渦男のジャズ道場

八王子の音楽教室ミュージックサロンア・ミューズのサックス講師 網 渦男のブログです。 サックスに関すること、ジャズに関することなどをまとめております。(旧さきこら)

カテゴリ: アドリブ講座

ジャズを学ぼうと思っていざ、理論書なるものを
買って読んでみると、多くの初心者は挫折してしまいます。
それまでバンドや吹奏楽でコードネームやオタマジャクシに
慣れ親しんでいるはずの人でも、です。
どうしてでしょうか?

音大で作曲法を学んだような人なら解るかも知れませんが
大学で習ったはずの日本語はどこへやら、
初めて聞くカタカナ(英語)ばかりで閉口する事もあるかもしれません。

板前の修業をある程度してもイタリアンやフレンチに転向したら
同じ料理であっても初めは戸惑います。
ましてやアドリブと読譜による演奏は似て異なるもの。
『レシピを作る』のと『レシピ通りに作る』事は違うのです。

さらに理論書を書いている著者が、プレイヤーなのか
講師なのかによっても違います。

以前、堀江貴文さんが『寿司職人の修行はばかばかしい』
と発言して物議を醸しましたが、結論から言えば
寿司を握る技術は研修や学校で習った方が早いでしょう。
教える側は教えるプロですから。合理的で解りやすいです。
生徒のレベルの理解した上で教え、
日々そのケーススタディのデータは蓄積されアップデートされます。
実績だけが武器となることが多いからです。
(有名人講師で人を集めている学校は別かもしれません)

ジャズの理論書を読んで、私がよく感じることは、
『概念の連結による自明視にを多用する為、本意の伝達が困難』と言う点です。
↑この言葉自体、わざと解りにくく書いたのですが(笑)
簡単なセンテンスに開いて書くと
『解説するのに難しい言葉や概念を使ってるけど、
 まだそれ自体を知らない人には伝わるはずねーじゃん』
って事です。
寄り添ってないんですよね。

『多くの理論書の著者は“obviousness”と“familiarity”を履き違えているのです。』
↑ジャズ理論書はこんな感じで書いてあるのですよ。

因みに2行上の文章は
『概念的に自明の理である(obviousness)』って事を
まだ概念を共有できていない初心者に
『君ならもう熟知してるでしょ(familiarity)』と
まるでミュージシャン仲間への感覚を混同していると言うことです(笑)

自分が概念としてわかっていることは
たとえ経験の無い人でも解ると思っている誤認識なのです。
本当は概念と経験から学ぶものなのに、
概念未理解で且つ経験が無くとも『わかるっしょ』と思い込んで書いているのです。

私のレッスンの時にこんなことがありました。
私:『ここはキーがCメジャーだよね?』
生徒:『Cメジャーってドミソですか?』
私は『キーが』と言った段階で当然『調性』の話だと思ってそう言ったのです
しかし生徒さんは『Cメジャー』という言葉で『コードネーム』だと思ったのです。
私にとってはobviousnessでしたが
生徒さんにとってはfamiliarityの問題だったのです。

このような微妙なズレによってジャズの理論書は解りにくいのです。
ですから入門書の著者(講師)は相手のレベル、理解度に
細心の注意を払わねばなりません。
中級以上はある程度、フィルターをかけているので
この問題は多少改善されるでしょうが、
入門書は慎重に、丁寧に行かねばなりません。

私が丁寧にわかりやすく書いた入門書は
こちらです→http://www.a-muse.jp/textbook/













前回の投稿の最後に『日本語がきちんと話せて』と書きましたが、
その理由はアドリブの習得と言語の習得は非常に似ているからです。
この考えにはプロのジャズマンは100%同意するでしょう。


レッスンを受けている人であっても独学の人であっても、
ジャズのアドリブを学んでいる人の中には、
ツーファイブフレーズなどの『Lick』を覚えなければアドリブは出来ない
と頑なに思い込んでいる人がいます。

私の教室に来た生徒さんにもおりました。
『何百もフレーズ覚えないとジャズってできないんですよね?』
と聞かれたのです。
私はこう聞き返しました。
『○○さんは日本語を話せるように為に何百も文章を覚えましたか?』
皆さんはいかがでしょうか?

