイションディミニッシュスケールをプレイする。
⑯Gのオルタードスケールをプレイする。
⑰それ以外のスケール(Gypsyやメシアンの第5旋法など)をプレイする。

ざっと挙げてみただけでもこれだけの選択肢があります。
さらにこれらは言葉で言えば『カナ』に過ぎないので
音楽の場合、必要に応じてこれらを連結させ、上昇、下降させたり、
任意の長さで区分してリズムを生み出したりするわけです。
選択肢は無限です。

アルファベットは26文字、平仮名は46文字でその組み合わせも
無限ですが我々は『単語』の組み合わせでコミュニケーションしています。
ですからG7に対して17以上の選択肢があっても、
すでに出来ている単語や熟語や常套句でプレイすれば処理スピードは上がります。

以前、このブログで
『アドリブなんて特殊な天賦の才能がなければできないのでは?』
という質問をしばしばされると書きました。

ジャズミュージシャンとしては
『そうです、だから高いギャラください。』と言いたいところですが、
実は違うのです。

アドリブ自体は誰でもできます。質は別として。

以前書いたように『言語中枢』を使うだけですから。
ではどのように効率的に、適切に表現が可能となるのか?
その具体的なスキル獲得法に関しては次回に譲ります。

今、ジャムセッションが非常に盛んです。
昔のジャムセッションはといえば、
ゴイスーなロープーの人たちがホストだったり、
遊びに来ていたりして、迂闊に参加した日には
高速でGiant Steps大会が開催されていたり、
Bluesならば大丈夫であろうと飛び入りすると
1コーラスごとに12キー転調という洗礼を受けたりと
素人は大怪我をしかねない北アルプス並みの敷居でしたが、
今は初心者大歓迎!でペンタトニック1つ覚えたくらいでも
充分参加できます。

この嘗てないほどのアマチュアジャズプレイヤー大量増殖により、
今は日本にジャズ語が最も広まった時代なのです。

江戸時代の日本の識字率は当時の世界でトップクラス。
武士の識字率はほぼ100%だったそうです。

そこから庶民の川柳や歌舞伎、落語などの文化が花咲きました。
果たしてこの空前のセッションブームは江戸時代同様、
日本人にジャズという文化の華を咲かす事ができるのでしょうか?
大いに期待したいところです。


P.S.
次回は『どのように言っているか?』について書きます。



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前回の投稿記事が
『ボカシ過ぎて話が全く見えん!』
と早々にご意見を頂いたので少しだけ解説すると、
そもそもGlenn MillerのIn The Moodは1939年の作品なので
ジャズと一言にいっても『Swing Jazz』であると言う事です。

『Swing Jazz』と言うのは『For Dance』。
つまり躍らせる為の音楽なのです。
音楽的に言うとドラムはバスドラムは1、3拍目に打つ事が多く、
『ドン、チャ、ドン、チャ、』のパターンが基本です。
フレキシブルに反応してバスドラムを打つのは
1940年代初頭にKenny ClarkeがBebopのドラムスタイルを構築してからです。

さらにこの頃はベースも生音だった為、大きな音を出す為に
弦高を高くしていたので音が『ボン、ボン』と短くなりました。
そのような短めのピチカート奏法とドラムの一定のパターン、
に加え8分音符は踊りやすいように3連符のようにバウンスしていました。
シンバルレガートや『チーンチッキ』、
ハイハットワークは『シーシッキ』となっていたわけです。
そうなると4ビートの各ダウンビート(オモテ拍)が強調され
ステップが踏みやすくなるのです。

ジャズのアーティキュレーションは一般には
アップビートが強調されますが、ここで大事な事は
『Swing Jazz』とBebop以降の『Modern Jazz』とは
グルーヴが違うと言う事です。
Bebopは『For Musicians』で
Modern Jazzは『Listening』なのです。
従ってダウンビートの規則的なアクセントよりも
アップビートや不規則なタイミングでのアクセントが好まれます。

勿論、芸術なので、時代や人によって
はっきり別れると言う事ではなく、
Swing寄り、Modern寄り、とか傾向性が分かれると言う事です。

Swing とBebopの過渡期の『中間派』の演奏↓

リズムセクションはオールドスタイルだが
ホーンセクションにBebopの萌芽が微妙に垣間見られる。
この頃になるとリズムセクションはもうBebopっぽいが
管楽器の音の切り方やアクセントはSwing時代を感じさせる。


