渦男のジャズ道場

八王子の音楽教室ミュージックサロンア・ミューズのサックス講師 網 渦男のブログです。 サックスに関すること、ジャズに関することなどをまとめております。(旧さきこら)

カテゴリ: 日記&コラム

レッスンをしていて
『サンボーンみたいになりたい』
『ギャレットみたいな音に憧れる』
『コニッツみたいな音出せますか?』
などのリクエストを頂くことがあります。

その答えとしては
①『いや~そりゃ本人じゃないし、アマチュアには無理だよ』
②『音ってのは骨格とか口の中とか個人差だから天性のものだよ』
③『同じマウスピースを使えば近づくんじゃないかな』
④『ジャズってのはオリジナリティだからモノマネは止めなさい』
などいろんなことをいう講師がいるでしょう。

私の教室の講師としては①~④なら100点満点中40点です。
当たってるけど不充分(50点)でも誤解を招く(-10)からです。
①②は実際いるじゃないですか。そっくりな音の人。
90年代頃は国内も海外もサンボーンとブレッカーみたいな人たくさんいましたよね。
メタルのハイバッフル系マウスピースの音がトレンドでした。
2000年以降はギャレットとかマークターナー、ロヴァーノみたいな
ラバーのモコモコ癒し系、もしくは内省的知的系?みたいな人、増えました。
聴いてる人は『IQ高くね?』と感じます。あーゆー音。
ある程度は音ってモノマネできるんですよ。
その方法として③はありえます。1つの方法、可能性ですね。
でも、違うマウスピースでも音は近づけられると思います。

下の動画の2:00~を見てください。
実はこの頃は脳卒中の後遺症で顔面マヒのため被り物をしてる
関係で声がこもって聞き取りづらく、申し訳ありません。



いかがでしたでしょうか?(笑)
似ているかは微妙かも知れませんが、
音色はマウスピースが同じでも『ある程度』は変えられるのです。
因みに私のアルトの本来の音はこんな感じです。



因みにこの頃のマウスピースはGbyメイヤーの7くらいだったと思います。
私は元々テナー吹きなのでアルトはマウスピースなんでもいいのです(笑)
因みの因みにテナーはこちら↓(冒頭フラジオのGを外しているのはご愛嬌)



さて本題に戻って
④はマインド的には正解かも知れませんが(笑)、
レッスン業務を担当する講師の言葉としては?です。
特にウチの教室『ア・ミューズ』のコンセプトは
ただ楽器の奏法を教えるテキスト消化型の音楽教室のレッスンでもなく、
プロミュージシャンがやる『徒弟制度』でもありません。

その人の夢を叶えるコンシェルジュ、アドバイザー、プロデューサー。
つまりサービス業なのです。
『お客様の要望に応える』のが前提。
しかも『自分のスタイル』なんて環境的にも体格的にも恵まれない
我々日本人が元々持っているでしょうか?解りません。

私自身は『スタイル』とは模倣からスタートすると思います。
以前、あるプロジャズミュージシャンに
『模倣する事を生徒に教えるなんて貴方の生徒さんはかわいそうね』
と言われましたが、パーカー以降、みんなパーカーを模倣し、
ジャズを発展させ、自分のスタイルを身に着けたのではないでしょうか?
マクリーンもハンク・ジョーンズもウッズもそう言ってます。
模倣で終らなければ良いのだと思います。
勿論、模倣でずっと満足するのならそれでよいでしょう。
アマチュアでもプロでも。
音楽は自分の為にやるものです。
他人にどういわれようとよいのですよ。

私の学生時代からの模倣遍歴はこんな感じです。
S.Getz→1年で挫折。あんな美しい音無理!

M.Brecker→先輩にSTEPSのビデオで洗脳されるが秒速で挫折。

D.Goedon→Breckerがインタビューで『デクスターのように吹きたい』と言っていたから
でも聴いたら『全然ちゃうやんけ!』と断念。

S.Rollins→今さらサキコロを聴いて『かっけー』ではまる。ヘビロテへ。

J.Coltrane→一応Rollins聴いたので。でも愛聴したが模倣は余りしなかった。

H.Mobley→ツーファイブフレーズ覚える為。

S.Stitt→ツーファイブフレーズ覚える為。

G.Ammonds→Stittより音色が好き!

Rahsaan R.Kirk→Ammondsより音色が好き!