恐らくは赤ちゃんの頃から、まずは簡単な『単語』を覚え、
やがてそれを『状況に応じて』使い始め、
さらにそれらの単語を『組み合わせて』使い始め、
段々と長い文章を使いこなせるようになったのではないでしょうか?

けれども、巷に氾濫するジャズの教本はどうでしょう?
理論書があり、フレーズ集があり、
1コーラス丸々完成品が記載されている『参考(模範)ソロ集』があり、
偉大なジャズマンのソロコピー集があるだけです。

理論書は文法書に当たります。
これだけでは言語はマスターできません。英語の授業がそうでした。
物事の構造仕組み、ルールを学ぶ事は必要ですが
それだけでは充分条件にはなりません。

フレーズ集は英語の例文、構文集になります。
テストで覚えれば点は取れますが、テストが終れば忘れます。
覚える事に意義があり、使うためには意義を感じられないので
テストが終れば脳は記憶を削除します。

模範ソロ集やソロコピー集は
エッセイや文学作品に当たるでしょう。
感銘を受けたり、感動したりしますが、
分析して研究しないと身になりません。
そのまま転用、流用したら単なるパクリです。
オマージュだ。リスペクトだと開き直っても構いませんが(笑)

このような英語教育を受けたから
このような教本しか出版されていないのか否かは解りませんが、
このような教育でも独学で英語をマスターできた人は
現状のアドリブ教本でもアドリブをマスターできるでしょう。
でも多くの日本人が英会話をマスター出来なかったように、
教本の氾濫の割りにアドリブ挫折者が多いと言うのが現状でしょう。

皆さん、早くそこに気がつきましょう。
もう教本コレクターになる必要はありません。
当たり前の、本来在るべきやり方でアドリブを習得しましょう。

古来、日本人は大陸に渡り中国や朝鮮の言語を学び、
建築や社会制度などを輸入してきました。
日本人も言語能力は本来は素晴らしいはずなのです。

日本人はさらに漢字、平仮名、カタカナを巧みに使い分けております。
『音楽』と言う字を見ただけで
『音を楽しむ』とか『おと、オン、ね』と『たのしい、ガク、ラク』とか
という付加情報も容易に連想できます。
『CM7』を見て『ド、ミ、ソ、シ』や『ドレミファソラシド』を
連想する事くらいは訓練すれば可能でしょう。

このような音に対する情報を『音読み』と『訓読み』のように
『スケール』や『コード』といった要素に分けて整理し、
インプットしていけば、今ある貴方の言語中枢をそのまま使って、
アドリブが可能になるのです。
左脳の記憶によってのみやろうとするから
英語もアドリブも出来ないのです。

今から『カッコイイけど意味の解らないツーファイブフレーズ』を
何百も覚える必要はありません。
SVOの文法のように『スケール』や『コード』と言う単語を使って
文章を作っていけば良いのです。

