渦男のジャズ道場

八王子の音楽教室ミュージックサロンア・ミューズのサックス講師 網 渦男のブログです。 サックスに関すること、ジャズに関することなどをまとめております。(旧さきこら)

2018年03月

レッスンをしていて
『サンボーンみたいになりたい』
『ギャレットみたいな音に憧れる』
『コニッツみたいな音出せますか?』
などのリクエストを頂くことがあります。

その答えとしては
①『いや~そりゃ本人じゃないし、アマチュアには無理だよ』
②『音ってのは骨格とか口の中とか個人差だから天性のものだよ』
③『同じマウスピースを使えば近づくんじゃないかな』
④『ジャズってのはオリジナリティだからモノマネは止めなさい』
などいろんなことをいう講師がいるでしょう。

私の教室の講師としては①~④なら100点満点中40点です。
当たってるけど不充分(50点)でも誤解を招く(-10)からです。
①②は実際いるじゃないですか。そっくりな音の人。
90年代頃は国内も海外もサンボーンとブレッカーみたいな人たくさんいましたよね。
メタルのハイバッフル系マウスピースの音がトレンドでした。
2000年以降はギャレットとかマークターナー、ロヴァーノみたいな
ラバーのモコモコ癒し系、もしくは内省的知的系?みたいな人、増えました。
聴いてる人は『IQ高くね?』と感じます。あーゆー音。
ある程度は音ってモノマネできるんですよ。
その方法として③はありえます。1つの方法、可能性ですね。
でも、違うマウスピースでも音は近づけられると思います。

下の動画の2:00~を見てください。
実はこの頃は脳卒中の後遺症で顔面マヒのため被り物をしてる
関係で声がこもって聞き取りづらく、申し訳ありません。



いかがでしたでしょうか?(笑)
似ているかは微妙かも知れませんが、
音色はマウスピースが同じでも『ある程度』は変えられるのです。
因みに私のアルトの本来の音はこんな感じです。



因みにこの頃のマウスピースはGbyメイヤーの7くらいだったと思います。
私は元々テナー吹きなのでアルトはマウスピースなんでもいいのです(笑)
因みの因みにテナーはこちら↓(冒頭フラジオのGを外しているのはご愛嬌)



さて本題に戻って
④はマインド的には正解かも知れませんが(笑)、
レッスン業務を担当する講師の言葉としては?です。
特にウチの教室『ア・ミューズ』のコンセプトは
ただ楽器の奏法を教えるテキスト消化型の音楽教室のレッスンでもなく、
プロミュージシャンがやる『徒弟制度』でもありません。

その人の夢を叶えるコンシェルジュ、アドバイザー、プロデューサー。
つまりサービス業なのです。
『お客様の要望に応える』のが前提。
しかも『自分のスタイル』なんて環境的にも体格的にも恵まれない
我々日本人が元々持っているでしょうか?解りません。

私自身は『スタイル』とは模倣からスタートすると思います。
以前、あるプロジャズミュージシャンに
『模倣する事を生徒に教えるなんて貴方の生徒さんはかわいそうね』
と言われましたが、パーカー以降、みんなパーカーを模倣し、
ジャズを発展させ、自分のスタイルを身に着けたのではないでしょうか?
マクリーンもハンク・ジョーンズもウッズもそう言ってます。
模倣で終らなければ良いのだと思います。
勿論、模倣でずっと満足するのならそれでよいでしょう。
アマチュアでもプロでも。
音楽は自分の為にやるものです。
他人にどういわれようとよいのですよ。

私の学生時代からの模倣遍歴はこんな感じです。
S.Getz→1年で挫折。あんな美しい音無理!

M.Brecker→先輩にSTEPSのビデオで洗脳されるが秒速で挫折。

D.Goedon→Breckerがインタビューで『デクスターのように吹きたい』と言っていたから
でも聴いたら『全然ちゃうやんけ!』と断念。

S.Rollins→今さらサキコロを聴いて『かっけー』ではまる。ヘビロテへ。

J.Coltrane→一応Rollins聴いたので。でも愛聴したが模倣は余りしなかった。

H.Mobley→ツーファイブフレーズ覚える為。

S.Stitt→ツーファイブフレーズ覚える為。

G.Ammonds→Stittより音色が好き!

