渦男のジャズ道場

八王子の音楽教室ミュージックサロンア・ミューズのサックス講師 網 渦男のブログです。 サックスに関すること、ジャズに関することなどをまとめております。(旧さきこら)

カテゴリ:日記&コラム > レッスン日記

イタリアジャズ界ではもはや、トップミュージシャンとしての
地位を確立しているMax Ionatas氏のワークショップが
神保町のマーマデュークミュージックに於いて開催された。

私は一昨日のMaxの来日の歓迎の食事会に
光栄にもマーマデュークの宮武氏にお誘い頂き、
憧れのミュージシャンとの距離が縮まる至福のディナーとなった。
本日のワークショップもそれに続き、ご招待頂いての参加であった。

13:55の開催予定時間の前にすでに会場には参加者が押し寄せていた。
参加者がそろい、会場が手狭になってきたため、
各自楽器を出してケースは店の階段にと言う事になった。
私は今回は楽器を持参せず『聴講のみ』と言う形で参加したのだが、
本当にその選択は正しかった。
参加者の楽器はぶっ飛んでしまう銘器ばかりである。
私の20万そこそこの愛器を持っていったら果たして
何と言われるか想像すらしたくない(笑)


ワークショップの始まりはMaxのデモ演奏からだった。
Maxがリクエストを聞くと参加者から『But Not For Me』との声が上がり、
MaxはOKした。(サポートにベーシストが来ていたが名前は失念した)

彼のソロは『今日はどんな内容を話そうかな?』
と楽しそうに考えているようなソロであった。

最初はシンプルなコードシーケンスからコードを余裕をもって捉え、
短いモチーフを空気中にホーンで軽く放り投げると、
眉毛を上げながらベルでそれをキャッチして
リズムをトレースしたり加工したりしながら、また宙に解き放つ。
まるでサッカーのリフティングでも楽しんでいるかのようなプレイであった。

しかし回数を重ねるごとにそのフレーズは複雑化し、
コードシーケンスからモダンジャズの王道LICKへ、
その後にはモーダルなアプローチから
80年代のスティーブ・グロスマンのペンタトニックのアプローチ、
マイケル・ブレッカーのような90年代のコンテンポラリーなフレーズや
そして2000年以後のヘキサトニックやペアトライアド的な抽象的な
アプローチでのイン&アウト。
まさにこれだけメニューありますけど何にしましょう?的な演奏であった。
贅沢な演奏が終わるとMaxは何を話そうか?と聞いたのだが、
参加者からもこれと言ったリクエストがとっさには返ってこなかったので、
彼の方から
『皆さんはCメジャーの時にどんな音をプレイするかわかるかな?』
と質問した。

ある方が
『アボイドノートがFだという事は知っています。』
と発言した。

私より若いミュージシャンに見受けられたが
『アボイドノート』なんて伝統的で真面目な概念を待つ人が
若手にもいるのだなぁと少々驚いた。

その質問が吉と出てワークショップの前半のテーマは
まさに4度を抜いた『ペンタトニックアプローチ』となった(笑)。

有料のワークショップだったのでこの詳細は
ここで紹介することはできないが、大体は
バーガンジのそれとほぼ同じ内容だと言ってよいと思う。

素晴らしかったのは全員で8バースを回して体感させたという事だ。
理論だけではいけない。サウンドは経験し、味わって初めて血となり、肉となるのだ。
また、すぐに他人のアプローチを聴くのも良い事だ。
脳が新鮮な刺激を受けている内に発想が何倍にも膨らむからだ。

レクチャーは様々なコードへのペンタトニックアプローチについてと発展し、
一通り、実技を交えて解説し終わるとMaxは発展系として
多少アウトしたサウンドのペンアットニックやペンタトニック以外のフレーズの
運用をしてみせた。

冒頭のBut Not~のソロ後半部分のアプローチである。
Maxはこれらを自由に用いて『House』に帰れば良いと言っていた。
用はトニックに解決した時(など)にインサイドに戻ればよいというわけだ。
私はMaxがどのようにアウトするのか興味があったので質問させて頂いた。

と言うのも学生時代グロスマンやブレッカーをコピーしていて
グロスマンやジミヘンはペンタトニックのイン&アウトの遠近法
(つまりスケール(調性)の音がペンタトニックにどれだけ共通音が見受けられるか?
インサイドは5/5アウトサイドは0/5であるので12種類ペンタの距離が解る。)
を感覚的に耳でやっているように思えたのだ。
逆にトレーンやマイケルは計算してやっているように思えたのだ。

