渦男のジャズ道場

八王子の音楽教室ミュージックサロンア・ミューズのサックス講師 網 渦男のブログです。 サックスに関すること、ジャズに関することなどをまとめております。(旧さきこら)

2017年08月

前回のあらすじ

ひょんなことから音楽活動に復帰できた私は
大手音楽教室の講師として70人以上の生徒を受け持つ事に。
そこで『アドリブをやってみたい』との要望に
アドリブ習得のノウハウを手探りながら
試行錯誤を繰り返す日々を送っていました。

アドリブを習得しようと思っても
多くの人は『どうすればよいのか』が解りません。
やる事が膨大すぎて何からどう手をつけてよいか解らないでしょう。

私も初めはそうでした。
闇雲に理論書を買って、読んで、挫折して、
コピーして、使えずに、挫折しての繰り返し(笑)。
大量にコピーをする事で感覚的に
アドリブは出来るようになってはいましたが、
自分が出来る事と教える事は別物です。

教える側になったら体系化して
誰にでも通用する再現性が無くてはなりません。

私はヒントの1つとして、
『プロはどのようにアドリブをマスターしたか?』
を調べてみようと私は思いました。

多くのプロの方を調べてみると、
『○○さんに弟子入りした』という
『徒弟制度』のパターンが非常に多かったのです。

しかもある程度の長期間、厳しい課題を与えられ、
訓練されるというパターンです。

これはサービス型レッスンには向きません。
受講生は弟子でなくお客様、
『顧客満足度』というのがKPIとなりますから
スパルタで鍛える事など無理です(笑)
30分(当時は30分が1レッスンでした)で
悩みを解決し、満足してもらい、達成感を
感じさせなくてはなりません。

そうすると目標が下がるので1レッスンが
人によっては『牛の歩み』どころかカタツムリくらいになってしまいます。
そんなレッスンが続いてモチベーションを維持して貰えるかは、
講師として悩ましい事でした。
先がなかなか見えない闇では挫折してしまいます。


『アドリブなんか教えないでジャズの曲だけレッスンしておけばいい』
と言う声も有りましたが、アドリブをやりたい人にとっては
それはすり替え、誤魔化しになります。
いまだにそういう教室は多いようですが。

『誰でも、しかも短期間で』
アドリブをマスターできるノウハウは本当に無いのか?
これは私のミッションでした。

3年後、大手をクビになった私は今の教室を立ち上げます。
よりジャズ色を打ち出した教室にした事もあり、
ジャズ好きの人が集まりました。

その頃には私自身がアドリブの習得について
ノウハウはある程度、検証され、整理されておりました。
ここでも何度か触れておりますが、アドリブ習得には
大きく分けて以下の2通りがあると分類しました。

1つは慣用句、常套句である『Lick』を多く記憶し運用する事。
これはBebopの曲のコード進行などには最適です。

『Lick』の多くがBebopで多用されるツーファイブ的な
進行に対するものですので、暗記さえすれば即戦力です。

ジャズの共通語とも言えましょう。
例えばこんなものです↓

ジャズ道場 『ツーファイヴフレーズのアナライズの巻』



もう1つは本当の即興、もしくは
『Lick』ほどシェアされていない『独自の言語(文法)』を持つこと。

これらはコード進行のパターンと言うよりも
コード単独に対してのアプローチとも言えるかもしれません。
例えばショーターのフリジアンなフレーズなどです。
※マイケル・ブレッカーのコンディミ1発フレーズなどは
もうみんなやるので『Lick』と言っていいかもしれません(笑)。

まず『Lick』に関して言えば、『Lick』だけで
アドリブを乗り切るのは大変です。
沢山覚えなければならないからです。
『Lick』に当てはまらないコード進行には使えませんしね。
ですから『部分使用』が現実的なところでしょう。

ではもう一方の『即興』ないし、『独自の言語』の構築は?

