渦男のジャズ道場

八王子の音楽教室ミュージックサロンア・ミューズのサックス講師 網 渦男のブログです。 サックスに関すること、ジャズに関することなどをまとめております。(旧さきこら)

カテゴリ: 音楽に関するネタ

さて今までのシリーズでジャズにおける8分音符のバウンスが
時代により変化していったことを述べました。
ざっくりとまとめるとこんな感じ↓。

①1920年代アーリージャズ→チョイ跳ね(For Marching)


②1930年代スウィングジャズ→3連符(For Dancing)


③1940年代ビバップ→イーブン(For Art)


④1950年代~ポストバップ→イーブン(For Art)


③と④を分けたのは③の時代、つまりビバップ全盛期は
まだスィングジャズの名残があり、録音時期や演奏者によっては
バウンスしてる場合が多かったりするので、『過渡期』と『革命後』
と言う意味合いで分けました。
勿論、1950年代以降もバウンスする曲は沢山ありますが、
それはイーブンとバウンスと選択肢があった上でバウンスしている訳であって、
デフォルトでバウンスしている訳ではないのです。

口語と文語、タメ口と敬語のようなものでしょうかね。

『楽しくいこうぜ!』と言うときは1950年以降現在もバウンスします。
『ちょっと聞いてくれないか』とメッセージがあるときはイーブンでしょう。

さてこれまで8分音符の符割り的な(時間的な)話しかしてきませんでした。

『モダンジャズ以降、8分音符はバウンスしない』
それはわかった。
ではミディアムテンポで8分音符をイーブンでプレイしてみるとどうでしょう?
みなさんバウンス無しでスウィングできましたか?
スィングできた人は耳が良い人です。

私はジャズを始めたばかりの大学1年生の頃、
イーブンでプレイしたら全くスウィングしませんでした。
自分だけ時間が止まり、リズムセクションから解離し、
自分は別の空間に無関係に存在しているかのような感覚になりました。

そこでジャズ研では当たり前のことでしょうが、
私はソニー・ロリンズのMoiritat (Mack the Knife)を完全コピーしてみました。
そっくりに吹けるように。続いて同じアルバムのStrode Rode、
さらに St. Thomasもコピーして真似して吹きました。
CDと同時シンクロして吹けるようになるまで。

『毎日20回シンクロさせて吹かないと帰らない』
と決めて修行のように日課にしておりました。
おかけで秘密が解りました。イーブンでもスウィングさせる秘密です。

それは『アーティキュレーション』です。
ジャズのフレージングでアーティキュレーションは非常に大事です。
フレーズのどの音にアクセントを付け、どの音をミュートしたり、滑らかにプレイするか?
これこそがイーブンになった時に非常に大事になるのだ。と解ったのです。


そしてもう一つは『タイム』です。テンポではありません。
タイム感です。タイムと言うのは音の存在する時間軸の細かい座標です。
テンポは基準ですがタイムとはそのテンポに対してどのくらいの位置に音を置くのか?
という尺度のようなものです。
ジャストのテンポに対して突っ込み気味なものを
アドヴァンスもしくはバイト(噛む、食う)と言います。
それとは逆にジャストに対して遅れがち、重たい感じをレイドバックと言います。
もたり気味と言う事です。
このタイム感と先ほどのアーティキュレーションがあいまって、
イーブンでもグングン気持ちよくスウィングするのです。

タイムはテンポやその時のリズムセクションのグルーヴのパターンによりますが、
アーティキュレーションには大まかな法則、掟があります。
これは私のレッスンでジャズの初歩的ルールとして教えておりますが今回は割愛いたします。
(レッスンは有料ですので)
ちなみにこのアーティキュレーションとタイム感は
その後のロックやファンクなどの8ビートや16ビートでも
全くそのまま使えるテクニックですので是非マスターするとよいでしょう。
今日現在でもYoutubeを見るとモダンジャズでシリアスな曲であるにも関わらず
場違いな3連符でチャンカチャンカバウンスしながらをドヤ顔でプレイしている
若いプロ奏者やプロ講師を見ます。

勿論、そういう人に限ってアーティキュレーションはかなりデタラメだったりします。
プレイヤーなら自己責任ですから構いませんが、
講師の場合はその生徒さんがかわいそうになってしまいます。
『この人に教わったら生徒さんも8分音符をチャンカチャンカ吹いちゃうんだろうな』
と残念な気持ちになります。
どうか勘違いしているプロ講師も、
ブラバン出身のアマチュアジャズプレイヤーも
ミュージックエイトの誤った呪縛から解放されて、
偉大なジャズマンが残した音源をちゃんとあるがままに聴き取って、
真実に気が付いてください!!
