B.Berg→Breckerからの~

B.Mintzer→B.Bergからの~

S.Grossman→学生テナー吹きの最終到達地点(笑)

他にも挙げ切れないくらい色んな人をコピーし、
模倣、分析、研究しましたがすぐに飽きた切り替えた人はかなり省きました。
こういう作業(修行?)によって自分というフィルターに
憧れて模倣によって手に入れた部分、
憧れて模倣したけど手に入ら無かった部分、
憧れてないけど影響を受けて身に付いてしまった部分が
残ったりスルーしたりします。
この残りカスが私は『スタイル』だと思っています。
人間が鳥を見て大空を舞う姿に憧れ、
模倣しなかったら飛行機は発明されていないでしょう。
模倣は大事なのです。


さて話を戻して、
マウスピースの変更無しで音色の模倣はいかにして為し得るか?
長くなったので即答すると『イントネーション』です。
『シラブル』と言っても良いでしょう。
イントネーション、シラブルに関してはまたの機会に
無料で公開するか?有料コンテンツとして出すか?
考え中(笑)















Faceboookの私の投稿で
『女装家』や『電波系』の方を引き寄せているのでは?
ちょっと盛り上がったのでこんな記事→https://goo.gl/rir7sP
をウォールに上げたのですがなかなか難しいお話なので
ほっとんどニーズは無いと思いますが、
個人的に備忘録として書いておこうと思います。
私が高校生の時からの人生のテーマでもあるので(笑)
いつか音楽とつながるテーマでもあります。
(繋げるまであと3話くらい必要ですが)

それでは今回のテーマはジャ―ン!
~量子力学からみた『引き寄せの法則』~

はい、まずこの実験↓です。

2重スリットの実験





お分かりいただけたでしょうか?
つまり、
『量子は波であり、粒でもある』
波→非物質、粒→物質

そして大事なのは(驚くべきことは)
人間の意識が介在した瞬間に物質化し(粒)、
意識が介在しないと非物質(波)となる。

↑これすごくね?

意識するかしないかで現実が変わっちまうってのが問題です。

But !

意識っつーことで深層心理学で考えてみると
人間の意識は「意識(顕在意識)」と「無意識(潜在意識)」に分かれている。
んでもって、
意識全体の9割以上は無意識の領域が占めている。

さらにその無意識領域と言うものは、
長年身につけてきた思い込み(観念)が、
思考パターンとなって固定化されていて、
意識する前に選択し、決断しているのです。
つまり判断認識との自動化プログラムですな。

脳科学的言えばあるシナプス同士がつながりやすい癖がついている。
脳機能学的に言えばニューロプログラミングが組まれている。
と言えます。

例えば、
結婚10年目の夫婦の奥様の無意識(思い込み、概念)では
旦那=ダメ男、オッサン、臭い、ウザい、etc.
となっています。これがデフォルトなわけですな(笑)

無意識が9割以上ですからたとえ顕在意識が何かを望んだとしても、
無意識が全く逆を意識しているのでそっちの方が強力です。
コーチングでコンフォートゾーンから脱却できないと言っているのはこれです。
無意識のホメオスタシスが働くので変えられないのです。
無意識の上書きができないのです。

旦那にイケメンのイクメンになってほしいとにわかに願っても、望んでも
量子力学によれば旦那は奥様の無意識に長年刻み込まれたイメージ、
つまりダメ男のままです。残念ながら変わりません。
ネガティブな決めつけはよくないのです。

ネガティブであろうが逆にポジティブであろうが、
思い込みは必ず物質化(現実化)するというのが量子力学の結論です。

旦那はダメ男ではなく、イケメンだと毎日思い込みましょう。
奥さんは残念なオバハンでなく美魔女(古い?)だと思い込みましょう。
1年後そうなっているはずです(笑)

これは自己啓発でも宗教でも心理学でも脳科学でもありません。
現代科学の最高峰と言っていい量子力学の結論です。

しかしこんなことは上座部仏教で2000年以上前に
すでに言っている事だったりするから
昔の人の叡智とは素晴らしいものですね。

日本人はセロトニントランスポーターの少ない人が7割

さて今までのシリーズでジャズにおける8分音符のバウンスが
時代により変化していったことを述べました。
ざっくりとまとめるとこんな感じ↓。

①1920年代アーリージャズ→チョイ跳ね(For Marching)


②1930年代スウィングジャズ→3連符(For Dancing)


③1940年代ビバップ→イーブン(For Art)


④1950年代~ポストバップ→イーブン(For Art)