これには最低限の理論的情報知識が必要です。
深く膨大な理論は必ずしも要りません。
最低限で構わないと思います。

私はこれらを最低限の知識を
コード、スケール、ダイアトニック、ドミナントモーション(Ⅱm7Ⅴ7を含む)
くらいでよいとしています。
※拙著『ジャズ道場~初級篇~』の範囲です。

余裕があればオルタードテンションを含んだコードや
ホールトーン、オルタード、メシアンの第5旋法(MTL)などの
特殊なスケールを仕入れても良いでしょう。
※拙著『ジャズ道場~中級篇~』の範囲です。

その他、ヘキサトニックやトライアドペア等の概念は
All The Things You Areや、Stella By Starlightが
目を瞑ってでも出来るようになってからで良いと思います。

まずはシンプルに考えてシンプルに表現する事です。
例えば以下は『枯葉』の最初の4小節です。

123


①は『Lick』、②はスケール、③はコードのみでの
アドリブ例です。
②や③でもニュアンスさえきちんと付ければ充分カッコイイのです。
特に③は私がレッスンで『高倉健奏法』と名付けた、
言葉数の少ないスペースを活かしたアプローチです。

実は大半のアマチュアプレイヤーはアドリブになると
『とにかく何か演奏しなくてはならない!』
という謎の焦り、義務感でやたらめったら音を出す傾向にあります。

『何を表現したいのか?』すら定まっていないのに
『とりあえず何か音を出す』ことばかりに追われてしまいます。

私はいつも『設計図』を描きましょうとレッスンで力説しています。
図面も無いのにいいアドリブの構成など困難です。

図面に『ここは○○なフレーズ』『ここは△△なフレーズ』と
定まっていれば、その発注に応じたフレーズを
脳から発送すればいいのです。


なんと簡単な仕組みでしょう!
アマチュアこそ、このシステムで作文を書くように
アドリブを構成すべきと思うのです。

『Lick』でのプレイは暗記が得意な人は向いておりますが、
私のように苦手な人は大変です。
また常に『覚えている事をプレイする』という記憶に縛られた
プレイになりがちです。
本来、ジャズは自由なはずで、みな違うはずです。
あえてみんなが覚えているフレーズを覚えてプレイしたければ
それでも良いですが『人と違う事がしたい!』と言う人は
このやり方の方が向いています。
ただし、『シンプル』は裏を返せば『幼稚』になりがちですから
表現方法や、構成にはセンスを磨かなくてはなりません。

作文や日記が書ければアドリブができる!

これが私の到達した結論でした。
私の教本『ジャズ道場』にはこんな一文が書かれております。
『アドリブ挫折者ゼロへの挑戦!』
これは私の本気のミッションなのです。





                                                             


 

前回のあらすじ

大学卒業後、ある方に出会って私はジャズに関して多くを教わりました。
それらの知識と大学時代のコピーのデータが脳みそに混在していたのが
24~26歳の頃かと思います。
当時の同世代は着々とプロとして活動し始めておりました。

そんな中、私は一度、音楽を断念します。
父親の仕事がなくなり、一人息子の私は、
両親を支えなくてはならなくなりました。

20代後半にもかかわらず『ミュージシャンを目指す』などという
中二病の甘っちょろいマインドは許されなくなったのです(笑)

私はテナー、ソプラノ、クラリネット、フルートなど楽器を全て売り、
名古屋へアパレル関係の仕事に就くために引っ越しました。
CDやオーディオ、教本なども全て売り払いました。
就職の条件が『音楽を諦める事』だったのです。


そこで色々あったのですが、本題とは関係が無いので
省略、ひょんなことから1年弱して東京へ戻り、
某大手楽器店の音楽教室のサックス講師の面接を受ける事に。

楽器が無いのでろくに吹いたことも無いアルトサックスを
後輩に借りて2週間ほどリハビリし、
無謀にもオーディションを受けに行きました(笑)。

オーディションと聞いていた私は夏だったので普通に
Tシャツと短パンで行きました。
しかし面接会場に着くとみんなスーツ着用ではないですか!!
そうですオーディションでなく『面接』だったのです(笑)。

あれほど『穴があったら入りたい』と思ったことはありませんでした。

しかも周りの人は『音大』や『芸大』出身の人達らしく、
『お~○○さん久し振り~フランス留学の時以来じゃない?』
などとみんな知り合いのようでした。

『人種が違う…』

完全なるアウェイ』
という文字が
立体になってマンガのように私の頭上にガーンと振ってきました。
母からは

『これが最後のチャンス、これに落ちたら本当に音楽は諦めなさい』

と言われておりました。
そんな最後のチャンスに私はなんと
『やらかして』
しまったのです。

他の人たちは実技で『~のソナタ』や『~のコンチェルト』など
なにやらクラシックの現代曲的な演奏をしておりました。

そんな中、私の演奏した曲は
『Donna Lee 』でした。
タイトルを行った瞬間、面接官は目が点でした(笑)