果たしてMaxは?
彼はFeeling&Hearingと言っていた。
良かった思った通りだった。私の好きなタイプである。
彼は感覚派だった。

その他にも沢山のレクチャーがあったが、
私が次にうれしかったことは
Maxが『Training Brain』と『Playing Brain』の話の時に
All The Things You Areでコードシーケンスを半コーラスやった後に
『Space!』と言ってしばらくなにも吹かない状況を作り、
『音をできるだけ減らすのだ』と言ってフレーズを減らしていった。
これはまさに私が昨日自分のワークショップでやった
コードシーケンスと『高倉健的アプローチ』と全く同じであった。
この瞬間、『私の教え方は正しかったのだ』
と心の中でガッツポーズを取ったのは言うまでもない。

後はMaxが『シークレット』と言っていたので秘密に致します(笑)
どうしても聞きたい人は直接私に聞いてくださいな(笑)














私はサックスを始めたばかりの学生の頃、
特にレッスンなどには付いていませんでした。
いわゆる独学です。

そのこと自体、非常に後悔した時期もありましたが、
『教える仕事』をするようになって
その考えは変わりました。

なぜなら独学で『遠回り』したおかげで、
大抵の間違った奏法、練習法、考え方を経験したからです。
 

プロのプレイヤーとして成功したければ、
レッスンについて人よりも早く上達をすべきですが、
レッスンプロとしては経験が足らない事になります。

正しい知識、情報を提供する事と、
どうして間違った方向へ行ってしまうのか?
の原因を突き止めることは似て非なるものなのです。

人から安易に手に入れた情報と
自分の経験から得た情報は違います。

イチローの言葉を借りればそれは
『深みの無い』情報だからです。

例えばサックスの演奏中に高い音を出そうと
マウスピースを噛んでしまうという癖があるとします。

そこで『噛んではいけません』というアドヴァイスをする講師は
プロでは有りません。
そんなことネットでタダで手に入る情報だからです。

本来、講師は
『どうして噛んでしまうのか?』
を考えなくてはなりません。
もっと言えば
『この人はどうして噛んでしまうのか?』
から考えなくてはなりません。

なぜなら『噛んでしまう理由』なんて無数にあるからです。
そしてその原因、理由がわかってそれを指摘しても
簡単に改善しない事もあるのです。

或る場合は『体、筋肉の癖、習慣』だったり、
或る場合は『マインドブロック』だったりです。

体は意識的にも無意識的にも脳の命令で動いています。
正しい情報を与えたところで脳の回路を
すぐに修正できない事もあるのです。

ですから外から見て同じ状況であっても、
『噛まないで』とそのまま伝える人もいれば、
『そこは「ア」と発音してください』と言う人もいれば、
『飼い猫を思い出してください』と言う人もいれば、
『あのCDのあの音をイメージしてください』と言う人もいるのです。

相手の脳にある『パラメータ』を如何に探り当てるか?
がレッスンプロの腕の見せ所なのです。
伝えたい相手の脳にある概念で例える事が
正確に早く伝えるコツとなります。

これは企業のプレゼンテーションも同じでしょう。
ジョブズはそれが上手でした。

『伝える力』はプレゼンもレッスンも演奏も
同じだと私は思っています。


                                                             


 

前回の投稿記事が
『ボカシ過ぎて話が全く見えん!』
と早々にご意見を頂いたので少しだけ解説すると、
そもそもGlenn MillerのIn The Moodは1939年の作品なので
ジャズと一言にいっても『Swing Jazz』であると言う事です。

『Swing Jazz』と言うのは『For Dance』。
つまり躍らせる為の音楽なのです。
音楽的に言うとドラムはバスドラムは1、3拍目に打つ事が多く、
『ドン、チャ、ドン、チャ、』のパターンが基本です。
フレキシブルに反応してバスドラムを打つのは
1940年代初頭にKenny ClarkeがBebopのドラムスタイルを構築してからです。

さらにこの頃はベースも生音だった為、大きな音を出す為に
弦高を高くしていたので音が『ボン、ボン』と短くなりました。
そのような短めのピチカート奏法とドラムの一定のパターン、
に加え8分音符は踊りやすいように3連符のようにバウンスしていました。
シンバルレガートや『チーンチッキ』、
ハイハットワークは『シーシッキ』となっていたわけです。
そうなると4ビートの各ダウンビート(オモテ拍)が強調され
ステップが踏みやすくなるのです。

ジャズのアーティキュレーションは一般には
アップビートが強調されますが、ここで大事な事は
『Swing Jazz』とBebop以降の『Modern Jazz』とは
グルーヴが違うと言う事です。
Bebopは『For Musicians』で
Modern Jazzは『Listening』なのです。
従ってダウンビートの規則的なアクセントよりも
アップビートや不規則なタイミングでのアクセントが好まれます。