はい、思いのほか長くなってしまったので、
今一度、これまでのおさらいを。

≪8分音符の変化≫

1920年代 ニューオリンズジャズ、アーリージャズ
  やや跳ね(For Marching、To Listener)

1930年代 スィングジャズ、ビッグバンド全盛期
  ほぼ3連符のノリ(For Dancing、To Dancer)

1940年代 ビバップ革命、モダンジャズ黎明期
  バウンスの必要なし、イーブン(For Art、 To Musician)

と言う事でした。
今回はこの後、

『1950年代 ハードバップ、ポストバップ揺籃期』についてです。
チャーリー・パーカーの登場により、
ジャズは聴いて楽しむものから、
ミュージシャンが即興演奏において肉体の限界に挑戦する
知的でスポーティーな競技となりました。

ビバップ革命により、即興演奏は
『メロディーを如何に個性的に崩すか?』ではなく、
『大量にインプットされたフレーズを、如何に適切にアウトプットするか?』という
脳の記憶能力(憶える+思い出す)と筋肉の運動記憶(指や手)
を競うゲームになったのです。

この革命の転換によって『即興で演奏される音』は
気分や言語を表すメロディの亜種から
コードとの関連性を表すデータ(情報)に変わったのです。

ゆえに雰囲気、ムードよりもコードとの関係性を特定する為の
情報量(マテリアル)が重要となったのです。
この時代はジャズ史における第一次情報過多時代と言っても良いでしょう。

ビバップは年を経るごとに如何に速く、如何に沢山の音をプレイするか?
そして難解な理論を如何に素早く解釈し、適切な対応をするか?
という攻略ゲーム的要素が強くなります。

聴衆、観客はプレイヤーがどのくらいすごいことをしているのかわかりません。
同業者しかその真価は解らなかったでしょう。

ビバップにおけるフレーズは情報です。
バウンスする必要性はありません。

しかしパーカー自身はスィングジャズの時代にもいろんなビッグバンドで
下積み時代にプレイしていたわけでバウンスする癖も残っています。
60年代ならバウンスしないであろうテンポでも、
時期やテンポによってバウンスしている録音もあります。
まさにパーカーが生きている時代自体が
3連符からイーブンの8分音符への『過渡期』なのです。

パーカーはジャズ史においてスィングジャズからモダンジャズへの
転換の鐘を鳴らした革命家ですが、34歳の若さで死んでしまいます。

パーカーの偉業はビバップの発明だけではありませんでした。
彼には『ジャズ史におけるもっとも偉大な人』を発掘したという業績もあるのです。
その偉大な人とは勿論『マイルズ・デイヴィス』です。
マイルズ自身、パーカーに憧れ、その尊敬の念は晩年のインタヴューでも
『パーカーとの共演は忘れられない、あの感覚をもう一度味わいたくて今もプレイを続けているんだ』
と言っているくらいですが、その音楽の方向性は途中でマイルズが舵を切ります。

マイルズは後にハードバップと言われる聴くに耐えうる音楽を追求し始めます。
そのマイルズの脱ビバップ事件に関してはさまざま論議されているので
詳細は別の機会に譲りますが、ともかくこの後のジャズは
『ジャズ史≒マイルズの音楽変遷』という風になります。

さてこの後もさまざまジャズ史について語りたいところですが、
本題は『8分音符がどうなった』というテーマなので、
歴史の話はここまで。

この後は8分音符のグルーヴのさせ方に少し触れて
このお話を終わらせたいと思います。



さて前回の記事をざっくり復習(とちょっと加筆)すると…

1910年代までのニューオリンズジャズ(アーリージャズ)は
『March』由来であった為、『ドンチャドンチャ』と
歩くようなビートが基本でしたので
『ドン』が足を地につけた時で
『チャ』がもう一方の足のかかと地から離れる時の為
さほど跳ねないイーブンに近い8分音符でした。

これが1920年代になるとメディアに乗って
『For Entertainment』『For Sale』となり、
楽しくにぎやかで気分も弾むようなバウンス感が増して
8分音符はやや3連符に近いものが多くなってきます。
(もちろん全部じゃありませんよ!傾向性です。)

そして1930年代でビッグバンド黄金時代、スィングジャズの到来です。
8分音符は『For Dance』つまりステップの為にほぼ3連符のノリになります。
(ノーバウンスのイーブンのタップダンスって有るんでしょうかね?)
人はステップやジャンプを繰り返すと滞空時間があるので物理的に
大概3連符になるものです。