しかも無伴奏なのでアドリブといっても
アカペラで私は

『脳内リズムセクション』

で演奏したワケです。

面接官の何人がこの不可解な状況を理解したでしょう(笑)。

今、思い出しても冷や汗が出ます(笑)。

アドリブに入って2コーラス目くらいで面接官が

『あ、あの~シトウさん、これ、いつまで続くんですかね?』

と私の演奏をさえぎって聞いてきました。

『もう死にたい(涙)』

と思いつつ、
『あ、スンマセン、終ります。』

と演奏は強制終了。

パーカーを演奏したはず私の脳内では
帰りの中央線の車中ずっと
ショパンの『葬送行進曲』
流れておりました(笑)

そんなダメダメな面接でしたが、
実は私、合格しておりました。

しかし、その会社的に『音大卒以外』の採用は初めてということで
『試験(仮)採用』という『但し書き』が付きました。
試用期間内に業績が悪ければ『クビ』です(笑)。

でも、私としては音楽をやってよいという
『ラストチャンス』を得たことで、
そんな『但し書き』など微塵も気にしませんでした(笑)

サックスが吹けるだけで幸せでした。
その試用期間内に、私は幸運にも生徒を増やし、クビも免れ、
半年後には全国トップの講師にまで登りつめます(笑)
幼い頃から私の人生はジェットコースターです。

そのような業績を出せたのは必死というよりも、
私がサックスを吹ける喜びに溢れていたからでしょう。
新米の私は70名以上の受講生を担当することになりました。

そんな大量のレッスンの中で、受講生の切実な悩みに直面するのです。
『いつかアドリブをやってみたい…』
当時(2000年頃)はまだ今ほどのセッションブームはありませんでした。

教材や情報も今ほどない頃です。
それより何より、私自身がアドリブは全く『感覚的』にやっていたので
アドリブのレッスンノウハウ自体が『体系化』もされていませんでした。
人に教えられるのか?というレベルです。

ですので当時の私のアドリブレッスンは

『マイナスワンを聴きながらアドリブをスキャットしてみる』

だったのです。

スキャットができればメロディが浮かぶということですから
『それを楽器で出来ればよい』と考えたのでした。

頭に浮かんだメロディを楽器で出来るようにする練習法、ノウハウは
ここでは『内緒』(笑)ですが、
このやり方の問題点は
感(センス)がいい人に限られてしまう事です。


メロディが思い浮かぶセンスと楽器のコントロールセンスです。
これらはある方法で養う事が出来ますが時間を要します。

すぐに結果を出さねばならない企業の
『サービス型レッスン』には向かないのです。
長期にわたる師弟関係のレッスンには向いてます。

そこで私は自分の脳内でアドリブの際に何が起こっているかを
考え始めたのです。感覚的にやっていた事を
体系化し、再現性のあるノウハウに変換する作業です。

参考の為に何人かのプロのワンポイントレッスンも受けました。
プロの方は
『それは練習だよ』とか
『それはセンスだね』とか
『沢山聴けばいずれできるよ』
と正解のような、正解でないような
答えばかり返ってきました。

『アドリブの秘密、仕組みを知りたい』

この思いが24時間365日、私の脳みそを支配しました。
どうすれば誰でもアドリブを習得できるのか?
この答えを必ず見つけてやる。

そんな事ばかり考え、多くの生徒さんでテストさせてもらい、
色んな方法を色んなタイプの人に試しまくりました。
その頃、私に習っていた人、力不足ですみませんでした。
またご協力ありがとうございました。

また長くなったので今回はこの辺で。

『シトウさんはどうやって
 アドリブができるようになったんですか?』

以前、ある生徒さんからこんな事を聞かれました。

実は私自身は大学時代、
いわゆる『ジャズ研』には入っておりませんでした。
私が入っていたのは『ビッグバンド』のサークルでした。
そうです。グレン・ミラーやカウント・ベイシーなどの
『ビッグバンド』の曲の『譜面』を演奏するサークルです。

しかし、ご存知の方もおられるかと思いますが
『ビッグバンド』でも曲の中で『アドリブソロ』があるのです。

高校時代、『一応』吹奏楽部に所属していた私は、
『楽譜』はなんとか演奏できましたが
(それでもジャズは難しかったです)
『アドリブ』なんてやった事なかったのです。


