昨日で本年の営業を終えたので
今日は、先日イタリアを代表するジャズテナーの
Max Ionata氏のワークショップでお世話になった
マーマデュークミュージックへお邪魔した。

ワークショップの際は大盛況だった為、
なかなかゆっくり商品をチェックできなかったので
是非、このジャズサックスマニアの心をくすぐりまくる
『秘密基地』をしっかり探索したかったのである。

私自身のマウスピースやリードなどのアクセサリーの
物色もあったが、それ以上に、私がレッスンをしている
受講者の方のアクササリーや楽器の悩みもあったのだ。
というかそれが一番大きかったのだ。

というのも、解る人は解ると思うが、
近年のサックスやそのアクセサリー関連のメーカーの
複雑化というか群雄割拠の有様は甚だしく、
質の低下や、価格の高騰で以前のようにお客様に安心して
『これなら間違いないですよ』と販売できるものが
残念ながら少なくなってしまったのだ。

マウスピースにしても、敢えて名前は出さないが
アルトはコレ。テナーはコレ。という定番があった。
だがそれらは年々価格が高騰し、ここ数年で
倍近くの値上がりを見せているものもある。
昔は当教室で会員割引して1万円弱ほどで販売出来ていたものが
今は2万円弱という高騰ぶりだ。

インフレを期待するのもわかるが、
上げるのは高級品だけにして欲しいものだ。

また逆に、今やサックスも下手をすると
ネットで2~3万円で売っている時代である。
ウチの入会者の中にも『ネットで2万円でした』と
買ってきてしまう方もいる。

本人は『いい買い物をした』と思っているので
『コレはひどい』とはなかなか言いづらいものであるが、
いずれわかることなので2万円のサックスがどんなものか
正直に話さなければならない。
『音が出ないのは貴方のせいではなく楽器のせいですよ』と。

初心者ほど良い楽器を使ってもらいたい。
良い楽器は拭き方を『ここがツボですよ』教えてくれるからだ。
変な楽器を使ってしまうとなかなかコツがつかめない。
私が吹いても吹きにくい楽器を初心者がコントロールできるはずも無い。
でも初心者はそんな事自体、当然だが知らないのだ。

なので、私は『安価な中国製は買ってはいけない』とずっと主張してきた。
サックスに関しては台湾製はOKだ。全てとは言わないが質は良いものが多い。
私が10年以上おススメしてきたグローバル社の『IO』は
台湾製だが素晴らしいものだった。

9年ほど前にIOとアメセルMarkⅥのブラインドテスト、つまり
音源だけでどれがアメセルMarkⅥかを当てるクイズをやったが
正解者はたった1人だけだった。
まさにIOはそのキャッチフレーズであった
『銘器が嫉妬する』にふさわしいモデルであった。
私もアメセルMarkⅥのテナーとセルマーシリーズⅡのソプラノを売って
IOに買い換えたほどだった。

その銘器IOも残念ながら製造終了となり、
今後、私の受講生にどの楽器を薦めるかが差し迫った悩みであったのだ。

勿論、高額であればよい楽器はあるだろう。
しかしIOはなんと20万円台ですばらしいコストパフォーマンスであった。
他のメーカーの30~40万円代のものに迫る質の高さだったのだ。
IOブラックニッケルモデルの音源→http://a-muse.seesaa.net/article/21434577.html

昨今、昔と違いサックスに40万円を出せる人は少なくなったであろう。
しかもウチは分割が出来ない一括払いであるから20万円くらいが限度だ。
皆様のボーナスや貯金を無駄にしないためにも
コスパの良い楽器を探さねばならなくなったのだ。

前置きが大変長くなったので結論から言うと
今日のマーマデュークへの訪問は素晴らしい収穫であった。
お世辞でもなんでもない。ここにお世辞を書いたところで
受講生にはバレバレなのでそんなことは書けない。

今後の楽器、マウスピース、リード、ストラップなど
悩みは全て『驚きと大満足』のうちに解決したのだ。
世界の名だたるプレイヤーがマーマデュークを絶賛するのも当然だ。

驚きの1つはマーマデューク代表であり、
自身がマウスピース職人である宮武氏の確かな技術と豊富な知識である。

昨今マウスピースの世界もハンドメイドの群雄割拠である。
2011年、私は脳卒中でサックスが吹けなくなった。
当時はメインはフロリダリンクの10番相当にリードはダニエルの3半
という強気なセッティングで吹いていた。
当然後遺症で話す事も困難な私にそんなセッティングで音が出るわけが無い。
ろれつも回らず、喉も舌もコントロールできない状態であった。

ソプラノを吹くまでに半年、アルトに1年、テナーに2年以上かかった。
その際、国内外の多くのハンドメイドマウスピースを10個以上試したが、
唯一音が出たのはマーマデュークのみであった。

一般に効率を追求すると音色は物足りなくなる。
ジャズで重要な雑味も減るからだ。
雑味を求めると、コントロールや効率が悪くなる。
これがマウスピースのジレンマだ。

マーマデュークはこの難題をクリアしている。
ありがちな『このマウスピースの音』みたいに
マウスピースの個性で売らんとするのでなく、
『このポテンシャルなら貴方の好きなサウンドを作れますよ』
という飽きない懐の深い、奏者が育てるマウスピースなのだ。

価格帯もアルトで1万円ほどのものもあって、
それも充分、受講生に薦められるクオリティであった。

テナーのメタルではキラーマウスピースがあった。
これは3分以上吹くと買ってしまうと直感したので
私は10秒で吹くのを止めた(笑)『ヤバイ奴』だった。
これ→https://www.youtube.com/watch?v=s-KwtTUJlmU

さらにもう1つの驚きは中国製の楽器のクオリティだ。
いずれ中国製も台湾製にその品質が追いつくであろうとは
思っていたが、もうそれは起こっていたのだ。
ただ、中国製の全てではない。
勿論、良いメーカーとそうでないものが混在している。
宮武氏は独自のルートで部品から組み上げ、
検品などに細心の注意を払い、
『中国製=粗悪品』というイメージに革命を起こさんとしている。
本日、マーマデュークの低価格帯とその上の価格帯の両方を
試奏させていただいたのだが、コスパは全く問題ない。
『これが中国製か?』と思うほどで、
私の固定観念を改めざるを得なかった。
勿論、品質の安定と言う課題は今後も残るのだろうが、
『ここまで出来る技術があるのか!』と驚いた。
因みにマーマデュークの店舗は来年2月には今の神保町から
聖地『大久保』に移転されるそうだが、
私としては八王子からのアクセスが良くなるのでうれしい事だ。

いずれ楽器もマウスピースも試奏音源の動画でもアップしたい所だが
私はまだ左手が麻痺しているのでバラバラかっこよく吹けないから(笑)
なにかバラードでも吹こうかな(笑)来年にご期待!