はい、ここまでがおさらいです。
今回のテーマは1940年代に起こったジャズ史上において、まあまあな出来事(笑)
『ビバップ革命』です。あえて『革命』と言ってみました。
カンザスシティからニューヨークにやってきた天才チャーリー・パーカーは
それまでのジャズに大きな革新をもたらします。

それまでのジャズに於けるアドリブはサッチモなどに見られるように
テーマを元にそれを徐々に崩し、変化させていくようなやり方でした。
コールマン・ホーキンスやレスター・ヤング、ドン・バイアスも
メロディとは違ったフレーズをプレイしましたが
まだメロディから想像しやすいようなアドリブのフレーズでした。

今回はグルーヴの話ですので理論的に詳細な解説はしませんが、
メロディーもアドリブも筑前煮とがめ煮のように
『同じ和食』と感じられるテイストでした。

パーカーは例えるならばそれに
『赤ワイン』的なものや『カレー粉』的なものを投入したのです。
アドリブで使われる音の可能性を拡張したのです。
それまでは『不協和音ですよ』といわれていた音まで
使い方によって『全然アリじゃん』としてしまったのです。

『バードが音楽の話をしたのを聞いたのは、たった一度、
奴がコードネームのことで俺のクラシックの友達と口論した時だけだ。
その晩、バードがコードなんて何でもいいんだって言ったから、俺は反論したんだ。
「B♭のブルースの五小節目にDナチュラルは使えないね」と言ったら、
バードは「いいや、使えるね」って言ったんだ。
ところが、ある晩”バートランド”でレスターヤングがそれをやっているのをきいたら、
ちっともおかしくなかった。もっとも音をベンドしていたがな。』

マイルスデイビス談

という事でパーカーやその盟友ディジー・ガレスピーが成し遂げた
『ビバップ革命』はジャズをエンターテインメントから
よりアカデミックに難解で高尚で、技術的にも高度なものに
一気に引き上げました。
この時代のジャズマンは昼間はダンスホールで同じ曲を何度も演奏し、
その退屈さの鬱憤晴らしも兼ねて、仕事が終ると夜な夜なバーに集まり
即興の腕を競ったのです。
参考動画↓


それはミュージシャンのプライドと腕をかけた真剣勝負でした。
ゆえに演奏される曲はテンポはどんどん速く、コードはより難解になり、
プレイヤーの知能と身体能力の限界に挑戦するが如く進化して言ったのです。
もちろん、そのトップをぶっちぎりで走っていたのは
チャーリー・パーカーでした。
彼はそれまでのジャズを再構築しました。
ジャズを娯楽の提供から
『音楽とミュージシャンの肉体との合一を目指す競技』に
変えてしまったのです。

ジャズの肉体化とでも言えるでしょうか、
言葉よりさらに抽象的な次元の音そのものを
フレーズをテクスチャーとして用いて
自分の脳内イメージを具現化します。
パーカーが『建築家』と呼ばれるのもこの
ジャズの再構築の偉業によるものです。

ビバップ革命によりジャズは
『For Art』であり 『To Musician』と成りました。
パーカーの音楽は批評家には評価されましたが
一般大衆には到底理解されなかったのです。
ミュージシャンが自分の自己表現だけの為に演奏した音楽で
踊りたいなんていう人はいないでしょう。

ですから速くなったテンポで無理矢理8分音符を
不自然に3連符でプレイしなくても良いのです。

その8分音符のイーブン化現象は習慣となり、しだいに
50年代以降ポスト・バップ、ハード・バップ期に至っても
遅いテンポでもイーブンでプレイするようになりました。
その理由や、変化に関しては余り言及している人は少ないので
この機会に私の説を発表しようかと思うのですが
長くなったので続きは次回に譲ります。





前回からの続きです。
ミュージックエイトなどの楽譜のジャズのスィングの表記で
swing_0_0


はちょっとだけ正解と言いました。
このようなニュアンスを言葉のみで表現するのは限界があるという前提を
承知で読んで頂ければ幸いです。可能な限り解説します。

私としては百歩譲ってこう表記したいところ。
swing_0_0


そもそもジャズと言っても色々な時代、
ジャンル、地域別の特色があるのです。

エリントン楽団の『Take The "A"Train』と
パット・メセニーの『 Last Train Home』は
同じ電車でも全然違う曲想ですし、
ニューオリンズの街角で聴こえる『聖者の行進』と
メッセンジャーズの『Blues March』では
同じ4ビートでもグルーヴも異なるのです。