その方法を私は
『コマンド式フレーズ生成法』略して『コマンドメソッド』として
レッスンでも使い、教本でも紹介しております。

これまでの著作の内容についてのご質問をよく頂くので
以下に簡単に紹介させていただきます。

【初心者向け】→スケールやコードから学びたい
『初めてのアドリブVol.1』
https://goo.gl/KW2tm7

『ジャズ道場 初級篇』
http://www.a-muse.jp/textbook/#dojo

『おジャズのおケイコ』(マンガ)
http://www.a-muse.jp/textbook/#ojazz

【中級者向け】→ダイアトニックな曲ならアドリブ可能
『初めてのアドリブVol.2』
https://goo.gl/2i1Ss6

『ジャズ道場 中級篇』
http://www.a-muse.jp/textbook/#dojo

『ジャズアドリブドリル』
http://www.a-muse.jp/textbook/#drill

【中の上級者向け】→アドリブのマンネリを打破したい
『初めてのアドリブVol.3』
https://goo.gl/kyh12T

『スタンダードコレクション』
http://www.a-muse.jp/textbook/#collection











ジャズのアドリブ習得の為の教材は世の中にたくさん出回っております。

ジャズ初心者の方はいったい何から学んだらよいのか戸惑ってしまうでしょう。

また音楽自体の初心者であれば尚更です。


地図も羅針盤も持たず、音楽という大海に漕ぎ出し、

ジャズという危険な(笑)未開の地を冒険するのは至難の業に思えてしまいます。

まず何から順番に学べばよいのか?すら解らなかったり、

例えボンヤリと解っていても、それが正しいのか自信がない

と言うのは無理もありません。


整理して順番に考えて見ましょう。

まず、ジャズのアドリブという行為は

コード(和音の響き)やスケール(調性)を考慮して、

即興でメロディを紡いでいくこと。ですよね?


作曲は音楽の3大要素である

『メロディー』

『ハーモニー』

『リズム』

を全て創造していく行為ですが、

ジャズのアドリブは通常、ハーモニーとリズムは決まっております。

全くの即興演奏でない限りはジャムセッションでは

題材となるスタンダードやブルースなどの曲を決めて、

そのテーマを演奏し、そのままアドリブコーラスへと演奏が進みます。


ソリストはその曲のコード進行(大抵はテーマと同じ)に則って、

メロディを紡ぐわけですから、ヒントとなるのは

『ハーモニー(コード)』と言う事になります。

また、多くのスタンダード曲はテーマとアドリブでリズム、

つまりテンポやビート(4ビートやラテンなど)は同じである場合が多いですから

『リズム』もまた新に創造する必要はありません。(しても良いですけど)


そうなるとジャズのアドリブは作曲と違い、

『瞬間的にメロディを創造する行為』だと言えます。

そしてそのヒントはハーモニーやリズムとなります。

※ピアノやギターはアドリブでコードのみでヴォイシングする事もあります。


ですので、アドリブを学ぶには『メロディとはなにか?』を

学ぶ事からスタートしなければならないという結論になります。


作曲の場合、はじめにメロディを作り、それにコードを付ける。

という順序もありますが、ジャズのアドリブはコードは既に決まっております。

そしてそのコードの『響きに合った』音を用いてメロディを創造するのですが、

『合う音』と『合わない音』があります。音楽的に言うと

『協和音』 と『不協和音』と言うものです。


厳密に決まってはおりません。

以前は『使ってはいけない音』と言うものがありました。

今でも有るといえば有ります。人によります。

30年前、お寿司にマヨネーズをつけたり、

大福にイチゴを入れたりはしていませんでしたよね?

サウンドの好みも刺激を欲して変わっていくものです。

カレーにコーヒーやジャムを隠し味で入れるように使い方にもよります。


そのようなコードとの『相性』を考慮し12個の音を上手い事使って

メロディーを瞬間的に作っていくのです。


料理と同じく、美味しくするには『基準』が必要となります。

それが『ジャズ理論』なるものなのですが、これが難しいのですよ(笑)。

厳密に言うと非常に『難しく書かれている』んですよね~(笑)

多くの人はアドリブにチャレンジしても『理論書』的なものを

買って、読んで、理解できず、挫折してしまいます。

私も若い頃そうでした(笑)。


まず理論書の聞き慣れない単語のオンパレードに頭がクラクラしてしまいます(笑)