Rahsaan R.Kirk→Ammondsより音色が好き!

B.Berg→Breckerからの~

B.Mintzer→B.Bergからの~

S.Grossman→学生テナー吹きの最終到達地点(笑)

他にも挙げ切れないくらい色んな人をコピーし、
模倣、分析、研究しましたがすぐに飽きた切り替えた人はかなり省きました。
こういう作業(修行?)によって自分というフィルターに
憧れて模倣によって手に入れた部分、
憧れて模倣したけど手に入ら無かった部分、
憧れてないけど影響を受けて身に付いてしまった部分が
残ったりスルーしたりします。
この残りカスが私は『スタイル』だと思っています。
人間が鳥を見て大空を舞う姿に憧れ、
模倣しなかったら飛行機は発明されていないでしょう。
模倣は大事なのです。


さて話を戻して、
マウスピースの変更無しで音色の模倣はいかにして為し得るか?
長くなったので即答すると『イントネーション』です。
『シラブル』と言っても良いでしょう。
イントネーション、シラブルに関してはまたの機会に
無料で公開するか?有料コンテンツとして出すか?
考え中(笑)















『アドリブの習得は言語の習得と似ている』
これはよく言われることですが、
本当にそう思います。

であるにもかかわらず、世に出ている教本は
『難しい理論書』と『フレーズ集』、
『模範ソロ集』ばかりです。

英会話を学ぶのに
『文法』と『構文例文集』と
『英文学』を学んでも
それはfor study であって 
for speakではないのです。

多くの日本人は中学、高校と、
3~6年英語を学びます。
その教育法でどれだけの日本人が
英会話を話せるようになっているでしょうか?

アドリブを学びたい人は
どうか、もうそんな無駄な時間と労力とお金は
費やさないでください。

もっと簡単に、もっと早く
アドリブは習得できるのです。

いきなり渡米すれば半年か1年で
そこそこ英会話が出来るようになる例は
いくらでも耳にします。

何が必要か?
それは『ちょっとの勇気』と
『どうしても伝えたい事』なのだと思います。

マイケル・ブレッカーの超絶フレーズや
クリス・ポッターの難解なフレーズや
クリフォード・ブラウンの正確無比なフレーズや
ビル・ワトラスのハイトーンフレーズなんて
闇雲にコピーしなくて良いのです。

自分の知っている範囲の事を
自分の感じたことを
自分の言葉で話せば良いのです。

マイルズ・デイヴィスのように。

私の教本はそういうコンセプトです。
ですから、
アドリブの正解は書いてありません。
『このフレーズをプレイしろ』はないのです。
その代わり
『ここではこの音が使えますよ』とか
『こうすると文章(フレーズ)になりますよ』
『ここで段落を変えたほうがいいですよ』
とかは書いてあります。

世間には余り無いタイプの教本なのです。

私の教本は、お金を使った宣伝をしていないので
まだ爆発的に売れているわけではないのですが、
一度ご購入頂いた方は、シリーズを続けて
ご購入いただく方が多いのです。

そしてご購入頂いたかたからは
『まだ拙いですがアドリブが出来るようになりました』
とのメールを頂きます。

私の一番うれしい瞬間です。

リピートの最も多いパターンは

①ジャズ道場〔初級篇〕
②ジャズ道場〔中級篇〕
③ジャズアドリブドリル
④スタンダードコレクション

①でジャズ理論の基礎を学び
②で応用とよりクオリティの高いソロ構成力を身に付け
③で実践向けトレーニングを積んで
④で名演から学び、分析力を深め曲にあった攻略法を獲得する。

先日も①②③をご購入頂いた方からメールを頂きました。
『今はスマホでドリル見ながらカラオケ店で練習しています』
とのこと。
『ドリルの10曲全部マスターする頃には新曲を出版してください!』
とのうれしい声も頂きました。

