渦男のジャズ道場

八王子の音楽教室ミュージックサロンア・ミューズのサックス講師 網 渦男のブログです。 サックスに関すること、ジャズに関することなどをまとめております。(旧さきこら)

2017年12月

昨日で本年の営業を終えたので
今日は、先日イタリアを代表するジャズテナーの
Max Ionata氏のワークショップでお世話になった
マーマデュークミュージックへお邪魔した。

ワークショップの際は大盛況だった為、
なかなかゆっくり商品をチェックできなかったので
是非、このジャズサックスマニアの心をくすぐりまくる
『秘密基地』をしっかり探索したかったのである。

私自身のマウスピースやリードなどのアクセサリーの
物色もあったが、それ以上に、私がレッスンをしている
受講者の方のアクササリーや楽器の悩みもあったのだ。
というかそれが一番大きかったのだ。

というのも、解る人は解ると思うが、
近年のサックスやそのアクセサリー関連のメーカーの
複雑化というか群雄割拠の有様は甚だしく、
質の低下や、価格の高騰で以前のようにお客様に安心して
『これなら間違いないですよ』と販売できるものが
残念ながら少なくなってしまったのだ。

マウスピースにしても、敢えて名前は出さないが
アルトはコレ。テナーはコレ。という定番があった。
だがそれらは年々価格が高騰し、ここ数年で
倍近くの値上がりを見せているものもある。
昔は当教室で会員割引して1万円弱ほどで販売出来ていたものが
今は2万円弱という高騰ぶりだ。

インフレを期待するのもわかるが、
上げるのは高級品だけにして欲しいものだ。

また逆に、今やサックスも下手をすると
ネットで2~3万円で売っている時代である。
ウチの入会者の中にも『ネットで2万円でした』と
買ってきてしまう方もいる。

本人は『いい買い物をした』と思っているので
『コレはひどい』とはなかなか言いづらいものであるが、
いずれわかることなので2万円のサックスがどんなものか
正直に話さなければならない。
『音が出ないのは貴方のせいではなく楽器のせいですよ』と。

初心者ほど良い楽器を使ってもらいたい。
良い楽器は拭き方を『ここがツボですよ』教えてくれるからだ。
変な楽器を使ってしまうとなかなかコツがつかめない。
私が吹いても吹きにくい楽器を初心者がコントロールできるはずも無い。
でも初心者はそんな事自体、当然だが知らないのだ。

なので、私は『安価な中国製は買ってはいけない』とずっと主張してきた。
サックスに関しては台湾製はOKだ。全てとは言わないが質は良いものが多い。
私が10年以上おススメしてきたグローバル社の『IO』は
台湾製だが素晴らしいものだった。

9年ほど前にIOとアメセルMarkⅥのブラインドテスト、つまり
音源だけでどれがアメセルMarkⅥかを当てるクイズをやったが
正解者はたった1人だけだった。
まさにIOはそのキャッチフレーズであった
『銘器が嫉妬する』にふさわしいモデルであった。
私もアメセルMarkⅥのテナーとセルマーシリーズⅡのソプラノを売って
IOに買い換えたほどだった。

その銘器IOも残念ながら製造終了となり、
今後、私の受講生にどの楽器を薦めるかが差し迫った悩みであったのだ。

勿論、高額であればよい楽器はあるだろう。
しかしIOはなんと20万円台ですばらしいコストパフォーマンスであった。
他のメーカーの30~40万円代のものに迫る質の高さだったのだ。
IOブラックニッケルモデルの音源→http://a-muse.seesaa.net/article/21434577.html

昨今、昔と違いサックスに40万円を出せる人は少なくなったであろう。
しかもウチは分割が出来ない一括払いであるから20万円くらいが限度だ。
皆様のボーナスや貯金を無駄にしないためにも
コスパの良い楽器を探さねばならなくなったのだ。

前置きが大変長くなったので結論から言うと
今日のマーマデュークへの訪問は素晴らしい収穫であった。
お世辞でもなんでもない。ここにお世辞を書いたところで
受講生にはバレバレなのでそんなことは書けない。

今後の楽器、マウスピース、リード、ストラップなど
悩みは全て『驚きと大満足』のうちに解決したのだ。
世界の名だたるプレイヤーがマーマデュークを絶賛するのも当然だ。

驚きの1つはマーマデューク代表であり、
自身がマウスピース職人である宮武氏の確かな技術と豊富な知識である。

昨今マウスピースの世界もハンドメイドの群雄割拠である。
2011年、私は脳卒中でサックスが吹けなくなった。
当時はメインはフロリダリンクの10番相当にリードはダニエルの3半
という強気なセッティングで吹いていた。
当然後遺症で話す事も困難な私にそんなセッティングで音が出るわけが無い。
ろれつも回らず、喉も舌もコントロールできない状態であった。