③と④を分けたのは③の時代、つまりビバップ全盛期は
まだスィングジャズの名残があり、録音時期や演奏者によっては
バウンスしてる場合が多かったりするので、『過渡期』と『革命後』
と言う意味合いで分けました。
勿論、1950年代以降もバウンスする曲は沢山ありますが、
それはイーブンとバウンスと選択肢があった上でバウンスしている訳であって、
デフォルトでバウンスしている訳ではないのです。

口語と文語、タメ口と敬語のようなものでしょうかね。

『楽しくいこうぜ!』と言うときは1950年以降現在もバウンスします。
『ちょっと聞いてくれないか』とメッセージがあるときはイーブンでしょう。

さてこれまで8分音符の符割り的な(時間的な)話しかしてきませんでした。

『モダンジャズ以降、8分音符はバウンスしない』
それはわかった。
ではミディアムテンポで8分音符をイーブンでプレイしてみるとどうでしょう?
みなさんバウンス無しでスウィングできましたか?
スィングできた人は耳が良い人です。

私はジャズを始めたばかりの大学1年生の頃、
イーブンでプレイしたら全くスウィングしませんでした。
自分だけ時間が止まり、リズムセクションから解離し、
自分は別の空間に無関係に存在しているかのような感覚になりました。

そこでジャズ研では当たり前のことでしょうが、
私はソニー・ロリンズのMoiritat (Mack the Knife)を完全コピーしてみました。
そっくりに吹けるように。続いて同じアルバムのStrode Rode、
さらに St. Thomasもコピーして真似して吹きました。
CDと同時シンクロして吹けるようになるまで。

『毎日20回シンクロさせて吹かないと帰らない』
と決めて修行のように日課にしておりました。
おかけで秘密が解りました。イーブンでもスウィングさせる秘密です。

それは『アーティキュレーション』です。
ジャズのフレージングでアーティキュレーションは非常に大事です。
フレーズのどの音にアクセントを付け、どの音をミュートしたり、滑らかにプレイするか?
これこそがイーブンになった時に非常に大事になるのだ。と解ったのです。


そしてもう一つは『タイム』です。テンポではありません。
タイム感です。タイムと言うのは音の存在する時間軸の細かい座標です。
テンポは基準ですがタイムとはそのテンポに対してどのくらいの位置に音を置くのか?
という尺度のようなものです。
ジャストのテンポに対して突っ込み気味なものを
アドヴァンスもしくはバイト(噛む、食う)と言います。
それとは逆にジャストに対して遅れがち、重たい感じをレイドバックと言います。
もたり気味と言う事です。
このタイム感と先ほどのアーティキュレーションがあいまって、
イーブンでもグングン気持ちよくスウィングするのです。

タイムはテンポやその時のリズムセクションのグルーヴのパターンによりますが、
アーティキュレーションには大まかな法則、掟があります。
これは私のレッスンでジャズの初歩的ルールとして教えておりますが今回は割愛いたします。
(レッスンは有料ですので)
ちなみにこのアーティキュレーションとタイム感は
その後のロックやファンクなどの8ビートや16ビートでも
全くそのまま使えるテクニックですので是非マスターするとよいでしょう。
今日現在でもYoutubeを見るとモダンジャズでシリアスな曲であるにも関わらず
場違いな3連符でチャンカチャンカバウンスしながらをドヤ顔でプレイしている
若いプロ奏者やプロ講師を見ます。

勿論、そういう人に限ってアーティキュレーションはかなりデタラメだったりします。
プレイヤーなら自己責任ですから構いませんが、
講師の場合はその生徒さんがかわいそうになってしまいます。
『この人に教わったら生徒さんも8分音符をチャンカチャンカ吹いちゃうんだろうな』
と残念な気持ちになります。
どうか勘違いしているプロ講師も、
ブラバン出身のアマチュアジャズプレイヤーも
ミュージックエイトの誤った呪縛から解放されて、
偉大なジャズマンが残した音源をちゃんとあるがままに聴き取って、
真実に気が付いてください!!
















はい、思いのほか長くなってしまったので、
今一度、これまでのおさらいを。

≪8分音符の変化≫

1920年代 ニューオリンズジャズ、アーリージャズ
  やや跳ね(For Marching、To Listener)

1930年代 スィングジャズ、ビッグバンド全盛期
  ほぼ3連符のノリ(For Dancing、To Dancer)

1940年代 ビバップ革命、モダンジャズ黎明期
  バウンスの必要なし、イーブン(For Art、 To Musician)

と言う事でした。
今回はこの後、

『1950年代 ハードバップ、ポストバップ揺籃期』についてです。
チャーリー・パーカーの登場により、
ジャズは聴いて楽しむものから、
ミュージシャンが即興演奏において肉体の限界に挑戦する
知的でスポーティーな競技となりました。