どうかアドリブの習得の方法が解らない方、
またたくさん教本を買い漁ったけれど一向に結果が出ない方、
アドリブが借り物ばかりのフレーズでマンネリを打破したい方、
是非、自分だけのアドリブ、自己表現をしてください。

教本の紹介はこちら→http://www.a-muse.jp/textbook/index.html
















さて今回も前回と同じ演奏曲はゴッドファーザーで、
Speredon Radwanさんをフィーチャーしたいと思います。



なんですかね、ゴッドファーザー好きな人は
やはりセンスが良いのでしょうか?

この動画も前回のキムさんに負けず劣らず
ツッコミ処ナイスなポイントの宝庫です。

まずはイントロ部分、
余計な風景やタイトルロゴなど、
面倒くさい画像編集に頼らず、
ただ楽器をケースから出して、
組み立てて、構える。 

いいですね~。
無駄なものはそぎ落とし、
俺はプレイに集中するのだ。
という気迫が伝わってきます。

シルバーのテナーにマウスピースはなんでしょうかね?
まさかのゲイリー シュガールでしょうか?
だとしたらかなり男らしいのですが、
残念ながら動画ではあのブルートパーズのように
美しいティースプレートが確認できません。
もしかしたら柳沢のメタル?
もしくはチャイナのパチモノ?
ミステリアスです。

楽器は幻の銘器『トレバ―・ジェイムス』ですね。
ネックのブルーロゴを見ればわかります。
何年ぶりでしょうこのロゴを見たのは!
懐かしすぎて奥歯から謎の甘い汁が出てきました!
昔、楽器店で働いていた時に
怖くてお客さんには1本も売ることができなかったメーカーです。
こんなドラマチックな再会をするとは!

間奏を挟んでRadwanさんは
芝生に寝そべって吹いたり、木の上に腰かけて吹いたり
『やんちゃ』な側面もアピールしています。

メロディのフェイクもターンや装飾音を多用する
なかなかハイレベルなテクニックを披露しております。
しかもプロが聴けば『やり慣れてるな』と解るほどのスキルです。
動画の0:36や1:14時点のテーマの最後の1フレーズで見せる
フレーズ出だしにかけられたショートダウンも
往年のヒデキ・西城のギャランドゥの歌いだしを彷彿とさせて
カンゲキです。

エンディングのカデンツァなどはフラジオを使いこなした
『シレファ#・ラシ―』的な『俺、ブレッカーかじってるよ』アピールも
憎いところです。
全体的に演奏スキルが高いRadwanさんですがそのスキルと
使用楽器のギャップが彼の魅力の一つなのかもしれませんね!

ちなみに前回のキムさんと同じカラオケなんですね。
なんかゴッドファーザー好きには当たりが多そうなので
今後ももう少しゴッドファーザーを引っ張って
擦ってみたいと思います。

Faceboookの私の投稿で
『女装家』や『電波系』の方を引き寄せているのでは?
ちょっと盛り上がったのでこんな記事→https://goo.gl/rir7sP
をウォールに上げたのですがなかなか難しいお話なので
ほっとんどニーズは無いと思いますが、
個人的に備忘録として書いておこうと思います。
私が高校生の時からの人生のテーマでもあるので(笑)
いつか音楽とつながるテーマでもあります。
(繋げるまであと3話くらい必要ですが)

それでは今回のテーマはジャ―ン!
~量子力学からみた『引き寄せの法則』~

はい、まずこの実験↓です。

2重スリットの実験





お分かりいただけたでしょうか?
つまり、
『量子は波であり、粒でもある』
波→非物質、粒→物質

そして大事なのは(驚くべきことは)
人間の意識が介在した瞬間に物質化し(粒)、
意識が介在しないと非物質(波)となる。

↑これすごくね?

意識するかしないかで現実が変わっちまうってのが問題です。

But !