ジャズのグルーヴの秘密を探るために少なくとも
ジャズの歴史をさらっとでも理解しなければなりません。
誤解を恐れず『ざっくり過ぎる解説』をすると

~1910年頃まで【Traditional Jazz、Early Jazz】
諸説ありますが、ジャズはニューオリンズの街角で
ブラスバンド(マーチングバンド)を母体として誕生しました。
参考音源→
基本は2ビートで『ドンチャ、ドンチャ』。
ドンの部分(1拍目と3拍目)はバスドラムとベース(チューバ)、
アフタービートのチャの部分(2拍目4拍目)はハイハット。
また4分音符を刻むギターもしくはバンジョー、ピアノも
アフタービートにはアクセントを置きます。
メロディー、ソロはクラリネット、トロンボーン、コルネット、ヴァイオリンなどが担当します。

8分音符はさほどバウンスしない。
個人的印象ですが8分音符<3連符くらいだと思います。
南部のフランスが統治していた所謂ディキシーランドが中心で
まだアメリカ全土へは広がっていません。

1920年代
この頃になると専業のミュージシャンが増えてきます。
サッチモの愛称で有名なルイ・アームストロングなどメディアに乗った
エンターティナーとしてのジャズミュージシャンの地位が確立し始めるのです。
売れっ子のジャズマンは自分のバンドを持ち興行をするようになったため
ジャズがミシシッピー川を北上し、シカゴやニューヨークに広まる。
繁華街のバーなどで演奏する機会が多かった事から、
楽しいものやムーディーな曲調が多かったようです。
つまり、黒人やユダヤ人たちが生きていくための
『For Sale』なジャズです。


参考音源→


1930年代
世界恐慌からニューディール政策により徐々に景気を回復する中で
ジャズは各地にできたダンスホールを中心に演奏を始めました。
編成も人数が増え、『ビッグバンド』という17名ほどの大所帯となったのです。
所謂、ビッグバンドジャズ、スィングジャズ時代の到来です。

参考音源→

音楽的に言えば、『For Dance』のジャズですので
1、3拍目と2、4拍目のコントラストが強調されたました。
その結果、いわゆるタテ乗りのグルーヴとなります。
より4ビートを感じやすく、数えやすくなりました。

また8分音符はこの時代が一番3連符に近いと個人的には思います。
その方が踊り易いやすかったからだと思われます。

また大音量の中で演奏する為にコントラバス(ウッドベース)の弦高は高くなったので、
ベースの4分音符は『ボン、ボン』と短くなりました。
また、ビッグバンドのアレンジ上、ドラムスは『Fill in』を多用するようになり、
それまでほとんどメトロノーム変わりだったバスドラムを『ズンタトトトドン』のように
フレージングの為に使うように進化しました。

さて長くなったのでここで一旦終わることにします。
次回は『モダンジャズ』以降、つまりポストモダンのお話です。





私が音楽をちゃんとめたのは高校生からです。
本当はサックスをやりたかったのですが、
サックスパートは人気で経験者で楽器を持っている人しか入れなかったのです。
そこで初心者の私はクラリネットパートに回されました。まあ、吹奏楽あるあるでしょうかね(笑)
先輩には『似たようなもんだから』と言われましたが、段々日が経つにつれ
『クラリネットの楽譜の方が断然音数多くて難しいじゃん!運指もややこしいし!』
という事が解ってきたのです。
しかも、たまたまこの部活のクラリネットパートは私が入学する前年まで
『全国アンサンブルコンテスト上位入賞常連校』でした。
ですから入部してすぐに『H.KLOSE』というクラリネット奏者にとっては
バイブルのような本を暗記させられるというシビアな環境だったのです。
おかげで初心者ながら読譜は鍛えられました。
特に練習の仕方はこの時に学んだことが今でも役立っています。

そんな部活でしたが以外にコンクールに関してはリベラルな考えが浸透しており、
よくある『コンクール至上主義』の部活ではなかったのです。
ですので定期演奏会や学園祭ではポップスやジャズの曲もやりました。
そんな時、お世話になったのが『ミュージックエイト』という出版社の楽譜です。
流行りのポップスや有名なジャズのスタンダードナンバーなどを幅広く扱い、
しかもアレンジが簡単であるにもかかわらず、それらしく聴こえるという優れものでした。
我々世代の全国の吹奏楽部のアウトローのジャズポップス好きには
M8(エムハチ)と呼ばれ多くの楽団に親しまれていたと思います。