ビバップ革命により、即興演奏は
『メロディーを如何に個性的に崩すか?』ではなく、
『大量にインプットされたフレーズを、如何に適切にアウトプットするか?』という
脳の記憶能力(憶える+思い出す)と筋肉の運動記憶(指や手)
を競うゲームになったのです。

この革命の転換によって『即興で演奏される音』は
気分や言語を表すメロディの亜種から
コードとの関連性を表すデータ(情報)に変わったのです。

ゆえに雰囲気、ムードよりもコードとの関係性を特定する為の
情報量(マテリアル)が重要となったのです。
この時代はジャズ史における第一次情報過多時代と言っても良いでしょう。

ビバップは年を経るごとに如何に速く、如何に沢山の音をプレイするか?
そして難解な理論を如何に素早く解釈し、適切な対応をするか?
という攻略ゲーム的要素が強くなります。

聴衆、観客はプレイヤーがどのくらいすごいことをしているのかわかりません。
同業者しかその真価は解らなかったでしょう。

ビバップにおけるフレーズは情報です。
バウンスする必要性はありません。

しかしパーカー自身はスィングジャズの時代にもいろんなビッグバンドで
下積み時代にプレイしていたわけでバウンスする癖も残っています。
60年代ならバウンスしないであろうテンポでも、
時期やテンポによってバウンスしている録音もあります。
まさにパーカーが生きている時代自体が
3連符からイーブンの8分音符への『過渡期』なのです。

パーカーはジャズ史においてスィングジャズからモダンジャズへの
転換の鐘を鳴らした革命家ですが、34歳の若さで死んでしまいます。

パーカーの偉業はビバップの発明だけではありませんでした。
彼には『ジャズ史におけるもっとも偉大な人』を発掘したという業績もあるのです。
その偉大な人とは勿論『マイルズ・デイヴィス』です。
マイルズ自身、パーカーに憧れ、その尊敬の念は晩年のインタヴューでも
『パーカーとの共演は忘れられない、あの感覚をもう一度味わいたくて今もプレイを続けているんだ』
と言っているくらいですが、その音楽の方向性は途中でマイルズが舵を切ります。

マイルズは後にハードバップと言われる聴くに耐えうる音楽を追求し始めます。
そのマイルズの脱ビバップ事件に関してはさまざま論議されているので
詳細は別の機会に譲りますが、ともかくこの後のジャズは
『ジャズ史≒マイルズの音楽変遷』という風になります。

さてこの後もさまざまジャズ史について語りたいところですが、
本題は『8分音符がどうなった』というテーマなので、
歴史の話はここまで。

この後は8分音符のグルーヴのさせ方に少し触れて
このお話を終わらせたいと思います。



さて前回の記事をざっくり復習(とちょっと加筆)すると…

1910年代までのニューオリンズジャズ(アーリージャズ)は
『March』由来であった為、『ドンチャドンチャ』と
歩くようなビートが基本でしたので
『ドン』が足を地につけた時で
『チャ』がもう一方の足のかかと地から離れる時の為
さほど跳ねないイーブンに近い8分音符でした。

これが1920年代になるとメディアに乗って
『For Entertainment』『For Sale』となり、
楽しくにぎやかで気分も弾むようなバウンス感が増して
8分音符はやや3連符に近いものが多くなってきます。
(もちろん全部じゃありませんよ!傾向性です。)

そして1930年代でビッグバンド黄金時代、スィングジャズの到来です。
8分音符は『For Dance』つまりステップの為にほぼ3連符のノリになります。
(ノーバウンスのイーブンのタップダンスって有るんでしょうかね?)
人はステップやジャンプを繰り返すと滞空時間があるので物理的に
大概3連符になるものです。

はい、ここまでがおさらいです。
今回のテーマは1940年代に起こったジャズ史上において、まあまあな出来事(笑)
『ビバップ革命』です。あえて『革命』と言ってみました。
カンザスシティからニューヨークにやってきた天才チャーリー・パーカーは
それまでのジャズに大きな革新をもたらします。

それまでのジャズに於けるアドリブはサッチモなどに見られるように
テーマを元にそれを徐々に崩し、変化させていくようなやり方でした。
コールマン・ホーキンスやレスター・ヤング、ドン・バイアスも
メロディとは違ったフレーズをプレイしましたが
まだメロディから想像しやすいようなアドリブのフレーズでした。