先輩にアドリブを教わろうと思っても、
アドリブを教えてくれるような先輩は居ませんでした。

当時の私に出来た事はとりあえず
『参考音源のアドリブをコピーする事』
でした。

それでもその曲を知っている人は
『あれは音源のコピーだな』
とアドリブでは無いことがバレてしまいます。

なんとかアドリブが出来るようになりたいと思っていながらも、
当時は今ほど情報もなく、
誰かプロのレッスンを受けようにも、
学費と生活費の全てをアルバイトで稼いでいた私にとっては
そんな余裕も無いと諦めていました。

今思えば、なんとか無理してでもレッスンについていればよかったと
本当に後悔していますが、若さゆえの無知だったのでしょう。

それでもOBの先輩にプロで活躍されている方がいらっしゃったので
そういうOBが部室に遊びに来るとガッチリとマークして(笑)
色々教わりました。

今思えば、それらをきちんと理解できていたかも
甚だ疑問ですが(笑)なんとかコードやスケールの事などを
わずかながら学べたかと思っています。

大学3年生の時にその頃『これを読め』と言われていた
渡辺貞夫さん著の『ジャズスタディ』を買いましたが、
何が書いてあるのかさえサッパリ解りませんでした(笑)
(今でも新品のようなきれいな状態で持っています(笑))

理論の学習を断念した私は先輩の
『コピーは沢山したよ』
との言葉を信じ、ひたすらジャズマンのコピーをしまくりました。

初めは、1小節に何時間もかかりましたが、
そのうち1回聴いただけで何小節も音が採れるようになりました。
↑2行で済ませてますが、随分かかりましたよ(笑)


ビッグバンドのソロ以外で初めてコピーしたのは、
ソニー・スティットだったと思います。
その後、OBの先輩に洗脳されて
マイケル・ブレッカー→ボブ・バーグ→スティーブ・グロスマン
↑良い子はこの順番、真似してはいけませんよ!
その後やっとソニー・ロリンズ、デクスター・ゴードン、
ハンク・モブレイなどでしょうか。

本来は、コールマン・ホーキンスやレスター・ヤングなど
古い人からコピーして勉強すべきと思うのですが、
そんなことさえもわからなかったのです(笑)


勿論、コピーをしただけで一番大事な
『アナライズ』なんぞ、
一切しませんでした。
そんな事もわからなかったのです。
ですからコピーから何も学んでいない状態でした(笑)


『手癖』をつけただけでそれをいつ使うかも解らないという
本当にアホな大学生でした(笑)。


それでも沢山コピーしていると感覚的に
『あ、ここであのフレーズが使えるかも?』と思って
勇気を出して使ってみると

『奇跡的に』

ハマッたりする事があるのです。

そうするとアホな私は

『オレ、天才かも』

と思ったりしたのでした(笑)
今、私の前に当時の自分が居たら小1時間説教をしたいほどです(笑)

大学を卒業して就職もせずにプラプラとしている時、
とあるビッグバンドのトラ(サポート要員)で練習に行った時に、
私はある方に逢いました。

その方は私にジャズの多くの事を教えて下さったのですが、
そのエピソードはまた別の機会に。

ともかくその方に私はジャズ理論についても教えて頂き、
(きちんと師事したわけではないので申し訳なくて弟子とは言えません)
アホな私でもじゃずのアドリブの世界が少し見えたような気がしたのです。

が、しかし、少々ジャズのアドリブの世界が見えたゆえに

『こんなにたくさんの事をしなければならないのか!』

と理想と現実の距離に途方に暮れたのも事実です。

その後は教わった理論と、大学時代のコピーとが、
セッションと言うリアルタイムの即興と言う場で
少しずつ、少しずつ、融合、醸造していった時期がありました。

少々長くなったので今回はこのくらいにしておきます。




                                                             


 



耳コピーの意味

以前も『耳コピー』(採譜)に関しては何度か書いたと思いますが、
最近、何人かに
『耳コピーが苦手だが、必要か?』
との質問を受けたので、
この機会にまた改めてまとめてみようと思います。

【耳コピーの必要性】

①聴く力の強化

名演を聴くと言う行為は『読書』にあたります。
inputですね。
しかし、このinputの質(情報の精度)と言うものは
個々の耳の良し悪しによって
ばらつきがあり、様々でしょう。

1回聴いて音楽的にそこで何が起こり、
プレイヤーがどんなコンセプトで、
どんなアプローチを仕掛けて、
どんな展開に発展しているのか?を
リアルタイムで認識しながら聴けているか?