このM8、先述したように流行りの歌謡曲やジャズのナンバーを簡単なアレンジで
多く出版したことにより、コンクールの課題曲やA.リードのオリジナル曲など
到底できないような未熟なバンドでも吹奏楽を身近に楽しめたり、
お客さんにも喜ばれたりという素晴らしい功績があったように思います。

がしかし、その反面、ポップスやジャズのニュアンスについては
表記の限界か?
はたまたアレンジャーの手抜きか?
それとも無知か?
今の私からすると???な点が多かったように思います。
その中で私が今でも痛切に感じ、
根深いなぁと思うのはこいつです↓

swing_0_0


この表記により全国の吹奏楽部諸君は
『へー、ジャズって3連符なんだ。』
と大いなる勘違いをしてしまうのです。
さらにそのように教えるインチキトレーナーなどもいるので困ったものです。

『ジャズって3連符』これはちょっとだけ正解ですが正しくはありません。

そもそもジャズは…。
あ、話が長くなるのでこの続きは次回の記事で(笑)


先の投稿で
『巨匠と言われる音楽家は寄り多くの人を感動させた』
という推論で無理矢理締めくくったのですが(笑)

その辺は『恐らく、そうかもね』でご了承して頂いて
話を進めさせていただきます。

まずは感動の基準をはっきりさせたいと思いますが
先の投稿で
『落涙、発汗、鳥肌、心拍数の増加、体温の上昇』
云々、列挙しましたが、実は脳科学的に
『感動ホルモン』と呼ばれるものがございます。(なんだそりゃ)

それはセロトニンです。


セロトニンとはここで詳細に説明する事は避けますが
脳内で生成される物質で厳密にはホルモンではありません。
(『感動ホルモン』と言われるけど)

セロトニンは、その分泌によりドーパミンやエンドルフィンなどの
報酬系脳内物質の分泌を促し、且つ適切にコントロールして
精神を安定させ、幸福感や覚醒感を感じさせます。

実験により感動した時にセロトニンの交換が盛んになる
ということが実際に解っております。

ですので今回、音楽による感動を
『音楽が潜在意識に働きかけ、セロトニンを分泌させた』
と仮に定義するならば、


『感動したからセロトニンが分泌した』のか?
それとも
『セロトニンが分泌したから感動した』のか?
問題が発生します。(ニワトリと卵みたいですな)

つまり感動のメカニズムを
脳科学的に解明しなければなりませんな(笑)

この問題に関しては私はただのサックス講師ですので
東京女子医科大学母子総合医療センター所長の
仁志田 博司教授の言葉をまんま引用しますと…

『脳機能からみた感動するという現象は、
五感および運動感覚を介する外部からの
刺激情報(音楽・景色・故郷の香り・到達感)が、
大脳周辺部においてその感覚情報が
美しい・気持ちが良い・素晴らしいものとして評価されると、
前頭前野の高次脳機能の深い記憶(命の原始記憶・懐かしい思い出)
が呼び覚まされ、それによって報酬系が刺激されて
ドーパミンやエンドルフィン等のサージがおこり、
脳機能全体が高揚する状態になること』

…だそうです。ハイ。

ま、要は

『訳わかんないけど、人として根源的なものと
リンクしちゃってるっぽいのでセロトニンがダダ漏れ』

っつー事でしょうな。
もっと深掘りしてもいいですが、ここらで
当初のテーマの結論はとりあえず出ましたな。

『AIは人として根源的なものが無いから感動しない。』
つーか元々セロトニンなんか出ない(笑)

『音楽と感動』に関しては様々考える価値がありそうなので、
また機会があれば書いてみたいと思います。
以上、酒の席のたわごとでブログを2つも書いてしまいました。
















昨日は教室のビッグバンドのサックスセクションの練習日と
フルート会員のアンサンブル練習日が重なったので、
急遽、合同新年会となりました。

そこで『AIと音楽』と言う話題でこんな議論がありました。
『AI(ロボット)は音楽で感動するのか?』
八王子の居酒屋で壮大なテーマです。

ある方は
『ロボットは音楽なんて解らないから絶対に感動しない』
ある方は
『「絶対」はない、わかるかもしれない』
あるの人は
『まあまあ、どーでもいいじゃないですか(笑)』
ある方は
『お金持ちの演奏者が金を出して
 自分の演奏で感動するロボットを会場一杯に座らせるかも』
私は
『それがビジネスになるなら、その研究はされるでしょう』