今回はグルーヴの話ですので理論的に詳細な解説はしませんが、
メロディーもアドリブも筑前煮とがめ煮のように
『同じ和食』と感じられるテイストでした。

パーカーは例えるならばそれに
『赤ワイン』的なものや『カレー粉』的なものを投入したのです。
アドリブで使われる音の可能性を拡張したのです。
それまでは『不協和音ですよ』といわれていた音まで
使い方によって『全然アリじゃん』としてしまったのです。

『バードが音楽の話をしたのを聞いたのは、たった一度、
奴がコードネームのことで俺のクラシックの友達と口論した時だけだ。
その晩、バードがコードなんて何でもいいんだって言ったから、俺は反論したんだ。
「B♭のブルースの五小節目にDナチュラルは使えないね」と言ったら、
バードは「いいや、使えるね」って言ったんだ。
ところが、ある晩”バートランド”でレスターヤングがそれをやっているのをきいたら、
ちっともおかしくなかった。もっとも音をベンドしていたがな。』

マイルスデイビス談

という事でパーカーやその盟友ディジー・ガレスピーが成し遂げた
『ビバップ革命』はジャズをエンターテインメントから
よりアカデミックに難解で高尚で、技術的にも高度なものに
一気に引き上げました。
この時代のジャズマンは昼間はダンスホールで同じ曲を何度も演奏し、
その退屈さの鬱憤晴らしも兼ねて、仕事が終ると夜な夜なバーに集まり
即興の腕を競ったのです。
参考動画↓


それはミュージシャンのプライドと腕をかけた真剣勝負でした。
ゆえに演奏される曲はテンポはどんどん速く、コードはより難解になり、
プレイヤーの知能と身体能力の限界に挑戦するが如く進化して言ったのです。
もちろん、そのトップをぶっちぎりで走っていたのは
チャーリー・パーカーでした。
彼はそれまでのジャズを再構築しました。
ジャズを娯楽の提供から
『音楽とミュージシャンの肉体との合一を目指す競技』に
変えてしまったのです。

ジャズの肉体化とでも言えるでしょうか、
言葉よりさらに抽象的な次元の音そのものを
フレーズをテクスチャーとして用いて
自分の脳内イメージを具現化します。
パーカーが『建築家』と呼ばれるのもこの
ジャズの再構築の偉業によるものです。

ビバップ革命によりジャズは
『For Art』であり 『To Musician』と成りました。
パーカーの音楽は批評家には評価されましたが
一般大衆には到底理解されなかったのです。
ミュージシャンが自分の自己表現だけの為に演奏した音楽で
踊りたいなんていう人はいないでしょう。

ですから速くなったテンポで無理矢理8分音符を
不自然に3連符でプレイしなくても良いのです。

その8分音符のイーブン化現象は習慣となり、しだいに
50年代以降ポスト・バップ、ハード・バップ期に至っても
遅いテンポでもイーブンでプレイするようになりました。
その理由や、変化に関しては余り言及している人は少ないので
この機会に私の説を発表しようかと思うのですが
長くなったので続きは次回に譲ります。





前回からの続きです。
ミュージックエイトなどの楽譜のジャズのスィングの表記で
swing_0_0


はちょっとだけ正解と言いました。
このようなニュアンスを言葉のみで表現するのは限界があるという前提を
承知で読んで頂ければ幸いです。可能な限り解説します。

私としては百歩譲ってこう表記したいところ。
swing_0_0


そもそもジャズと言っても色々な時代、
ジャンル、地域別の特色があるのです。

エリントン楽団の『Take The "A"Train』と
パット・メセニーの『 Last Train Home』は
同じ電車でも全然違う曲想ですし、
ニューオリンズの街角で聴こえる『聖者の行進』と
メッセンジャーズの『Blues March』では
同じ4ビートでもグルーヴも異なるのです。


ジャズのグルーヴの秘密を探るために少なくとも
ジャズの歴史をさらっとでも理解しなければなりません。
誤解を恐れず『ざっくり過ぎる解説』をすると

~1910年頃まで【Traditional Jazz、Early Jazz】
諸説ありますが、ジャズはニューオリンズの街角で
ブラスバンド(マーチングバンド)を母体として誕生しました。
参考音源→
基本は2ビートで『ドンチャ、ドンチャ』。
ドンの部分(1拍目と3拍目)はバスドラムとベース(チューバ)、
アフタービートのチャの部分(2拍目4拍目)はハイハット。
また4分音符を刻むギターもしくはバンジョー、ピアノも
アフタービートにはアクセントを置きます。
メロディー、ソロはクラリネット、トロンボーン、コルネット、ヴァイオリンなどが担当します。