ソプラノを吹くまでに半年、アルトに1年、テナーに2年以上かかった。
その際、国内外の多くのハンドメイドマウスピースを10個以上試したが、
唯一音が出たのはマーマデュークのみであった。

一般に効率を追求すると音色は物足りなくなる。
ジャズで重要な雑味も減るからだ。
雑味を求めると、コントロールや効率が悪くなる。
これがマウスピースのジレンマだ。

マーマデュークはこの難題をクリアしている。
ありがちな『このマウスピースの音』みたいに
マウスピースの個性で売らんとするのでなく、
『このポテンシャルなら貴方の好きなサウンドを作れますよ』
という飽きない懐の深い、奏者が育てるマウスピースなのだ。

価格帯もアルトで1万円ほどのものもあって、
それも充分、受講生に薦められるクオリティであった。

テナーのメタルではキラーマウスピースがあった。
これは3分以上吹くと買ってしまうと直感したので
私は10秒で吹くのを止めた(笑)『ヤバイ奴』だった。
これ→https://www.youtube.com/watch?v=s-KwtTUJlmU

さらにもう1つの驚きは中国製の楽器のクオリティだ。
いずれ中国製も台湾製にその品質が追いつくであろうとは
思っていたが、もうそれは起こっていたのだ。
ただ、中国製の全てではない。
勿論、良いメーカーとそうでないものが混在している。
宮武氏は独自のルートで部品から組み上げ、
検品などに細心の注意を払い、
『中国製=粗悪品』というイメージに革命を起こさんとしている。
本日、マーマデュークの低価格帯とその上の価格帯の両方を
試奏させていただいたのだが、コスパは全く問題ない。
『これが中国製か?』と思うほどで、
私の固定観念を改めざるを得なかった。
勿論、品質の安定と言う課題は今後も残るのだろうが、
『ここまで出来る技術があるのか!』と驚いた。
因みにマーマデュークの店舗は来年2月には今の神保町から
聖地『大久保』に移転されるそうだが、
私としては八王子からのアクセスが良くなるのでうれしい事だ。

いずれ楽器もマウスピースも試奏音源の動画でもアップしたい所だが
私はまだ左手が麻痺しているのでバラバラかっこよく吹けないから(笑)
なにかバラードでも吹こうかな(笑)来年にご期待!














昨日はある受講生の驚くべき進化に感動いたしました。
実はその方の前回のレッスンの段階でそのスキルの安定感に
思わず落涙してしまったのですが、
今回はそのスキルがさらにワンランク上がっていたので大変嬉しかったのです。

どういうことかと申しますと、
情報処理が『左脳→右脳』に移行したと言う事なのです。
私のアドリブレッスンでは『コマンド式フレーズ生成法』という
独自の方法で音楽センスの有無に関わらず、アドリブが出来るような
システムでトレーニングするのですが、
これはジャズマンの脳みそで行われている一瞬の情報処理を、
初心者でもトレーニングにより段階的に出来るようになる便利なシステムなのです。

その前提として私は受講者の方に『スケールシーケンス』と『コードシーケンス』
の練習をしてもらいます。これはアドリブの『素材』も確認のようなものです。
そこから『スケール』や『コード』と言った『単語』を元にフレーズを生成します。

例えば
①初めは|Dm7|G7|CM7|と言うコード進行であれば
ブログ用1

と4分音符で練習して頂きます。
②それが余裕を持って出来るようになったら次に
ブログ用2

と8分音符でChord Up & Downというコマンド(指令)を練習します。
③それが瞬時に出来るようになったら次に
ブログ用3

と構成音をランダムに組み替えて演奏できるように練習していただきます。
④それが出来るようになったら次に
ブログ用4

とリズムに変化を加えてジャズっぽく加工を施せるように練習します。

この段階的練習の②→③が左脳から右脳への移行に当たります。
左脳はシリアル思考。順番で覚えます。
右脳は全体把握です。
1つのコードの構成音を脳内で転回する訓練が必要なので
地道な練習なくしては乗り越えられないステップなのです。

昨日の受講生は
私が『コードシーケンスで1コーラス演奏してください』と言っただけで
それをやってのけました。普通は皆さん②の単純なコマンドでやります。
そこを③で挑戦して見事成し遂げたのでした。
聞けば時間があれば楽器が無くとも脳内で訓練していたそうです。

彼以外にも通勤の電車内や、昼休みのちょっとした時間などに
好きなスタンダード曲を脳内でコマンドトレーニングしている
という方が何人もいらっしゃいます。

私も電車で移動するときに社内でスマホゲームに興じている人を見ると
『あ、○○さんも今頃アドリブのトレーニングをしているのかな』と
想像したりします。スマホゲームも楽しいのでしょうが、
脳内アドリブシミュレーションも何倍も楽しい事です。
下手な脳トレドリルよりも良いのではないかと思っております。
皆様、アンチエイジング、ボケ防止にインプロヴィゼイションを(笑)
そしてそのお供に拙著を(笑)→http://www.a-muse.jp/textbook/















