前回はリックを効果的にインプットする方法について書きました。
今回は『インプロヴァイザー』タイプになる為の練習について書きます。
リックタイプとの違いは簡単に言うと
『リックをプレイしない』事です(笑)。
リックは便利です。手癖にしておけばオートマティックに
プレイしていられるので、他の事に意識を向けることができます。
『あ、かわいいオネエちゃんがいる!』とか
『帰りに牛丼食べて帰ろうかな…』とか(笑)
それは冗談として、つまりは脳みそのCPUに余裕ができると言うことです。
そしてプレイのクオリティにムラがなくなるというメリットもあります。
リック自体を正しく使えばミスは減りますから保険のようなものです。

しかしデメリットもあるわけです。
例えば今日のコンファメーションと明日のコンファメーションでは
ソロが同じような内容になってしまうとか、
内容が脳みその中で決まっているのでうっかりすると
共演者とのインタープレイに乏しくなりがちになる。
などです。
そう考えてbebopのイディオムから脱却したのが
『新主流派』や『フリージャズ』の人々です。
ここでは『フリージャズ』に関してはテーマがデカ過ぎるのと
セッションでは顰蹙を買う恐れがあるのでひとまずは置いといて、
『新主流派』的なインプロヴァイヴィゼイションについてにします。

『新主流派』と言われるジャズマンがリックをプレイしないか?
と言うと実はそうでもありません。

ただ、bebopのようにコードとフレーズが直結しているわけではない。
とでも言えるでしょうか。
非常に説明しいにくいのですが、
例えばDm7G7というコード進行があった時に、
リックスタイルのプレイヤーは
『ほぼ反射的に』過去のストックした脳内のフレーズフォルダに
検索をかけて最も適切と思われるフレーズをプレイします。
新主流派的なインプロヴァイザータイプのプレイヤーは
Dm7G7なサウンドが鳴っているが自分はそこで何を表現しようか?
と考えて選択しフレーズにしたり時に効果音的のような抽象的な音をプレイします。
bebopのフレーズは叙述的ですが新主流派のプレイは
時に叙景的、叙情的であったりします。
『モヤッとした感じ』や『孤独な感じ』や『悲哀』などを表現します。
Dm7でDとプレイするか?Bとプレイするか?Eとぷれいするか?
で印象は変わるのです。
音に意味、メッセージをこめる必要性が出てきます。
『このフレーズを覚えているから』プレイするのではなく、
『この音でコレを伝えたいから』プレイするのです。
ですから『新主流派』的なスタイルを身に着けるのは
音の意味を知ることが重要です。
『このコードでこの音をプレイしたら何が伝わるのか?』
それを知る必要があるのです。
必ずしも複雑なフレーズをプレイする必要はありません。
ですから実は私はアマチュアミュージシャンは
こちらのタイプの方が向いているのではないかと思うのです。
ただし、フレーズがシンプルになればなるほど、
ニュアンスが重要になります。
私はレッスンで常日頃から『説得力とは情報量である』と言っています。
音数の情報が少ないのならばニュアンスという情報を増やすべきです。
無口でも説得力のある人になればいいのです。
そしてこの作業の多くは『よく聴いて研究し、真似する事』です。
膨大な練習量はいりません。名演を聴きながらニュアンスや
ソロの構成を分析し、理解することです。家で楽器を出さずにできます。
社会人でも聴く能力は学生に負けないかもしれません。

実は私がセッションやYoutubeなどでアマチュアの演奏を聴いて
『もったいないなぁ』とか『残念だなぁ』と思うのはこの部分です。
そこそこいいフレーズをプレイしていてもニュアンスが足りない、
もしくはジャズっぽくないのです。
厚切りジェイソンが英語訛りで言葉づらだけべらんめい調で
落語をやっているような違和感があったりします。
『Do you like Jazz?』
ではなく
『どぅーゆーらいくじゃず?』って聞こえるのです。
ジャズはニュアンスがすべてと言ってもいいくらいです。
音はシンプルでクラシックと同じドレミやドミソでも
ニュアンスがジャズなのです。

話が少し逸れましたが、新主流派のようなスタイルを
身に着けるにはニュアンスを重視し、
何の音をプレイするかシンプルな所から考えて選択する訓練をする
と言うことです。
Dm7G7Cでパーカーのデクスターのツーファイブフレーズを
いくつも覚えなくても、ミーミ♭レドでもソーだけでも良いのです。
表現に適したニュアンスさえ着いていれば良いのです。

今回は触れませんでしたが、私はソニー・ロリンズも大好きです。
彼は現在bebopperではありません。インプロヴァイザーです。
彼のプレイはbopのイディオムと言うより鼻歌のようです。
もちろんハードバップっぽいフレーズもたまに吹きますが、
近年は純粋に西洋音楽、クラシックのイディオムでプレイしています。
それでもスウィングするのはリズムとタイムと
フレージングのニュアンスです。
アドリブが鼻歌で歌えると言う人は
ぜひジャズらしいニュアンスでそれを表現してください!



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