さらに、往々にして理論書というものは言葉が足りてません。

解ってる人が解らない人のレベルを考えないで単に説明してたりするので

初心者には『スッポリ何か抜け落ちている感』を感じるのです。

何か『はしょられた』気がして理解できなかったりします。

どうしてそうなるのかという論理の飛躍があるような印象を受けてしまいます。

そこで『やっぱり自分にはアドリブは向かないんだな』と諦めてしまうのです。


でも安心してください。

日本語がきちんと話せて、楽器の演奏が出来れば

『アドリブは誰にでも可能です!』

少々長くなったので、その理由は次回の投稿で詳しく書きます。


これまでの著作の内容についてのご質問をよく頂くので
以下に簡単に紹介させていただきます。

【初心者向け】→スケールやコードから学びたい
『初めてのアドリブVol.1』
https://goo.gl/KW2tm7

『ジャズ道場 初級篇』
http://www.a-muse.jp/textbook/#dojo

『おジャズのおケイコ』(マンガ)
http://www.a-muse.jp/textbook/#ojazz

【中級者向け】→ダイアトニックな曲ならアドリブ可能
『初めてのアドリブVol.2』
https://goo.gl/2i1Ss6

『ジャズ道場 中級篇』
http://www.a-muse.jp/textbook/#dojo

『ジャズアドリブドリル』
http://www.a-muse.jp/textbook/#drill

【中の上級者向け】→アドリブのマンネリを打破したい
『初めてのアドリブVol.3』
https://goo.gl/kyh12T

『スタンダードコレクション』
http://www.a-muse.jp/textbook/#collection















昨日はある受講生の驚くべき進化に感動いたしました。
実はその方の前回のレッスンの段階でそのスキルの安定感に
思わず落涙してしまったのですが、
今回はそのスキルがさらにワンランク上がっていたので大変嬉しかったのです。

どういうことかと申しますと、
情報処理が『左脳→右脳』に移行したと言う事なのです。
私のアドリブレッスンでは『コマンド式フレーズ生成法』という
独自の方法で音楽センスの有無に関わらず、アドリブが出来るような
システムでトレーニングするのですが、
これはジャズマンの脳みそで行われている一瞬の情報処理を、
初心者でもトレーニングにより段階的に出来るようになる便利なシステムなのです。

その前提として私は受講者の方に『スケールシーケンス』と『コードシーケンス』
の練習をしてもらいます。これはアドリブの『素材』も確認のようなものです。
そこから『スケール』や『コード』と言った『単語』を元にフレーズを生成します。

例えば
①初めは|Dm7|G7|CM7|と言うコード進行であれば
ブログ用1

と4分音符で練習して頂きます。
②それが余裕を持って出来るようになったら次に
ブログ用2

と8分音符でChord Up & Downというコマンド(指令)を練習します。
③それが瞬時に出来るようになったら次に
ブログ用3

と構成音をランダムに組み替えて演奏できるように練習していただきます。
④それが出来るようになったら次に
ブログ用4

とリズムに変化を加えてジャズっぽく加工を施せるように練習します。

この段階的練習の②→③が左脳から右脳への移行に当たります。
左脳はシリアル思考。順番で覚えます。
右脳は全体把握です。
1つのコードの構成音を脳内で転回する訓練が必要なので
地道な練習なくしては乗り越えられないステップなのです。

昨日の受講生は
私が『コードシーケンスで1コーラス演奏してください』と言っただけで
それをやってのけました。普通は皆さん②の単純なコマンドでやります。
そこを③で挑戦して見事成し遂げたのでした。
聞けば時間があれば楽器が無くとも脳内で訓練していたそうです。

彼以外にも通勤の電車内や、昼休みのちょっとした時間などに
好きなスタンダード曲を脳内でコマンドトレーニングしている
という方が何人もいらっしゃいます。

私も電車で移動するときに社内でスマホゲームに興じている人を見ると
『あ、○○さんも今頃アドリブのトレーニングをしているのかな』と
想像したりします。スマホゲームも楽しいのでしょうが、
脳内アドリブシミュレーションも何倍も楽しい事です。
下手な脳トレドリルよりも良いのではないかと思っております。
皆様、アンチエイジング、ボケ防止にインプロヴィゼイションを(笑)
そしてそのお供に拙著を(笑)→http://www.a-muse.jp/textbook/















先日、サクラヤジャズクラブで
ワークショップを担当させて頂いて、
自分の中で課題が出来ました。

まだこのワークショップをキッカケに
『初めてアドリブが出来た』という方が
何人もいらっしゃるのですが、

特に先日は本当に気持ちよさそうに、
幸せそうにアドリブをなさっているのです。

『アドリブなんてとんでもない今日は見るだけで』
と初めは遠慮なさっていた方々が、

目をつぶって音楽に浸りきり、
まるで陶酔するかのようにアドリブに夢中になって、
終った頃には頬を紅潮させ

『今日は本当に楽しかったです!』
と仰った。

こういう『音楽の素晴らしさ』を純粋に感じている人たちに、
私はこれから
『ダイアトニックコードとは』とか
『ドミナントモーションとは』とか
小難しい理論なるものを
教えていかねばならないのだろうか?