アルコールが入っているので甚だ論点がトッチラカッテます(笑)

ざっくり整理すると
①ロボットは音楽を理解できるか?(プログラミングの問題)
②感動とはどのように生まれるか?(心理学、脳科学的問題)
③何を持って感動していると客観的判断がなされるのか?(脳科学的、医学的問題)
と分けられると思います。


①は音響工学的に音楽を数値化してAIに認識させる事が第1歩です。
その上で

『どのような音楽(あるいは波形パターン)に
感動するという反応をするようプログラミングするか?』

です。

ある方は
『もう演奏が正確か否かはAIで判断できるはず』

ある方は
『正確な演奏なら感動するのか?』

一同
『・・・・・・・・・』


と言う事で、まず『感動の基準』を考えねばなりません。
つまり『何を持って感動と定義するのか?』です。
『’感動した』は自己申告ですので、
これを普遍化、一般化しなければなりません。

人間の感動を客観的に観測可能にする要素はあるのか?
思いつくままに考えてみると
落涙、発汗、鳥肌、心拍数の増加、体温の上昇、
脳内ホルモン(セロトニン)の分泌などでしょうか。
これらに変化が見られれば、ウソ発見器のように、
客観的に感動したのか測定できる事になります。
『ホントに感動したのかウソ発見器にかける』は
AIに応用できないのでNGです(笑)


次に②ですが、これは『感動のメカニズム』を考えねばなりません。
どのような情報により感動と言う反応が起こるか?です。

ただしここで『感動』と言うとざっくりしすぎて
広げる風呂敷がでかすぎなので、とりあえず独断で

『聴いただけで理由もわからず涙してしまった状態』

としましょう。

そうでないと、

『孫が3歳なのにあんなに上手にピアノが弾けて感動した』とか
『激しいステップを踏みながらバリトンサックスを吹くなんて感動した』とか
『弦が途中で切れたにも関わらず演奏を続けて感動した』とか
『引退を前に紅白に出てくれただけで感動した』とかも入ってしまいます。

ただし、『理由もわからず』というのは
『理由が無い』訳では在りません。
『意識的に原因が解らない』だけで
『無意識、潜在意識』には何らかの原因があり、
演奏がトリガー(キッカケ、縁)となって、
感動という結果をもたらしていると推測されます。

演奏を聴きながら聴衆は、『何か』を感じ、
その答えがわからないまま感動したり、
『何か』を勝手に脳内でストーリーを創造(想像)したりして、
感動にいたるのでしょう。

つまり、感動とは音楽そのものに内在する要素では無く、
観察者(聴衆)との関係性において発生するもの
(何やら量子力学のようになって来ました)
と言えるのでしょう。
1000人の聴衆のうち何%が感動するか?
その公約数を探る研究になってしまいます。
でもその確率のレースで生き残ったのが
バッハやモーツァルト、マイルス、コルトレーンのような
『巨匠』達だと言えるのでしょう。
彼らは聴衆のどんな最大公約数に訴えかけたのか?

これが感動の秘密を握っているのかもしれません。
長くなったので続きは次回に。














耳コピーの意味

以前も『耳コピー』(採譜)に関しては何度か書いたと思いますが、
最近、何人かに
『耳コピーが苦手だが、必要か?』
との質問を受けたので、
この機会にまた改めてまとめてみようと思います。

【耳コピーの必要性】

①聴く力の強化

名演を聴くと言う行為は『読書』にあたります。
inputですね。
しかし、このinputの質(情報の精度)と言うものは
個々の耳の良し悪しによって
ばらつきがあり、様々でしょう。

1回聴いて音楽的にそこで何が起こり、
プレイヤーがどんなコンセプトで、
どんなアプローチを仕掛けて、
どんな展開に発展しているのか?を
リアルタイムで認識しながら聴けているか?

それとも

『すげー、カッコイイ―!』で終わってるか?
は人それぞれです。

つまり、
『今鳴っている音が何か解る』ってことです。
『何の音』かはわからなくていいです。

言い換えれば
『音が何を表しているか?』
が解ればいいのです。

даとかнетとかスペルが解らなくても
ダ、とかニェットって言えて、意味が解れば
コミュニケーションとしてはOKなのです。

『日本語わかりますか?』ってことですよね?
音楽の大大大前提です。

しかし、日本の音楽教育や吹奏楽の世界では
『まず譜面ありき』だったりします。
まず、というか『譜面しかない』って人もいます(笑)。

以前、うちの教室の講師のオーディションに来た
某有名音楽大学のサックス科を首席で卒業したという女性。

『私の演奏にハモってください』と言ったら
無言で固まってます。
『さあ、ハモってください』と言うと
『譜面ください』と…。

4年間、音大通っても、
フランスに何年か留学して大先生に師事しても、
音への認識能力、反応能力は
ギターかき鳴らしてるストリートミュージシャンや
アカペラ好きの中学生には及ばないってこともあります。

今聴こえてる音が何か?を認識したり模倣できないと
その言語を話す事は困難ですよね?