それとも

『すげー、カッコイイ―!』で終わってるか?
は人それぞれです。

つまり、
『今鳴っている音が何か解る』ってことです。
『何の音』かはわからなくていいです。

言い換えれば
『音が何を表しているか?』
が解ればいいのです。

даとかнетとかスペルが解らなくても
ダ、とかニェットって言えて、意味が解れば
コミュニケーションとしてはOKなのです。

『日本語わかりますか?』ってことですよね?
音楽の大大大前提です。

しかし、日本の音楽教育や吹奏楽の世界では
『まず譜面ありき』だったりします。
まず、というか『譜面しかない』って人もいます(笑)。

以前、うちの教室の講師のオーディションに来た
某有名音楽大学のサックス科を首席で卒業したという女性。

『私の演奏にハモってください』と言ったら
無言で固まってます。
『さあ、ハモってください』と言うと
『譜面ください』と…。

4年間、音大通っても、
フランスに何年か留学して大先生に師事しても、
音への認識能力、反応能力は
ギターかき鳴らしてるストリートミュージシャンや
アカペラ好きの中学生には及ばないってこともあります。

今聴こえてる音が何か?を認識したり模倣できないと
その言語を話す事は困難ですよね?

耳コピは読書ではなく
『書きお越し』や『写経』と言いましょうか。
まずは書き起こす能力が必要です。
情報を正確に記録すると言う事です。
ですから耳コピは頑張って挑戦しましょう。

②思考のコピー

これはジャズに限ったことですが、
フレーズをコピーする意味は2つあります。

たいていのアマチュアはそのフレーズを覚えたいから
コピーします。for Memorizeです。

実は他にも理由があります。
そっちの方が100倍大事です。
一体、何のためにコピーするのでしょう?
それは分析するためです。
for Analyzeです。
そのフレーズ自体がどのような要素で構成されているか?
の『成分分析』もありますし、
前後の文脈や構成を調べる『思考の分析』もあります。
ジャズにおいてはこの思考のコピーが重要だと思うのです。

『ほいけんた』というタレントさんがいます。
明石家さんまさんのモノマネをする方です。
ほいけんたさん↓



この方は話し方のアクセントや体の動き、
話す内容、リアクションなど、まるでさんまさん本人ではないか?
と思うほどそっくりです。大変研究なさっておられるのが解ります。

この『ほいけんた』さんが
『私にはさんま脳があるんです』とおっしゃっておりました。

さんまさんに関する膨大な情報量をインストールすると
『さんまさんならこう考え、こんなことを言ったりやったりするのではないか?』
と言うのが解ってくるというのです。

これ、ジャズマンとしては非常に頷けるポイントなのです。
パーカーにはフォロワーと呼ばれるプレイヤーが多くいます。
コルトレーンもです。
彼らフォロワーはパーカーやトレーンをシコタマ研究したのでしょう。
思考までコピーし、パーカー脳やトレーン脳を作ってしまったのでしょう。
成功した人はそこにオリジナリティをプラスして
自分のスタイルを構築したのでしょう。
成功しなかった人はそっくりさんで終わってしまったかもしれません。
芸能界でそっくりさんは食っていけるかもしれませんが、
ジャズ界では食っていけません。あ、いけてるかな?(笑)

それはともかく、私が訴えたいのは、
そっくりさんになることではなく、思考をコピーして、
同じコード進行でも、パーカーはこう考え、トレーンはこう考え、
ロリンズはこう考え、マイルスはこう考えたのか。
と分析すれば宝のような重要な情報が得られると言う事なのです。
だって一流のジャズマンの脳の中を覗くような行為ですから。

そうやって多くのジャズマンの思考の流れ、脳をコピーし、
自分のアドリブ脳を作っていくのです。
それが『自分のスタイルを構築する』という、
ジャズで最も大事なゴールなのです。



                                                             



