ジャズを学ぼうと思っていざ、理論書なるものを
買って読んでみると、多くの初心者は挫折してしまいます。
それまでバンドや吹奏楽でコードネームやオタマジャクシに
慣れ親しんでいるはずの人でも、です。
どうしてでしょうか?

音大で作曲法を学んだような人なら解るかも知れませんが
大学で習ったはずの日本語はどこへやら、
初めて聞くカタカナ(英語)ばかりで閉口する事もあるかもしれません。

板前の修業をある程度してもイタリアンやフレンチに転向したら
同じ料理であっても初めは戸惑います。
ましてやアドリブと読譜による演奏は似て異なるもの。
『レシピを作る』のと『レシピ通りに作る』事は違うのです。

さらに理論書を書いている著者が、プレイヤーなのか
講師なのかによっても違います。

以前、堀江貴文さんが『寿司職人の修行はばかばかしい』
と発言して物議を醸しましたが、結論から言えば
寿司を握る技術は研修や学校で習った方が早いでしょう。
教える側は教えるプロですから。合理的で解りやすいです。
生徒のレベルの理解した上で教え、
日々そのケーススタディのデータは蓄積されアップデートされます。
実績だけが武器となることが多いからです。
(有名人講師で人を集めている学校は別かもしれません)

ジャズの理論書を読んで、私がよく感じることは、
『概念の連結による自明視にを多用する為、本意の伝達が困難』と言う点です。
↑この言葉自体、わざと解りにくく書いたのですが(笑)
簡単なセンテンスに開いて書くと
『解説するのに難しい言葉や概念を使ってるけど、
 まだそれ自体を知らない人には伝わるはずねーじゃん』
って事です。
寄り添ってないんですよね。

『多くの理論書の著者は“obviousness”と“familiarity”を履き違えているのです。』
↑ジャズ理論書はこんな感じで書いてあるのですよ。

因みに2行上の文章は
『概念的に自明の理である(obviousness)』って事を
まだ概念を共有できていない初心者に
『君ならもう熟知してるでしょ(familiarity)』と
まるでミュージシャン仲間への感覚を混同していると言うことです(笑)

自分が概念としてわかっていることは
たとえ経験の無い人でも解ると思っている誤認識なのです。
本当は概念と経験から学ぶものなのに、
概念未理解で且つ経験が無くとも『わかるっしょ』と思い込んで書いているのです。

私のレッスンの時にこんなことがありました。
私:『ここはキーがCメジャーだよね?』
生徒:『Cメジャーってドミソですか?』
私は『キーが』と言った段階で当然『調性』の話だと思ってそう言ったのです
しかし生徒さんは『Cメジャー』という言葉で『コードネーム』だと思ったのです。
私にとってはobviousnessでしたが
生徒さんにとってはfamiliarityの問題だったのです。

このような微妙なズレによってジャズの理論書は解りにくいのです。
ですから入門書の著者(講師)は相手のレベル、理解度に
細心の注意を払わねばなりません。
中級以上はある程度、フィルターをかけているので
この問題は多少改善されるでしょうが、
入門書は慎重に、丁寧に行かねばなりません。

私が丁寧にわかりやすく書いた入門書は
こちらです→http://www.a-muse.jp/textbook/