アドリブという自由を謳歌している人々へ
『ルール』や『規制』を
強いなければならないのだろうか?

参加者が満足そうに演奏している姿を見ながら
私は秘かに悩んでおりました。

セロニアス・モンクは言いました。
『Jazz and Freedom go hand in hand.』
ジャズと自由は同義です。

演奏に於ける自由とは?
そもそも『自由』とは?

ルールが少ない事?

ルソーは
『人間は生まれながらにして自由』
と言い、
ヘーゲルは
『世界史とは自由の意識が前進していく過程』
と言いました。
なんかよく解りません(笑)。

英語の『Freedom』とは
『大らか』とか『わがまま』のような
能動的ニュアンスがありますが
『Liberty』は
『制約、制限が無い』という受動的意味合いです。

モンクに戻ります。
サクラヤのワークショップでも触れたのですが、
アメリカの公民権運動にジャズやブルースは
少なからず影響を与えました。
キング牧師の運動を黒人ミュージシャンは支援しました。
彼らこそ、常に音楽と言うフィールドで
自由を標榜し、日々戦っている人たちだったからです。

インプロヴィゼイションに於ける自由とは何か?
コード進行の縛りが無い事?
その行き着く先は『フリージャズ』です。
ジャズのメインストリームではありません。

では現代のジャズの第一線は何を志向しているのでしょう?
先日、来日して素晴らしい演奏を聴かせてくれた、
現代ジャズの巨匠、ハービー・ハンコックと
ウェイン・ショーターの演奏は所謂『フリージャズ』でしょうか?
違います。
彼らの演奏はコードもリズムも非常に複雑で
楽曲の難度も演奏クオリティも極めて高度ですが、
信じられないほど『自由』なものです。

彼らが教えてくれている『自由』とは何でしょうか?
それは如何なる局面、境遇に於いても、
自らの英知と技術を駆使して、
自分の信じた音を表現し、指標を示し、
共演者の共感と理解を獲得し、その世界を創造していく事です。
そしてその音楽は聴衆をも巻き込んで
共に新しい音楽、世界観、ビジョンを共有します。
彼らにとって自由とは創造の源泉であり、
創造過程のスタイル、メソッドでもあります。

ゆえに演奏に於ける真の自由とは、
『英知と技術によって自らが獲得するものだ』
と言えるのでしょう。
公民権運動がそうであったように。

さらに時にはルールより大事なものが有るのなら
ルールは二の次で良い事もあるかもしれません。
音楽には好き嫌いはあっても正解が無いのです。

モンクのように自分の表現したい音が、
ピアノという規制や当時の音楽理論に縛られて
表現できないのであれば
半音隣り合った音を同時に『不協和音』として
弾いてしまうという挑戦もするべきなのです。

子供は初めから文法通りの言葉は話せないかもしれません。
でも、初めから文法の正確さを要求したら、
失敗を恐れて話さなくなってしまうかもしれません。
クラシック出身の人がなかなかアドリブの一歩を
踏み出せないのは完璧さを意識しすぎ、
ミスを恥と思うように洗脳されているからです。

ジャズと言う新しい言語をマスターする為には
初めはルールを緩くして、何が言いたいのかを明確にして
極力単純に考えて、自由に表現させるのが第一段階でしょう。
次の段階は、十把一絡げの画一的な理論や手法を強制するのでなく、
その人その人の音楽観、世界観に合った理論、アプローチを見極め、
それを順序良く提供、提案していく事が、
その人の『スタイル』を構築する良き選択、早道となるのだと思います。

誰もが同じフレーズ集を覚えたらクローンロボットです。
『For You』の数だけのメソッドが必要です。
ワークショップを終え、そのような結論に達したので、
また新しい教本を書いてみたいと思います。
これは今までの日本には無いタイプのモノになると思います。 
乞うご期待!