『同じ箇所を何度も間違えてしまう癖が治らない』

との悩みをよく相談されます。
毎回#や♭を落としてしまったり、
休符を数え間違えたりなどです。

人間の脳は過去の記憶を参考に判断し、
体に命令を出します。

同じミスをする人は、実は
練習の仕方が間違っている場合がほとんどです。

あるフレーズを練習していて
『100回目にやっと出来た!』とか
『50分やってやっと出来た!』はダメです。

前者は99回間違える癖を体に叩き込んだだけ。
後者は49分も間違える癖を体に叩き込んだだけ。
です。

恐らく本番は叩き込んだ癖の方が再現されるでしょう。
人間の脳は多く経験した方の記憶を再生するように出来ています。

ではどうすればよいのか?
私は『超・安全運転練習法』を提案しています。
例えばテンポ120なら60以下に落とします。
次の音が(休符が)何の音で何拍か?臨時記号は付いているか?
解ってからその音を演奏させます。
そこで一時停止しても構いません。メトロノームは無視です。

『右見て左見て、もう一度右見て』の精神です。
次の音が正しく認識していないのに演奏するから
間違えるのですよ。それでは単なるバクチです。
しかも確率の低い。

でも、なぜ、わからないのに演奏しようとするのでしょうか?
モノホンの音源のイメージが脳内で流れているからなんとなく
出来てしまうのではないかという『謎の思い込み』です。
正確さよりもテンポや音源の記憶が優先されているのです。
目の前に楽譜があるのに。

ピントが楽譜でなく脳内の音源に合っているのです。
これを変えなければなりません。

記憶は練習中はインストールされた音源再生に使うのではなく、
練習中の覚書きの体験として使いましょう。
エピソードバッファというやつです。

『ここは毎回こう間違えちゃうんだよな』とか
『ここはこうやって練習してできるようになったな』など
リスクマネージメント、成功体験として記憶は使いましょう。

そして演奏中にそこの少し手前でぼんやり思い出せばよいです。
ボンヤリで結構。意識のピントは楽譜と自分の音へ向けましょう。

復習用に楽譜と別にメモを取るのは構いませんが、
私は楽譜に書き込むことに関しては大大大反対主義者です。
理由は
①書いただけで満足、安心してしまう。
②音符を俯瞰で読みにくくなり意識もミクロになる。
③メモの方に意識がいって周りの音が聴こえなくなる。
などなどです。
ドレミをカタカナで書くなんてもってのほかです。
書いたら永遠に読めるようになりません。
おたまじゃくし無視する練習してるんですから。

高校生の時のブラスバンドの顧問の先生から
『楽譜に書き込むな』と言われた事は今でも感謝しております。
楽譜が真っ黒になるほど書き込むと
『すっげえ練習したな』と自己満足にはなりますが(笑)、
奏者は楽譜を通して(楽譜に向かって)演奏してしまい、
周りの音を聴いて自分をどうサウンドさせるか?
という意識が希薄になります。

『楽譜の通りやってるのだからいいのではないか』
という意見もあるかと思いますが、
音楽ってそんな縦割りの分業制では無いと思うのです。
プラモデルなら設計どおりの部品を組めば完成品は出来上がりますが
それならDTMで打ち込めば済む話でしょう。
最近はニュアンスかなりつきますし。

私は音楽は生き物だと思っています。不測の事態も起きます。
リアルタイムに鳴っている音を有機的なネットワークで繋ぐ事の
面白さ、素晴らしさだと思うのです。楽譜が有ろうと無かろうとです。
それはビッグバンドでもクラシックのオーケストラでも同じではないでしょうか?

そもそも譜面をさらうという行為は楽譜という紙切れから
意識を拡大し、実際のサウンドに発展させるという
楽譜→現実の音世界という意識の『拡大』の作業と思っています。
前頭前野の情報空間で臨場感を得るという
瞑想や祈りに非常に近い行為なのです。
だから他者(聴衆)と、世界と自分が一体である(繋がる)
と感じることが出来るのです

練習中の『間違えやすい自分』を『メタ認知』する事も重要ですが、
演奏中の自分も『メタ認知』する事が大事です。
客観性や俯瞰と言ってもいいでしょう。
自分を改革するには『メタ認知』が必要と脳科学では言われます。
私のレッスンは『メタ認知』の連続です(笑)
楽譜で同じミスをする人は『メタ認知』ができていないのです。