カウント・ベイシー楽団に於ける魅力の1つは
この2つの時代のグルーヴが共存していると言う点であることは
ビッグバンドをやっている人なら周知の通り。

※テーマの1コーラス目のグルーヴとヴァンプ以降のTuttiでは
リズムセクションのグルーヴやホーンセクションフレージングが
明らかに異なっているのが解る。
この間にメンバーはグルーヴのタイムスリップを楽しんでいるのだ。

本家Glenn Miller楽団に於いても時代により、
ホーンセクションのフレージングが50年代以降は
若干、Bebop寄りに変わってきているようです。
私はIn The Moodはもはや『伝統芸能』の域に達している(笑)
と感じているのでトラディショナルなフレージングで
演奏して欲しいと思っています。
『目黒のさんま』や『時そば』を現代口語でやられても
『オツだねぇ』とは思わないのです。

P.S.
講座内で話題になったアーティキュレーションの違い↓
Stan Getz(中間派)


 Sonny Rollins(ハードバップ)

本日のビッグバンド講座はスペシャルゲストの
熊本泰浩氏の登場によりまさにスペシャル内容になりました。

正直に申しますと私自身、反省いたしました。
当初、この講座は
『みんなでビッグバンドを楽しくやる』
だけではなく、
『きちんとビッグバンドのアンサンブルや
ジャズのエッセンスを理解し、体感、表現する楽しさを学ぶ』
というコンセプトでスタートしたにもかかわらず、
ビッグバンド未経験者ばかりである事や、
まだまだ技術が未熟な人が多い現実を前に
私自身が『このくらいの目標設定でレッスンでよいかな』
という無難な選択をしておりました。

はっきり言えば
『そこそこの学生バンドや社会人バンドのレッスンくらい』
の内容でも充分であろうと思っていたのでした。

個人のレッスンであれ、バンドのクリニックであれ、
クオリティと言うものは様々で、
例えば『旨いラーメン』を作るのであれば
『料理のイロハ(技術や器具の使い方)を教える』レベルから
『苦労して編み出したレシピを教える』レベルもあります。
私はこの講座をそれらのレベルを教えていけばよいと思っておりました。

しかし熊本氏は違いました。
『そもそもラーメンとは何ぞや』とか
『素材の吟味の仕方とその意味』から教えたのでした。

私は正直『それはそうですけどこのメンバーはまだ…』と思ったのですが、
正論を否定するワケにもいかないので『う~む』と
思いながらも、熊本氏に任せたのでした。

氏はまさに『どんな水で出汁をとるか?』から始めたのです。
私は失礼ながらもこのメンバーに
『水の良し悪しが解るだろうか?』と疑問でしたし、
そこから始めるのは理想だが、ものすごーく時間と根気が必要だし、
講座内で参加者が満足できる内容まで到達できるだろうか?
との不安もありました。

勿論、私自身はその重要性は理解しているつもりですし、
『プロになりたい』というレッスン受講生には
そのようなレベル、内容のレクチャーをしてきました。

何やら話をボカシすぎて伝わらないかも知りませんが(笑)、
その内容は
『多くの日本人ビッグバンドプレイヤー(アマ)が誤解や軽視しているポイント』
ですし、一部のプロも含まれたりするのでここでは詳しく書きませんが
『リズム』や『グルーヴ』と『アーティキュレーション』の関係についてです。

実際、講座は『In the Mood』のイントロ4小節で90分(!)
テーマ12小節で90分というへヴィーな内容でしたが、
講座が終ったときの演奏ときたらまさに『Great!』でした。
メンバー、そして熊本さん、本当にありがとうございました!

今回の『一般的には○○だけど本当は△△なんだよね』って言う事、
他にもたくさんあるように感じます。
そういうのって正しくちゃんと伝えていかなきゃならないのですね。

自分は弁えてるけど一般の受講生には○○で充分というは
受講者の可能性をつぶす事にもなると反省いたしました。

まさかあんなによくなると思わなかったので私が大変勉強になりました。
次回のレッスンが楽しみです。
今後は出し惜しみせず、どんどん『プロの流儀』を
ビッグバンドをやった事の無いこのメンバーにぶつけて
アッと驚くバンドに変身するように全力尽くしていきます!
みんな『まさかの成長と発展』をしましょう!


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