                                                             


 

前回のあらすじ

ひょんなことから音楽活動に復帰できた私は
大手音楽教室の講師として70人以上の生徒を受け持つ事に。
そこで『アドリブをやってみたい』との要望に
アドリブ習得のノウハウを手探りながら
試行錯誤を繰り返す日々を送っていました。

アドリブを習得しようと思っても
多くの人は『どうすればよいのか』が解りません。
やる事が膨大すぎて何からどう手をつけてよいか解らないでしょう。

私も初めはそうでした。
闇雲に理論書を買って、読んで、挫折して、
コピーして、使えずに、挫折しての繰り返し(笑)。
大量にコピーをする事で感覚的に
アドリブは出来るようになってはいましたが、
自分が出来る事と教える事は別物です。

教える側になったら体系化して
誰にでも通用する再現性が無くてはなりません。

私はヒントの1つとして、
『プロはどのようにアドリブをマスターしたか?』
を調べてみようと私は思いました。

多くのプロの方を調べてみると、
『○○さんに弟子入りした』という
『徒弟制度』のパターンが非常に多かったのです。

しかもある程度の長期間、厳しい課題を与えられ、
訓練されるというパターンです。

これはサービス型レッスンには向きません。
受講生は弟子でなくお客様、
『顧客満足度』というのがKPIとなりますから
スパルタで鍛える事など無理です(笑)
30分(当時は30分が1レッスンでした)で
悩みを解決し、満足してもらい、達成感を
感じさせなくてはなりません。

そうすると目標が下がるので1レッスンが
人によっては『牛の歩み』どころかカタツムリくらいになってしまいます。
そんなレッスンが続いてモチベーションを維持して貰えるかは、
講師として悩ましい事でした。
先がなかなか見えない闇では挫折してしまいます。


『アドリブなんか教えないでジャズの曲だけレッスンしておけばいい』
と言う声も有りましたが、アドリブをやりたい人にとっては
それはすり替え、誤魔化しになります。
いまだにそういう教室は多いようですが。

『誰でも、しかも短期間で』
アドリブをマスターできるノウハウは本当に無いのか?
これは私のミッションでした。

3年後、大手をクビになった私は今の教室を立ち上げます。
よりジャズ色を打ち出した教室にした事もあり、
ジャズ好きの人が集まりました。

その頃には私自身がアドリブの習得について
ノウハウはある程度、検証され、整理されておりました。
ここでも何度か触れておりますが、アドリブ習得には
大きく分けて以下の2通りがあると分類しました。

1つは慣用句、常套句である『Lick』を多く記憶し運用する事。
これはBebopの曲のコード進行などには最適です。

『Lick』の多くがBebopで多用されるツーファイブ的な
進行に対するものですので、暗記さえすれば即戦力です。

ジャズの共通語とも言えましょう。
例えばこんなものです↓

ジャズ道場 『ツーファイヴフレーズのアナライズの巻』



もう1つは本当の即興、もしくは
『Lick』ほどシェアされていない『独自の言語(文法)』を持つこと。

これらはコード進行のパターンと言うよりも
コード単独に対してのアプローチとも言えるかもしれません。
例えばショーターのフリジアンなフレーズなどです。
※マイケル・ブレッカーのコンディミ1発フレーズなどは
もうみんなやるので『Lick』と言っていいかもしれません(笑)。

まず『Lick』に関して言えば、『Lick』だけで
アドリブを乗り切るのは大変です。
沢山覚えなければならないからです。
『Lick』に当てはまらないコード進行には使えませんしね。
ですから『部分使用』が現実的なところでしょう。

ではもう一方の『即興』ないし、『独自の言語』の構築は?