昨晩は初めてのコーラスのレッスンをさせて頂いたのだが、
まず、感銘を受けたのはメンバーの意識でした。
本当に真剣で、その眼差しにこちらがウルウルと来てしまうくらい。
私は発声やボイトレなどはズブの素人なので、そっちの方は、
専門の講師にサポート、指示を頂戴しながらやりました。
曲が結構難しい曲だったので私がやった事は
Step1 スコア、アレンジの解説
Step2 各自の【基準】の統一
Step3 オリジナリティを見出すお手伝い
でした。

モチベーションと熱意は素晴らしいので
スポンジが水を吸うが如く、
摩擦ゼロで吸収していきます。すごいですね。

『スコア、アレンジの解説』は
初心者が多い事と、楽器ではなくコーラスと言う事で、
音楽用語、記号自体に疎いという点を改善いたしました。
また、スコアという設計図が有機的に作用して
サウンドしていると言う事をボンヤリでなく
はっきり耳で理解して頂きました。
これらは『理解』なので一瞬で済む作業です。

次の『各自の【基準】の統一』は
例えば全員の『スタッカート』のデフォルトのサイズ感、
質感、音色を合わせるという作業になります。
Aさんは『タッ』Bさんは『タンッ』Cさんは『トゥッ』ってのを
『基本、デフォルトはコレにしましょ』と決めます。
そうしないと『もっと丸く軽やかに』と支持しても
バラバラにずれるだけなので(笑)
コレを『テヌート』や『mp、mf、f、ff』など
必要な要素のニュアンスを全部合わせていきます。
これは多少厄介です。それぞれの脳みそにある
データベース(情報量)がバラバラですから。
歌謡曲しか聴いた事が無い人の『>(アクセント)』と
クラシックやジャズなど幅広い音楽を聴いてきた人のそれを
合わせる微調整は困難です。しかも頭にイメージできても
『発声、奏法』ではどうすればいいか?は
感覚で出来ちゃう人とボイトレの先生にやり方を教わらないと
出来ない人もいます。
この様な事はコーラスであろうがビッグバンドであろうが、
吹奏楽であろうが、オーケストラであろうが、
アマチュアであればみな同じ障壁があるのではないでしょうか?

そして三つ目の
『オリジナリティを見出すお手伝い』はもっと大変ですが
楽しく有意義な作業です。
そのメンバーでしか出来ない仕掛け、仕込み、サウンドを
探していく作業です。

これは大きく分けてセールスポイントを強調する作業と
ウィークポイントをカバーする作業があります。
熟練者やプロ相手のディレクションは簡単です。
指示を出すだけでできますから。

初心者、アマチュアはそう簡単にはいきません。
普通は全員が同じレベルになるように成長を促すやり方を
取るのでしょうが、私はそうしません(笑)
初心者はそんな急に上手くならないのが現実ですから、
(その人を特訓するという手もありますが)
またアマチュアでもプロには無い素晴らしい瞬間が必ずあるはずです。
そこにスポットを当てる方法もあります。
幕の内弁当のおかずが全部美味しくなくても良いではないか。
どこぞの弁当のシューマイと竹の子の煮付けが好きだけど
アンズは要らないと言う人もいるし、あれが良いのだと言う人もいます。
音楽の評価は人それぞれ。
同じ演奏を聴いて『雑だ』と思う人もいれば
『人間らしくてよろしい』と言う人もいます。
『雑』を数ミリある方向に傾けて『人間味溢れる音楽』にできたら…。
いいじゃないですか(笑)
私はそういうことをします。
全部キレイに整えて型にはめ込んだらmidiで打ち込んだ方が
パーフェクトな演奏が出来ますよ。苦労なく。
人間が音楽を作ると言うことは
『不完全な人同士』がお互いに理解し、認め合って
協力して、知恵を出して少しでも良いものを作る事だと思っています。
社会もそうではないでしょうか?
私は昨日の練習の最後にコーラスメンバーに
『歌が上手くなる事も大事ですが、このメンバーでなくては出来ないサウンドを
みんなで作る楽しさと喜びを財産としましょう』
と言い残して来ました。
Dream Voiceに幸あれ!