意識っつーことで深層心理学で考えてみると
人間の意識は「意識(顕在意識)」と「無意識(潜在意識)」に分かれている。
んでもって、
意識全体の9割以上は無意識の領域が占めている。

さらにその無意識領域と言うものは、
長年身につけてきた思い込み(観念)が、
思考パターンとなって固定化されていて、
意識する前に選択し、決断しているのです。
つまり判断認識との自動化プログラムですな。

脳科学的言えばあるシナプス同士がつながりやすい癖がついている。
脳機能学的に言えばニューロプログラミングが組まれている。
と言えます。

例えば、
結婚10年目の夫婦の奥様の無意識(思い込み、概念)では
旦那=ダメ男、オッサン、臭い、ウザい、etc.
となっています。これがデフォルトなわけですな(笑)

無意識が9割以上ですからたとえ顕在意識が何かを望んだとしても、
無意識が全く逆を意識しているのでそっちの方が強力です。
コーチングでコンフォートゾーンから脱却できないと言っているのはこれです。
無意識のホメオスタシスが働くので変えられないのです。
無意識の上書きができないのです。

旦那にイケメンのイクメンになってほしいとにわかに願っても、望んでも
量子力学によれば旦那は奥様の無意識に長年刻み込まれたイメージ、
つまりダメ男のままです。残念ながら変わりません。
ネガティブな決めつけはよくないのです。

ネガティブであろうが逆にポジティブであろうが、
思い込みは必ず物質化(現実化)するというのが量子力学の結論です。

旦那はダメ男ではなく、イケメンだと毎日思い込みましょう。
奥さんは残念なオバハンでなく美魔女(古い?)だと思い込みましょう。
1年後そうなっているはずです(笑)

これは自己啓発でも宗教でも心理学でも脳科学でもありません。
現代科学の最高峰と言っていい量子力学の結論です。

しかしこんなことは上座部仏教で2000年以上前に
すでに言っている事だったりするから
昔の人の叡智とは素晴らしいものですね。

日本人はセロトニントランスポーターの少ない人が7割

今回から始まる『愛すべき世界のアマチュアプレイヤー』。
記念すべき第1回目は김경회(キム・ギョン・へ)さん。

この動画は偶然見つけたのだが、まずイントロのタイトル文字の
アニメーション編集のセンスがグー。

カラオケの昭和感と相性はチリバツでございます。
そしてゴッドファーザー=星条旗という発想がナイスじゃナイスか。

センスがあまりにイカしてるのでここまでのコメントも
かなり昭和になってしまうほどです!
そしてテナーサックスの音色もラシスバです。
ムードテナーは斯くあるべし。
という深く、渋く、雑な ワイルドな野太い音ですね。
しかもメロディのフェイクにこのキムさんの人柄が感じられます。
1音1音全部タンギングするところからは意志の強さを感じられますし、
テーマの2小節目の付点4分音符には生真面目さ、几帳面さを感じます。
ヴィブラートもきっちり16分音符のパルスでかけるあたりは熟練の技ですね。

そして映像はなぜか豪邸(マフィアだから?)に仔犬と少女。
この手ブレ感とかなんかリアルで、ちょっと心配になるのは考えすぎでしょうか。
エンディングはこの少女の水着映像で終わるという、
なんか微妙にひっかかる感じはキム氏の狙いなのでしょうか?

そもそもこのキム氏は何者なのでしょう?
アメリカ在住の韓国人大富豪でしょうか?
チャンネル登録者が450人以上いるというそこそこの人気者です。

謎めいた愛すべきアマチュアサックスプレイヤーのキムさんでした。















さて今までのシリーズでジャズにおける8分音符のバウンスが
時代により変化していったことを述べました。
ざっくりとまとめるとこんな感じ↓。

①1920年代アーリージャズ→チョイ跳ね(For Marching)


②1930年代スウィングジャズ→3連符(For Dancing)


③1940年代ビバップ→イーブン(For Art)


④1950年代~ポストバップ→イーブン(For Art)