これには最低限の理論的情報知識が必要です。
深く膨大な理論は必ずしも要りません。
最低限で構わないと思います。

私はこれらを最低限の知識を
コード、スケール、ダイアトニック、ドミナントモーション(Ⅱm7Ⅴ7を含む)
くらいでよいとしています。
※拙著『ジャズ道場~初級篇~』の範囲です。

余裕があればオルタードテンションを含んだコードや
ホールトーン、オルタード、メシアンの第5旋法(MTL)などの
特殊なスケールを仕入れても良いでしょう。
※拙著『ジャズ道場~中級篇~』の範囲です。

その他、ヘキサトニックやトライアドペア等の概念は
All The Things You Areや、Stella By Starlightが
目を瞑ってでも出来るようになってからで良いと思います。

まずはシンプルに考えてシンプルに表現する事です。
例えば以下は『枯葉』の最初の4小節です。

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①は『Lick』、②はスケール、③はコードのみでの
アドリブ例です。
②や③でもニュアンスさえきちんと付ければ充分カッコイイのです。
特に③は私がレッスンで『高倉健奏法』と名付けた、
言葉数の少ないスペースを活かしたアプローチです。

実は大半のアマチュアプレイヤーはアドリブになると
『とにかく何か演奏しなくてはならない!』
という謎の焦り、義務感でやたらめったら音を出す傾向にあります。

『何を表現したいのか?』すら定まっていないのに
『とりあえず何か音を出す』ことばかりに追われてしまいます。

私はいつも『設計図』を描きましょうとレッスンで力説しています。
図面も無いのにいいアドリブの構成など困難です。

図面に『ここは○○なフレーズ』『ここは△△なフレーズ』と
定まっていれば、その発注に応じたフレーズを
脳から発送すればいいのです。


なんと簡単な仕組みでしょう!
アマチュアこそ、このシステムで作文を書くように
アドリブを構成すべきと思うのです。

『Lick』でのプレイは暗記が得意な人は向いておりますが、
私のように苦手な人は大変です。
また常に『覚えている事をプレイする』という記憶に縛られた
プレイになりがちです。
本来、ジャズは自由なはずで、みな違うはずです。
あえてみんなが覚えているフレーズを覚えてプレイしたければ
それでも良いですが『人と違う事がしたい!』と言う人は
このやり方の方が向いています。
ただし、『シンプル』は裏を返せば『幼稚』になりがちですから
表現方法や、構成にはセンスを磨かなくてはなりません。

作文や日記が書ければアドリブができる!

これが私の到達した結論でした。
私の教本『ジャズ道場』にはこんな一文が書かれております。
『アドリブ挫折者ゼロへの挑戦!』
これは私の本気のミッションなのです。





                                                             


 

前回のあらすじ

大学卒業後、ある方に出会って私はジャズに関して多くを教わりました。
それらの知識と大学時代のコピーのデータが脳みそに混在していたのが
24~26歳の頃かと思います。
当時の同世代は着々とプロとして活動し始めておりました。

そんな中、私は一度、音楽を断念します。
父親の仕事がなくなり、一人息子の私は、
両親を支えなくてはならなくなりました。

20代後半にもかかわらず『ミュージシャンを目指す』などという
中二病の甘っちょろいマインドは許されなくなったのです(笑)

私はテナー、ソプラノ、クラリネット、フルートなど楽器を全て売り、
名古屋へアパレル関係の仕事に就くために引っ越しました。
CDやオーディオ、教本なども全て売り払いました。
就職の条件が『音楽を諦める事』だったのです。


そこで色々あったのですが、本題とは関係が無いので
省略、ひょんなことから1年弱して東京へ戻り、
某大手楽器店の音楽教室のサックス講師の面接を受ける事に。

楽器が無いのでろくに吹いたことも無いアルトサックスを
後輩に借りて2週間ほどリハビリし、
無謀にもオーディションを受けに行きました(笑)。

オーディションと聞いていた私は夏だったので普通に
Tシャツと短パンで行きました。
しかし面接会場に着くとみんなスーツ着用ではないですか!!
そうですオーディションでなく『面接』だったのです(笑)。