8分音符はさほどバウンスしない。
個人的印象ですが8分音符<3連符くらいだと思います。
南部のフランスが統治していた所謂ディキシーランドが中心で
まだアメリカ全土へは広がっていません。

1920年代
この頃になると専業のミュージシャンが増えてきます。
サッチモの愛称で有名なルイ・アームストロングなどメディアに乗った
エンターティナーとしてのジャズミュージシャンの地位が確立し始めるのです。
売れっ子のジャズマンは自分のバンドを持ち興行をするようになったため
ジャズがミシシッピー川を北上し、シカゴやニューヨークに広まる。
繁華街のバーなどで演奏する機会が多かった事から、
楽しいものやムーディーな曲調が多かったようです。
つまり、黒人やユダヤ人たちが生きていくための
『For Sale』なジャズです。


参考音源→


1930年代
世界恐慌からニューディール政策により徐々に景気を回復する中で
ジャズは各地にできたダンスホールを中心に演奏を始めました。
編成も人数が増え、『ビッグバンド』という17名ほどの大所帯となったのです。
所謂、ビッグバンドジャズ、スィングジャズ時代の到来です。

参考音源→

音楽的に言えば、『For Dance』のジャズですので
1、3拍目と2、4拍目のコントラストが強調されたました。
その結果、いわゆるタテ乗りのグルーヴとなります。
より4ビートを感じやすく、数えやすくなりました。

また8分音符はこの時代が一番3連符に近いと個人的には思います。
その方が踊り易いやすかったからだと思われます。

また大音量の中で演奏する為にコントラバス(ウッドベース)の弦高は高くなったので、
ベースの4分音符は『ボン、ボン』と短くなりました。
また、ビッグバンドのアレンジ上、ドラムスは『Fill in』を多用するようになり、
それまでほとんどメトロノーム変わりだったバスドラムを『ズンタトトトドン』のように
フレージングの為に使うように進化しました。

さて長くなったのでここで一旦終わることにします。
次回は『モダンジャズ』以降、つまりポストモダンのお話です。





私が音楽をちゃんとめたのは高校生からです。
本当はサックスをやりたかったのですが、
サックスパートは人気で経験者で楽器を持っている人しか入れなかったのです。
そこで初心者の私はクラリネットパートに回されました。まあ、吹奏楽あるあるでしょうかね(笑)
先輩には『似たようなもんだから』と言われましたが、段々日が経つにつれ
『クラリネットの楽譜の方が断然音数多くて難しいじゃん!運指もややこしいし!』
という事が解ってきたのです。
しかも、たまたまこの部活のクラリネットパートは私が入学する前年まで
『全国アンサンブルコンテスト上位入賞常連校』でした。
ですから入部してすぐに『H.KLOSE』というクラリネット奏者にとっては
バイブルのような本を暗記させられるというシビアな環境だったのです。
おかげで初心者ながら読譜は鍛えられました。
特に練習の仕方はこの時に学んだことが今でも役立っています。

そんな部活でしたが以外にコンクールに関してはリベラルな考えが浸透しており、
よくある『コンクール至上主義』の部活ではなかったのです。
ですので定期演奏会や学園祭ではポップスやジャズの曲もやりました。
そんな時、お世話になったのが『ミュージックエイト』という出版社の楽譜です。
流行りのポップスや有名なジャズのスタンダードナンバーなどを幅広く扱い、
しかもアレンジが簡単であるにもかかわらず、それらしく聴こえるという優れものでした。
我々世代の全国の吹奏楽部のアウトローのジャズポップス好きには
M8(エムハチ)と呼ばれ多くの楽団に親しまれていたと思います。

このM8、先述したように流行りの歌謡曲やジャズのナンバーを簡単なアレンジで
多く出版したことにより、コンクールの課題曲やA.リードのオリジナル曲など
到底できないような未熟なバンドでも吹奏楽を身近に楽しめたり、
お客さんにも喜ばれたりという素晴らしい功績があったように思います。

がしかし、その反面、ポップスやジャズのニュアンスについては
表記の限界か?
はたまたアレンジャーの手抜きか?
それとも無知か?
今の私からすると???な点が多かったように思います。
その中で私が今でも痛切に感じ、
根深いなぁと思うのはこいつです↓

swing_0_0


この表記により全国の吹奏楽部諸君は
『へー、ジャズって3連符なんだ。』
と大いなる勘違いをしてしまうのです。
さらにそのように教えるインチキトレーナーなどもいるので困ったものです。