③と④を分けたのは③の時代、つまりビバップ全盛期は
まだスィングジャズの名残があり、録音時期や演奏者によっては
バウンスしてる場合が多かったりするので、『過渡期』と『革命後』
と言う意味合いで分けました。
勿論、1950年代以降もバウンスする曲は沢山ありますが、
それはイーブンとバウンスと選択肢があった上でバウンスしている訳であって、
デフォルトでバウンスしている訳ではないのです。

口語と文語、タメ口と敬語のようなものでしょうかね。

『楽しくいこうぜ!』と言うときは1950年以降現在もバウンスします。
『ちょっと聞いてくれないか』とメッセージがあるときはイーブンでしょう。

さてこれまで8分音符の符割り的な(時間的な)話しかしてきませんでした。

『モダンジャズ以降、8分音符はバウンスしない』
それはわかった。
ではミディアムテンポで8分音符をイーブンでプレイしてみるとどうでしょう?
みなさんバウンス無しでスウィングできましたか?
スィングできた人は耳が良い人です。

私はジャズを始めたばかりの大学1年生の頃、
イーブンでプレイしたら全くスウィングしませんでした。
自分だけ時間が止まり、リズムセクションから解離し、
自分は別の空間に無関係に存在しているかのような感覚になりました。

そこでジャズ研では当たり前のことでしょうが、
私はソニー・ロリンズのMoiritat (Mack the Knife)を完全コピーしてみました。
そっくりに吹けるように。続いて同じアルバムのStrode Rode、
さらに St. Thomasもコピーして真似して吹きました。
CDと同時シンクロして吹けるようになるまで。

『毎日20回シンクロさせて吹かないと帰らない』
と決めて修行のように日課にしておりました。
おかけで秘密が解りました。イーブンでもスウィングさせる秘密です。

それは『アーティキュレーション』です。
ジャズのフレージングでアーティキュレーションは非常に大事です。
フレーズのどの音にアクセントを付け、どの音をミュートしたり、滑らかにプレイするか?
これこそがイーブンになった時に非常に大事になるのだ。と解ったのです。


そしてもう一つは『タイム』です。テンポではありません。
タイム感です。タイムと言うのは音の存在する時間軸の細かい座標です。
テンポは基準ですがタイムとはそのテンポに対してどのくらいの位置に音を置くのか?
という尺度のようなものです。
ジャストのテンポに対して突っ込み気味なものを
アドヴァンスもしくはバイト(噛む、食う)と言います。
それとは逆にジャストに対して遅れがち、重たい感じをレイドバックと言います。
もたり気味と言う事です。
このタイム感と先ほどのアーティキュレーションがあいまって、
イーブンでもグングン気持ちよくスウィングするのです。

タイムはテンポやその時のリズムセクションのグルーヴのパターンによりますが、
アーティキュレーションには大まかな法則、掟があります。
これは私のレッスンでジャズの初歩的ルールとして教えておりますが今回は割愛いたします。
(レッスンは有料ですので)
ちなみにこのアーティキュレーションとタイム感は
その後のロックやファンクなどの8ビートや16ビートでも
全くそのまま使えるテクニックですので是非マスターするとよいでしょう。
今日現在でもYoutubeを見るとモダンジャズでシリアスな曲であるにも関わらず
場違いな3連符でチャンカチャンカバウンスしながらをドヤ顔でプレイしている
若いプロ奏者やプロ講師を見ます。

勿論、そういう人に限ってアーティキュレーションはかなりデタラメだったりします。
プレイヤーなら自己責任ですから構いませんが、
講師の場合はその生徒さんがかわいそうになってしまいます。
『この人に教わったら生徒さんも8分音符をチャンカチャンカ吹いちゃうんだろうな』
と残念な気持ちになります。
どうか勘違いしているプロ講師も、
ブラバン出身のアマチュアジャズプレイヤーも
ミュージックエイトの誤った呪縛から解放されて、
偉大なジャズマンが残した音源をちゃんとあるがままに聴き取って、
真実に気が付いてください!!
