勿論、芸術なので、時代や人によって
はっきり別れると言う事ではなく、
Swing寄り、Modern寄り、とか傾向性が分かれると言う事です。

Swing とBebopの過渡期の『中間派』の演奏↓

リズムセクションはオールドスタイルだが
ホーンセクションにBebopの萌芽が微妙に垣間見られる。
この頃になるとリズムセクションはもうBebopっぽいが
管楽器の音の切り方やアクセントはSwing時代を感じさせる。


カウント・ベイシー楽団に於ける魅力の1つは
この2つの時代のグルーヴが共存していると言う点であることは
ビッグバンドをやっている人なら周知の通り。

※テーマの1コーラス目のグルーヴとヴァンプ以降のTuttiでは
リズムセクションのグルーヴやホーンセクションフレージングが
明らかに異なっているのが解る。
この間にメンバーはグルーヴのタイムスリップを楽しんでいるのだ。

本家Glenn Miller楽団に於いても時代により、
ホーンセクションのフレージングが50年代以降は
若干、Bebop寄りに変わってきているようです。
私はIn The Moodはもはや『伝統芸能』の域に達している(笑)
と感じているのでトラディショナルなフレージングで
演奏して欲しいと思っています。
『目黒のさんま』や『時そば』を現代口語でやられても
『オツだねぇ』とは思わないのです。

P.S.
講座内で話題になったアーティキュレーションの違い↓
Stan Getz(中間派)


 Sonny Rollins(ハードバップ)

本日のビッグバンド講座はスペシャルゲストの
熊本泰浩氏の登場によりまさにスペシャル内容になりました。

正直に申しますと私自身、反省いたしました。
当初、この講座は
『みんなでビッグバンドを楽しくやる』
だけではなく、
『きちんとビッグバンドのアンサンブルや
ジャズのエッセンスを理解し、体感、表現する楽しさを学ぶ』
というコンセプトでスタートしたにもかかわらず、
ビッグバンド未経験者ばかりである事や、
まだまだ技術が未熟な人が多い現実を前に
私自身が『このくらいの目標設定でレッスンでよいかな』
という無難な選択をしておりました。

はっきり言えば
『そこそこの学生バンドや社会人バンドのレッスンくらい』
の内容でも充分であろうと思っていたのでした。

個人のレッスンであれ、バンドのクリニックであれ、
クオリティと言うものは様々で、
例えば『旨いラーメン』を作るのであれば
『料理のイロハ(技術や器具の使い方)を教える』レベルから
『苦労して編み出したレシピを教える』レベルもあります。
私はこの講座をそれらのレベルを教えていけばよいと思っておりました。

しかし熊本氏は違いました。
『そもそもラーメンとは何ぞや』とか
『素材の吟味の仕方とその意味』から教えたのでした。

私は正直『それはそうですけどこのメンバーはまだ…』と思ったのですが、
正論を否定するワケにもいかないので『う~む』と
思いながらも、熊本氏に任せたのでした。

氏はまさに『どんな水で出汁をとるか?』から始めたのです。
私は失礼ながらもこのメンバーに
『水の良し悪しが解るだろうか?』と疑問でしたし、
そこから始めるのは理想だが、ものすごーく時間と根気が必要だし、
講座内で参加者が満足できる内容まで到達できるだろうか?
との不安もありました。

勿論、私自身はその重要性は理解しているつもりですし、
『プロになりたい』というレッスン受講生には
そのようなレベル、内容のレクチャーをしてきました。

何やら話をボカシすぎて伝わらないかも知りませんが(笑)、
その内容は
『多くの日本人ビッグバンドプレイヤー(アマ)が誤解や軽視しているポイント』
ですし、一部のプロも含まれたりするのでここでは詳しく書きませんが
『リズム』や『グルーヴ』と『アーティキュレーション』の関係についてです。

実際、講座は『In the Mood』のイントロ4小節で90分(!)
テーマ12小節で90分というへヴィーな内容でしたが、
講座が終ったときの演奏ときたらまさに『Great!』でした。
メンバー、そして熊本さん、本当にありがとうございました!

今回の『一般的には○○だけど本当は△△なんだよね』って言う事、
他にもたくさんあるように感じます。
そういうのって正しくちゃんと伝えていかなきゃならないのですね。

自分は弁えてるけど一般の受講生には○○で充分というは
受講者の可能性をつぶす事にもなると反省いたしました。

まさかあんなによくなると思わなかったので私が大変勉強になりました。
次回のレッスンが楽しみです。
今後は出し惜しみせず、どんどん『プロの流儀』を
ビッグバンドをやった事の無いこのメンバーにぶつけて
アッと驚くバンドに変身するように全力尽くしていきます!
みんな『まさかの成長と発展』をしましょう!


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