『ジャズって3連符』これはちょっとだけ正解ですが正しくはありません。

そもそもジャズは…。
あ、話が長くなるのでこの続きは次回の記事で(笑)


前回の記事は
『果たしてジャズファンはジャズミュージシャンのライブやCDの
何に対してお金を支払っているのでしょうか?』
というジャズファンの
「CSI=Customer Service Index(顧客満足度指数)」
の問題でした。

そして近い将来のジャズマンとは
『脳内のチップによりクラウドから大量のフレーズをダウンロードしたAI拡張型ジャズマン』
というかなりSFチックな存在となることを提示しました。

そう考えるとクラウドは共有しているわけですから、
そこからどんなフレーズをチョイスし、脳内バッファに貯蔵するか?
というセンス、好みの問題と、それを再現できる技術の問題となります。
もしかしたら神経伝達回路を加速し強化するような化学物質も出来るかもしれません。
『ユビマワール…演奏前に1錠飲むだけで高速で指が回ります』みたいな(笑)

技術もフレーズも大差が無いジャズマンのマーケットで
ジャズファンは何を期待するのでしょうか?
実はこの問題は現在でも同じかもしれませんね。

ただし『即興演奏が天賦の才能や膨大な訓練によって可能となる』
という概念がなくなるだけです。

そうなると即興の無いクラシックやポップスのミュージシャンと
ほぼ変わらないマーケットになっていくでしょう。
ジャンルがジャズなだけ。
そこで行われる『即興演奏』は普通の音楽ファンにはさらに難解、緻密になり、
敷居は上がりますが。
認知度という尺度で考えれば、
ベートヴェンやモーツアルト、コンチェルト、シンフォニーを良く知らないとか、
ラップで何言ってるか解らないとか、
AKBのメンバーの名前を知らないのとさほど変わらない問題かもしれません。

果たしてジャズファンは
高度で難解な即興演奏をたたえるのでしょうか?
それとも圧倒的な演奏技術をたたえるのでしょうか?

クラシックファンは『楽曲』、『楽団』、『指揮者』の
どれにお金を払っているのでしょう?

ロックファンやAKBは『楽曲』『メンバー』『コンサートの雰囲気』の
どれにお金を払っているのでしょう?

もしもジャズプレイヤーの演奏が
フレーズも技術も皆、似たり寄ったりだったら
聴衆は何を期待する?

結論は簡単には出ませんね。
頭がウニになってきたのでここらで一休み。
こんなものを聴いてみましょう。



高校生のこの歌声。
私は心が洗われました。
言葉がグサグサと心に突き刺さり、
知らない間に垢のように付いてしまった
私の心の汚れを砕いてくれました。

カタルシス(浄化)――――――。
これが人が音楽を求める目的の1つかもしれません。
聴く人が意識もしていない抑圧された感情を
声や楽器の音で振るわせ、解かしていく。

その点においてはジャズもブルースも、
クラシックもポップスも
同じだと思います。

それはAIには出来るでしょうか?
クラウドからダウンロードされたフレーズで
冷たく凍った心は溶かせるでしょうか?

何年後かのジャズミュージシャンは
何を伝えるか?ではなく、
どのように伝えるか?
それが1つのキーになってくるのではないでしょうか?

















前回の記事は
タダでさえ厳しいジャズミュージシャンはAI時代が来てなお食っていけるのか?
と言う命題を解くためにまずジャズシーンにおけるCSI問題
を取り上げたところで終りました。

さあ、果たしてジャズファンはジャズミュージシャンのライブやCDの
何に対してお金を支払っているのでしょうか?

と、その前に前回の記事で
『シンギュラリティ』ではどんな新しい職種が生まれるのでしょうか?と言う疑問に対して
『2つの意見があります』と言いながら1つ目の紹介で終ってしまいました。
1つ目は『新たな職種は生まれない。』という悲観的な意見でしたね?

ではもう1つの意見を紹介しましょう、それは…
AIと人間が敵対、競合せずに『人間がAIを組み込む』と言うものです。
つまり、人間の脳がAIの巨大なクラウドにアクセスすると言う事です。
まるでSFですが前回の記事で紹介したカーツワイル氏自身が言っているのです。
テスラモーターズのCEOのイーロン・マスク氏は既に
脳に直接コンテンツをアップロード/ダウンロードできる埋め込み式電極(チップ)を
開発する企業「Neuralink」を立ち上げています。
彼の夢は火星にコロニーを作るだけではなかったようですね。