はい、思いのほか長くなってしまったので、
今一度、これまでのおさらいを。

≪8分音符の変化≫

1920年代 ニューオリンズジャズ、アーリージャズ
  やや跳ね(For Marching、To Listener)

1930年代 スィングジャズ、ビッグバンド全盛期
  ほぼ3連符のノリ(For Dancing、To Dancer)

1940年代 ビバップ革命、モダンジャズ黎明期
  バウンスの必要なし、イーブン(For Art、 To Musician)

と言う事でした。
今回はこの後、

『1950年代 ハードバップ、ポストバップ揺籃期』についてです。
チャーリー・パーカーの登場により、
ジャズは聴いて楽しむものから、
ミュージシャンが即興演奏において肉体の限界に挑戦する
知的でスポーティーな競技となりました。

ビバップ革命により、即興演奏は
『メロディーを如何に個性的に崩すか?』ではなく、
『大量にインプットされたフレーズを、如何に適切にアウトプットするか?』という
脳の記憶能力(憶える+思い出す)と筋肉の運動記憶(指や手)
を競うゲームになったのです。

この革命の転換によって『即興で演奏される音』は
気分や言語を表すメロディの亜種から
コードとの関連性を表すデータ(情報)に変わったのです。

ゆえに雰囲気、ムードよりもコードとの関係性を特定する為の
情報量(マテリアル)が重要となったのです。
この時代はジャズ史における第一次情報過多時代と言っても良いでしょう。

ビバップは年を経るごとに如何に速く、如何に沢山の音をプレイするか?
そして難解な理論を如何に素早く解釈し、適切な対応をするか?
という攻略ゲーム的要素が強くなります。

聴衆、観客はプレイヤーがどのくらいすごいことをしているのかわかりません。
同業者しかその真価は解らなかったでしょう。

ビバップにおけるフレーズは情報です。
バウンスする必要性はありません。

しかしパーカー自身はスィングジャズの時代にもいろんなビッグバンドで
下積み時代にプレイしていたわけでバウンスする癖も残っています。
60年代ならバウンスしないであろうテンポでも、
時期やテンポによってバウンスしている録音もあります。
まさにパーカーが生きている時代自体が
3連符からイーブンの8分音符への『過渡期』なのです。

パーカーはジャズ史においてスィングジャズからモダンジャズへの
転換の鐘を鳴らした革命家ですが、34歳の若さで死んでしまいます。

パーカーの偉業はビバップの発明だけではありませんでした。
彼には『ジャズ史におけるもっとも偉大な人』を発掘したという業績もあるのです。
その偉大な人とは勿論『マイルズ・デイヴィス』です。
マイルズ自身、パーカーに憧れ、その尊敬の念は晩年のインタヴューでも
『パーカーとの共演は忘れられない、あの感覚をもう一度味わいたくて今もプレイを続けているんだ』
と言っているくらいですが、その音楽の方向性は途中でマイルズが舵を切ります。

マイルズは後にハードバップと言われる聴くに耐えうる音楽を追求し始めます。
そのマイルズの脱ビバップ事件に関してはさまざま論議されているので
詳細は別の機会に譲りますが、ともかくこの後のジャズは
『ジャズ史≒マイルズの音楽変遷』という風になります。

さてこの後もさまざまジャズ史について語りたいところですが、
本題は『8分音符がどうなった』というテーマなので、
歴史の話はここまで。

この後は8分音符のグルーヴのさせ方に少し触れて
このお話を終わらせたいと思います。



さて前回の記事をざっくり復習(とちょっと加筆)すると…

1910年代までのニューオリンズジャズ(アーリージャズ)は
『March』由来であった為、『ドンチャドンチャ』と
歩くようなビートが基本でしたので
『ドン』が足を地につけた時で
『チャ』がもう一方の足のかかと地から離れる時の為
さほど跳ねないイーブンに近い8分音符でした。

これが1920年代になるとメディアに乗って
『For Entertainment』『For Sale』となり、
楽しくにぎやかで気分も弾むようなバウンス感が増して
8分音符はやや3連符に近いものが多くなってきます。
(もちろん全部じゃありませんよ!傾向性です。)