教室の受講生の方に発表会に出ましょうとお誘いするとよく、
『まだ完璧じゃないので…』と仰る方がいます。
私は『完璧な演奏ってどんな演奏ですか?』と聞きます。
そうすると
『楽譜を間違えないように演奏する事です』
と答えます。
確かにそれはそう思うかもしれませんが、
『楽譜を間違えないように演奏する事』は
音楽のゴールでなくスタート地点です。
楽譜を『どう演奏するか?』が音楽なのです。

スタート地点をゴールと勘違いするからなかなか達成できないのです。
より高い所にゴールを設定してエフィカシーを高くすることで
ビジョンと課題が見えてきます。
先に書いた『まだ完璧じゃないので…』というのは謙虚ではあるけれど
目的達成の為には邪魔なのです。

楽譜の演奏がまだ出来ない事を批難しているのではないのです。
『こんな楽譜、自分なら1週間、いや30分で演奏できるようになるのだ』
と決めることが大事なのです。

『自分は初心者だから』『自分は楽譜が苦手だから』
このエフィカシーの低さが脳のパフォーマンスの質を下げているのです。

ですから私もレッスンでは『ここまた間違えましたよ』とは
あまり言わないようににしています。
言うとしたら
『○○さんらしくないですね~』です。

人は『貴方はいつもミスをするね』と言われ続けるよりも、
『貴方は本来はもっと優れて(素晴らしい)はずですよ』
と言われた方が伸びるのです。
子供の教育もそうでしょう。

私は『お前はダメだ』と言われて育ったので
未だにうまくいっていないのは仕方ないと
人のせいにしてます(笑)。



JAZZのアドリブ習得がなぜ難しいのか?
これはアドリブ習得をしようとしている人の大きな悩みでしょう。

この壮大なテーマの答えを導き出す為に
少し整理して考えてみましょう。

まず、『アドリブ』とはコードやその瞬間のサウンドをヒントに
瞬間的にメロディーを生成していく行為です。

その方法論、アプローチは大きく分けて2つです。
1つはコードや調性に則り、瞬間的にメロディーを紡ぐ事。
この様なアプローチをする人たちを俗に『Improviser』と言います。

もう1つはコードに紐付いたフレーズを記憶して、それを紡ぐ事。
この様なアプローチをする人たちを俗に『Lick man』と言います。
※Lickとはツーファイブフレーズのような常套句の事。

ジャズ史を見れば
前者はトリスターノ学派や新主流派などがそうでしょう。
後者はいわゆるパーカーを代表とするBebop系のプレイと言う事になります。

多くのプレイヤーは『Improvise』と『Lick』の2つのアプローチを
それぞれのスタイルや演奏する曲によって使い分けていると思います。

頻繁に使われている馴染みのあるコード進行であれば、
『Lick』の方が対応が容易だし、共演者のサウンドともマッチします。

複雑なテンションを含んだり、
あまり使用しない独特なコードだったり
そのサウンドの響きを重視した特徴的なであれば
コードやスケールでImproviseした方が
そのコードにあった抽象的な表現が出来るでしょう。

この様な2つのアプローチは
『Improvise』の場合はそのコードのサウンドを
どのようにフレーズとして表現するか?という
知識とセンスが必要となります。

『Lick』の場合はそのコードに対して
どれだけのフレーズをストックしているか?という
記憶量とそのアーカイブが必要です。

アマチュアはそれらのスキルのマスターが
高い壁となってしまうことが多いと思われます。

ここで、私の20年ほどのレッスン経験上ですが、
アマチュアはまずは『Improvise』のアプローチから
学んだ方が良いと思っています。

いきなりカッコイイツーファイブのフレーズを
覚えようとしても、使われている音の意味が解らないと
単なる丸暗記では、忘れてしまうことや、
思い出しにくいことが多いからです。

文章に例えると、いくらカッコイイからといって
芥川龍之介の小説を断片的に覚えても、
ストーリーのある小説は書けない。と言う事です。
また、丸暗記で大量に覚えるのは大変困難です。

まずは小学生の日記レベルで良いから、
自分の文章を書いてみることがスタートだ。
と私は思います。

それが慣れてスラスラ書けたら、
その基本文の変化形、活用形として
カッコイイ表現を覚えていけばよいと思うのです。
それが本当のボキャブラリーの増殖です。

ですので、まずは簡単なコードとスケールから
身に着けてスタンダードを攻略していきましょう!





                                                             


 

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