我々は一種の端末として、人類の英知をはるかに超えたAIクラウドに
アクセスする事(つまりAIを拡張機能として利用)により、
AIと競合関係でなく共生関係を築くという選択をすると言う事です。

そうです。もう勉強しなくてもいいのです。
数学の公式や 英語の構文、歴史年表も各国の首都も覚える必要はありません。
計算すらしなくていいのです。全部クラウドからダウンロードすればよいのです。

ジャズを学ぶのも簡単です。理論もクラウドにアクセスすれば、
いくらでも瞬時に学べます。そう、あれほど覚えられなかったたくさんの
ツーファイブフレーズも何度も反復して暗記しなくていいのです。

…となると…にわかにジャズミュージシャンが大量発生しそうですね(笑)
食える食えない、プロ、ノンプロは問わず大量にプロ並のスキルを持った
ジャズミュージシャンは増えるでしょう。

さて、そこでCSI問題です(笑)。
同じフレーズをダウンロードした大量のジャズミュージシャンの中で、
プロとしてコンスタントに集客し、ファンを増やせるミュージシャンは
どんなミュージシャンでしょう?

やっと本題に入ったところで次回へ続きます(笑)。













昨今、AIの技術革新により、
『仕事がなくなるんじゃないか?』とか
『ターミネーターみたいにAIに人類が滅ぼされるんじゃないか?』とか
『未知なるもの』に対して『無知なるもの』が
ビビッてしまうという状況がございます。

2045年にはAIの頭脳が人間に追いつく(追い越す)、
いわゆる『シンギュラリティ』問題が到来します。
これはターミネーターが街を闊歩するような
SF、オカルト時代と言うわけではありません。

よく言われるのは、
『AIやロボットで出来るような仕事は無くなる。』と言う事です。

いわゆる情報処理的な仕事(事務、経理、税理士)から
小売業、営業職、物流のドライバー、タクシードライバー、
接客業全般、コールセンターの案内係、教師、介護士など
かなりの範囲に渡ります。

これらの予測はかなりの高い確率で残念ながら的中するでしょう。
未来予測で定評のあるオックスフォード大学のM.オズボーンの予測ですから。

2045年まで働ければいいやと言う人は構いませんが、
それ以降も働いて生活しなければならないという人は困りますよね。
死活問題です。

さらに言えばこれらの仕事は2045年にいきなり無くなるわけではありません。
既に今現在も少しずつなくなっているのです。

某大手物流企業の倉庫では荷物の仕分けと積み込みはロボットがやっていますし、
ファストフードのレジは自動になって来ています。
アパレルは店舗販売だけでは利益が上がらなくなり、
多くはECショップでの売り上げに頼らざるを得なくなっています。
車の自動運転走行が法律でOKになれば、タクシー運転手は職を失うでしょう。
介護ロボットも多く開発されています。
ニューヨークではAIのシェフが顧客のデータベースを元に
その日の体調や、好みに合った料理を作ってくれるレストランも既にあります。

まともに一般企業で働いた事もない負け組みの私などは、
食えなくなったらどんな業種に転職しようかと現時点で不安なのに
その選択肢も狭められるなんて!とお先真っ暗でございます。

AI vs 人間という図式は避けられないのでしょうか?
産業革命の時代、機械化により力仕事に従事していた人の多くは職を失いましたが、
一方で機械をコントロールしたり整備したり作ったりする職業が生まれました。
それでは今回の情報技術革命『シンギュラリティ』では
どんな新しい職種が生まれるのでしょうか?
2つの意見があります
1つはAIのディープラーニング(自己学習)により新たなイノヴェーションは
AI自らが猛スピードで成し遂げていくので人間の出る幕は無く、
新たな職種は生まれない。
多くの人は産業革命とこの度の『シンギュラリティ』の意味は
根本的に違うと主張しています。この説が正しければ、
残念ながら新たな雇用の創出は難しいでしょう。
AIやロボットは単純作業や情報処理だけかと思いきや、
新しいものを作り出すことも出来ます。

未来予測を86%以上の確率で的中させてきたGoogleの技術部門ディレクターでもある
レイ・カーツワイル氏は
『人工知能が創作活動を人間と同じくらいにできるようになるのは時間の問題だ』
と言っています。

ここでそろそろ本題。
ではジャズミュージシャンは職を失うか?

この命題を解くにはそもそもお客はジャズの何に対してお金を払っているのか?
と言うジャズシーンにおけるCSI(Customer Satisfaction Index)的な
問題を解かなくてはなりません。顧客満足度と収益の問題です。

話がマーケティングみたいになってきたところで次回に続きます(笑)












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