耳コピは読書ではなく
『書きお越し』や『写経』と言いましょうか。
まずは書き起こす能力が必要です。
情報を正確に記録すると言う事です。
ですから耳コピは頑張って挑戦しましょう。

②思考のコピー

これはジャズに限ったことですが、
フレーズをコピーする意味は2つあります。

たいていのアマチュアはそのフレーズを覚えたいから
コピーします。for Memorizeです。

実は他にも理由があります。
そっちの方が100倍大事です。
一体、何のためにコピーするのでしょう?
それは分析するためです。
for Analyzeです。
そのフレーズ自体がどのような要素で構成されているか?
の『成分分析』もありますし、
前後の文脈や構成を調べる『思考の分析』もあります。
ジャズにおいてはこの思考のコピーが重要だと思うのです。

『ほいけんた』というタレントさんがいます。
明石家さんまさんのモノマネをする方です。
ほいけんたさん↓



この方は話し方のアクセントや体の動き、
話す内容、リアクションなど、まるでさんまさん本人ではないか?
と思うほどそっくりです。大変研究なさっておられるのが解ります。

この『ほいけんた』さんが
『私にはさんま脳があるんです』とおっしゃっておりました。

さんまさんに関する膨大な情報量をインストールすると
『さんまさんならこう考え、こんなことを言ったりやったりするのではないか?』
と言うのが解ってくるというのです。

これ、ジャズマンとしては非常に頷けるポイントなのです。
パーカーにはフォロワーと呼ばれるプレイヤーが多くいます。
コルトレーンもです。
彼らフォロワーはパーカーやトレーンをシコタマ研究したのでしょう。
思考までコピーし、パーカー脳やトレーン脳を作ってしまったのでしょう。
成功した人はそこにオリジナリティをプラスして
自分のスタイルを構築したのでしょう。
成功しなかった人はそっくりさんで終わってしまったかもしれません。
芸能界でそっくりさんは食っていけるかもしれませんが、
ジャズ界では食っていけません。あ、いけてるかな?(笑)

それはともかく、私が訴えたいのは、
そっくりさんになることではなく、思考をコピーして、
同じコード進行でも、パーカーはこう考え、トレーンはこう考え、
ロリンズはこう考え、マイルスはこう考えたのか。
と分析すれば宝のような重要な情報が得られると言う事なのです。
だって一流のジャズマンの脳の中を覗くような行為ですから。

そうやって多くのジャズマンの思考の流れ、脳をコピーし、
自分のアドリブ脳を作っていくのです。
それが『自分のスタイルを構築する』という、
ジャズで最も大事なゴールなのです。



                                                             



前回の投稿記事が
『ボカシ過ぎて話が全く見えん!』
と早々にご意見を頂いたので少しだけ解説すると、
そもそもGlenn MillerのIn The Moodは1939年の作品なので
ジャズと一言にいっても『Swing Jazz』であると言う事です。

『Swing Jazz』と言うのは『For Dance』。
つまり躍らせる為の音楽なのです。
音楽的に言うとドラムはバスドラムは1、3拍目に打つ事が多く、
『ドン、チャ、ドン、チャ、』のパターンが基本です。
フレキシブルに反応してバスドラムを打つのは
1940年代初頭にKenny ClarkeがBebopのドラムスタイルを構築してからです。

さらにこの頃はベースも生音だった為、大きな音を出す為に
弦高を高くしていたので音が『ボン、ボン』と短くなりました。
そのような短めのピチカート奏法とドラムの一定のパターン、
に加え8分音符は踊りやすいように3連符のようにバウンスしていました。
シンバルレガートや『チーンチッキ』、
ハイハットワークは『シーシッキ』となっていたわけです。
そうなると4ビートの各ダウンビート(オモテ拍)が強調され
ステップが踏みやすくなるのです。