イタリアジャズ界ではもはや、トップミュージシャンとしての
地位を確立しているMax Ionatas氏のワークショップが
神保町のマーマデュークミュージックに於いて開催された。

私は一昨日のMaxの来日の歓迎の食事会に
光栄にもマーマデュークの宮武氏にお誘い頂き、
憧れのミュージシャンとの距離が縮まる至福のディナーとなった。
本日のワークショップもそれに続き、ご招待頂いての参加であった。

13:55の開催予定時間の前にすでに会場には参加者が押し寄せていた。
参加者がそろい、会場が手狭になってきたため、
各自楽器を出してケースは店の階段にと言う事になった。
私は今回は楽器を持参せず『聴講のみ』と言う形で参加したのだが、
本当にその選択は正しかった。
参加者の楽器はぶっ飛んでしまう銘器ばかりである。
私の20万そこそこの愛器を持っていったら果たして
何と言われるか想像すらしたくない(笑)


ワークショップの始まりはMaxのデモ演奏からだった。
Maxがリクエストを聞くと参加者から『But Not For Me』との声が上がり、
MaxはOKした。(サポートにベーシストが来ていたが名前は失念した)

彼のソロは『今日はどんな内容を話そうかな?』
と楽しそうに考えているようなソロであった。

最初はシンプルなコードシーケンスからコードを余裕をもって捉え、
短いモチーフを空気中にホーンで軽く放り投げると、
眉毛を上げながらベルでそれをキャッチして
リズムをトレースしたり加工したりしながら、また宙に解き放つ。
まるでサッカーのリフティングでも楽しんでいるかのようなプレイであった。

しかし回数を重ねるごとにそのフレーズは複雑化し、
コードシーケンスからモダンジャズの王道LICKへ、
その後にはモーダルなアプローチから
80年代のスティーブ・グロスマンのペンタトニックのアプローチ、
マイケル・ブレッカーのような90年代のコンテンポラリーなフレーズや
そして2000年以後のヘキサトニックやペアトライアド的な抽象的な
アプローチでのイン&アウト。
まさにこれだけメニューありますけど何にしましょう?的な演奏であった。
贅沢な演奏が終わるとMaxは何を話そうか?と聞いたのだが、
参加者からもこれと言ったリクエストがとっさには返ってこなかったので、
彼の方から
『皆さんはCメジャーの時にどんな音をプレイするかわかるかな?』
と質問した。

ある方が
『アボイドノートがFだという事は知っています。』
と発言した。

私より若いミュージシャンに見受けられたが
『アボイドノート』なんて伝統的で真面目な概念を待つ人が
若手にもいるのだなぁと少々驚いた。

その質問が吉と出てワークショップの前半のテーマは
まさに4度を抜いた『ペンタトニックアプローチ』となった(笑)。

有料のワークショップだったのでこの詳細は
ここで紹介することはできないが、大体は
バーガンジのそれとほぼ同じ内容だと言ってよいと思う。

素晴らしかったのは全員で8バースを回して体感させたという事だ。
理論だけではいけない。サウンドは経験し、味わって初めて血となり、肉となるのだ。
また、すぐに他人のアプローチを聴くのも良い事だ。
脳が新鮮な刺激を受けている内に発想が何倍にも膨らむからだ。

レクチャーは様々なコードへのペンタトニックアプローチについてと発展し、
一通り、実技を交えて解説し終わるとMaxは発展系として
多少アウトしたサウンドのペンアットニックやペンタトニック以外のフレーズの
運用をしてみせた。

冒頭のBut Not~のソロ後半部分のアプローチである。
Maxはこれらを自由に用いて『House』に帰れば良いと言っていた。
用はトニックに解決した時(など)にインサイドに戻ればよいというわけだ。
私はMaxがどのようにアウトするのか興味があったので質問させて頂いた。

と言うのも学生時代グロスマンやブレッカーをコピーしていて
グロスマンやジミヘンはペンタトニックのイン&アウトの遠近法
(つまりスケール(調性)の音がペンタトニックにどれだけ共通音が見受けられるか?
インサイドは5/5アウトサイドは0/5であるので12種類ペンタの距離が解る。)
を感覚的に耳でやっているように思えたのだ。
逆にトレーンやマイケルは計算してやっているように思えたのだ。

果たしてMaxは?
彼はFeeling&Hearingと言っていた。
良かった思った通りだった。私の好きなタイプである。
彼は感覚派だった。

その他にも沢山のレクチャーがあったが、
私が次にうれしかったことは
Maxが『Training Brain』と『Playing Brain』の話の時に
All The Things You Areでコードシーケンスを半コーラスやった後に
『Space!』と言ってしばらくなにも吹かない状況を作り、
『音をできるだけ減らすのだ』と言ってフレーズを減らしていった。
これはまさに私が昨日自分のワークショップでやった
コードシーケンスと『高倉健的アプローチ』と全く同じであった。
この瞬間、『私の教え方は正しかったのだ』
と心の中でガッツポーズを取ったのは言うまでもない。

後はMaxが『シークレット』と言っていたので秘密に致します(笑)
どうしても聞きたい人は直接私に聞いてくださいな(笑)














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