そして1930年代でビッグバンド黄金時代、スィングジャズの到来です。
8分音符は『For Dance』つまりステップの為にほぼ3連符のノリになります。
(ノーバウンスのイーブンのタップダンスって有るんでしょうかね?)
人はステップやジャンプを繰り返すと滞空時間があるので物理的に
大概3連符になるものです。

はい、ここまでがおさらいです。
今回のテーマは1940年代に起こったジャズ史上において、まあまあな出来事(笑)
『ビバップ革命』です。あえて『革命』と言ってみました。
カンザスシティからニューヨークにやってきた天才チャーリー・パーカーは
それまでのジャズに大きな革新をもたらします。

それまでのジャズに於けるアドリブはサッチモなどに見られるように
テーマを元にそれを徐々に崩し、変化させていくようなやり方でした。
コールマン・ホーキンスやレスター・ヤング、ドン・バイアスも
メロディとは違ったフレーズをプレイしましたが
まだメロディから想像しやすいようなアドリブのフレーズでした。

今回はグルーヴの話ですので理論的に詳細な解説はしませんが、
メロディーもアドリブも筑前煮とがめ煮のように
『同じ和食』と感じられるテイストでした。

パーカーは例えるならばそれに
『赤ワイン』的なものや『カレー粉』的なものを投入したのです。
アドリブで使われる音の可能性を拡張したのです。
それまでは『不協和音ですよ』といわれていた音まで
使い方によって『全然アリじゃん』としてしまったのです。

『バードが音楽の話をしたのを聞いたのは、たった一度、
奴がコードネームのことで俺のクラシックの友達と口論した時だけだ。
その晩、バードがコードなんて何でもいいんだって言ったから、俺は反論したんだ。
「B♭のブルースの五小節目にDナチュラルは使えないね」と言ったら、
バードは「いいや、使えるね」って言ったんだ。
ところが、ある晩”バートランド”でレスターヤングがそれをやっているのをきいたら、
ちっともおかしくなかった。もっとも音をベンドしていたがな。』

マイルスデイビス談

という事でパーカーやその盟友ディジー・ガレスピーが成し遂げた
『ビバップ革命』はジャズをエンターテインメントから
よりアカデミックに難解で高尚で、技術的にも高度なものに
一気に引き上げました。
この時代のジャズマンは昼間はダンスホールで同じ曲を何度も演奏し、
その退屈さの鬱憤晴らしも兼ねて、仕事が終ると夜な夜なバーに集まり
即興の腕を競ったのです。
参考動画↓


それはミュージシャンのプライドと腕をかけた真剣勝負でした。
ゆえに演奏される曲はテンポはどんどん速く、コードはより難解になり、
プレイヤーの知能と身体能力の限界に挑戦するが如く進化して言ったのです。
もちろん、そのトップをぶっちぎりで走っていたのは
チャーリー・パーカーでした。
彼はそれまでのジャズを再構築しました。
ジャズを娯楽の提供から
『音楽とミュージシャンの肉体との合一を目指す競技』に
変えてしまったのです。

ジャズの肉体化とでも言えるでしょうか、
言葉よりさらに抽象的な次元の音そのものを
フレーズをテクスチャーとして用いて
自分の脳内イメージを具現化します。
パーカーが『建築家』と呼ばれるのもこの
ジャズの再構築の偉業によるものです。

ビバップ革命によりジャズは
『For Art』であり 『To Musician』と成りました。
パーカーの音楽は批評家には評価されましたが
一般大衆には到底理解されなかったのです。
ミュージシャンが自分の自己表現だけの為に演奏した音楽で
踊りたいなんていう人はいないでしょう。

ですから速くなったテンポで無理矢理8分音符を
不自然に3連符でプレイしなくても良いのです。

その8分音符のイーブン化現象は習慣となり、しだいに
50年代以降ポスト・バップ、ハード・バップ期に至っても
遅いテンポでもイーブンでプレイするようになりました。
その理由や、変化に関しては余り言及している人は少ないので
この機会に私の説を発表しようかと思うのですが
長くなったので続きは次回に譲ります。





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