ジャズのアーティキュレーションは一般には
アップビートが強調されますが、ここで大事な事は
『Swing Jazz』とBebop以降の『Modern Jazz』とは
グルーヴが違うと言う事です。
Bebopは『For Musicians』で
Modern Jazzは『Listening』なのです。
従ってダウンビートの規則的なアクセントよりも
アップビートや不規則なタイミングでのアクセントが好まれます。

勿論、芸術なので、時代や人によって
はっきり別れると言う事ではなく、
Swing寄り、Modern寄り、とか傾向性が分かれると言う事です。

Swing とBebopの過渡期の『中間派』の演奏↓

リズムセクションはオールドスタイルだが
ホーンセクションにBebopの萌芽が微妙に垣間見られる。
この頃になるとリズムセクションはもうBebopっぽいが
管楽器の音の切り方やアクセントはSwing時代を感じさせる。


カウント・ベイシー楽団に於ける魅力の1つは
この2つの時代のグルーヴが共存していると言う点であることは
ビッグバンドをやっている人なら周知の通り。

※テーマの1コーラス目のグルーヴとヴァンプ以降のTuttiでは
リズムセクションのグルーヴやホーンセクションフレージングが
明らかに異なっているのが解る。
この間にメンバーはグルーヴのタイムスリップを楽しんでいるのだ。

本家Glenn Miller楽団に於いても時代により、
ホーンセクションのフレージングが50年代以降は
若干、Bebop寄りに変わってきているようです。
私はIn The Moodはもはや『伝統芸能』の域に達している(笑)
と感じているのでトラディショナルなフレージングで
演奏して欲しいと思っています。
『目黒のさんま』や『時そば』を現代口語でやられても
『オツだねぇ』とは思わないのです。

P.S.
講座内で話題になったアーティキュレーションの違い↓
Stan Getz(中間派)


 Sonny Rollins(ハードバップ)

『絶対音感』
レッスンをしていてよく質問されるのがこの
『絶対音感』です。

『絶対音感』とはある音を聴いたときに、
その音の高さを記憶に基づいて
絶対的に認識する能力のことですが、
 
驚愕の絶対音感動画↓
 

楽器やジャズのアドリブをやる上において
この『絶対音感』が必要ですか?
とよく質問されるのです。

私の個人的な意見としては
『そんなものは要りません、有ったら邪魔かもしれません。』
と答えております。
なぜならば、そもそもサックスは移調楽器ですので
『ド』といっても実際は
『シ♭』だったり
『ミ♭』だったりしますので
実際の音名(実音)と記譜のギャップがいちいち
面倒くさいのではないかと思われます。
以前、実際に『絶対音感』の持ち主をレッスンした事が
何度かあったのですが皆さんもれなく混乱しておりました。

私自身はアルト(E♭)もテナー(B♭)もプレイしますので
E♭とB♭の『相対音感』を持っております。

以前、アルトばかりプレイしていたら
テナーの相対音感が鈍ってしまった事もありました。
ですので『継続的に使う事』が音感にとって大事なのだと思います。

またアドリブと言う点で考えると『相対音感』によって
『Any key』つまり、どんなキーでもその中でも
『Tonal gravity』(調性重力)を感じ取る事によって時に
めまぐるしく変化するドミナントモーションを意識できる
と思うのです。

『Tonal gravity』とは『Tonal center』に対する引力です。
ここではその詳しい解説は略しますが、
ある音がその調(key)のどのような位置にいるか?
という座標のようなものです。
太陽系において地球がどのような位置にあるか?
という感じですね。

私は以前(脳卒中になる以前)全く感覚的にアドリブをやっておりました。
勿論、理論やコピーも学びましたが、いざプレイするときは
『すべて忘れろ』です。

世代的に『マイケル・ブレッカー』の影響をモロに受けておりましたので
調子に乗ると『アウトする癖』も勿論付いておりました。
地球や火星にいたと思ったら冥王星や太陽系以外の場所へワープ!
なんて事もやっておりました。

スターウォーズのミレニアムファルコン号にでも乗っている気分でした。
残念ながら今はそんなリスクの高い、無責任な運転はできませんが(笑)

…重力圏を逸脱したので話を『絶対音感』に戻します。
たとえ『絶対音感』があっても、適時、『Tonal center』も
平行移動できればいいのかもしれません。

『絶対音感』を持っていない私はそれが可能なのか解りませんが。
音楽も人間社会も大事なのは『多様性』なのかもしれません。

Cという世界におけるFと
B♭という世界におけるFは
同じFでも違う役割、個性を持っているということですね。

ただし、このゲームをやる時だけは
『絶対音感』が欲しい!と私は切望いたしました。
 



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