あれほど『穴があったら入りたい』と思ったことはありませんでした。

しかも周りの人は『音大』や『芸大』出身の人達らしく、
『お~○○さん久し振り~フランス留学の時以来じゃない?』
などとみんな知り合いのようでした。

『人種が違う…』

完全なるアウェイ』
という文字が
立体になってマンガのように私の頭上にガーンと振ってきました。
母からは

『これが最後のチャンス、これに落ちたら本当に音楽は諦めなさい』

と言われておりました。
そんな最後のチャンスに私はなんと
『やらかして』
しまったのです。

他の人たちは実技で『~のソナタ』や『~のコンチェルト』など
なにやらクラシックの現代曲的な演奏をしておりました。

そんな中、私の演奏した曲は
『Donna Lee 』でした。
タイトルを行った瞬間、面接官は目が点でした(笑)

しかも無伴奏なのでアドリブといっても
アカペラで私は

『脳内リズムセクション』

で演奏したワケです。

面接官の何人がこの不可解な状況を理解したでしょう(笑)。

今、思い出しても冷や汗が出ます(笑)。

アドリブに入って2コーラス目くらいで面接官が

『あ、あの~シトウさん、これ、いつまで続くんですかね?』

と私の演奏をさえぎって聞いてきました。

『もう死にたい(涙)』

と思いつつ、
『あ、スンマセン、終ります。』

と演奏は強制終了。

パーカーを演奏したはず私の脳内では
帰りの中央線の車中ずっと
ショパンの『葬送行進曲』
流れておりました(笑)

そんなダメダメな面接でしたが、
実は私、合格しておりました。

しかし、その会社的に『音大卒以外』の採用は初めてということで
『試験(仮)採用』という『但し書き』が付きました。
試用期間内に業績が悪ければ『クビ』です(笑)。

でも、私としては音楽をやってよいという
『ラストチャンス』を得たことで、
そんな『但し書き』など微塵も気にしませんでした(笑)

サックスが吹けるだけで幸せでした。
その試用期間内に、私は幸運にも生徒を増やし、クビも免れ、
半年後には全国トップの講師にまで登りつめます(笑)
幼い頃から私の人生はジェットコースターです。

そのような業績を出せたのは必死というよりも、
私がサックスを吹ける喜びに溢れていたからでしょう。
新米の私は70名以上の受講生を担当することになりました。

そんな大量のレッスンの中で、受講生の切実な悩みに直面するのです。
『いつかアドリブをやってみたい…』
当時(2000年頃)はまだ今ほどのセッションブームはありませんでした。

教材や情報も今ほどない頃です。
それより何より、私自身がアドリブは全く『感覚的』にやっていたので
アドリブのレッスンノウハウ自体が『体系化』もされていませんでした。
人に教えられるのか?というレベルです。

ですので当時の私のアドリブレッスンは

『マイナスワンを聴きながらアドリブをスキャットしてみる』

だったのです。

スキャットができればメロディが浮かぶということですから
『それを楽器で出来ればよい』と考えたのでした。

頭に浮かんだメロディを楽器で出来るようにする練習法、ノウハウは
ここでは『内緒』(笑)ですが、
このやり方の問題点は
感(センス)がいい人に限られてしまう事です。


メロディが思い浮かぶセンスと楽器のコントロールセンスです。
これらはある方法で養う事が出来ますが時間を要します。

すぐに結果を出さねばならない企業の
『サービス型レッスン』には向かないのです。
長期にわたる師弟関係のレッスンには向いてます。

そこで私は自分の脳内でアドリブの際に何が起こっているかを
考え始めたのです。感覚的にやっていた事を
体系化し、再現性のあるノウハウに変換する作業です。

参考の為に何人かのプロのワンポイントレッスンも受けました。
プロの方は
『それは練習だよ』とか
『それはセンスだね』とか
『沢山聴けばいずれできるよ』
と正解のような、正解でないような
答えばかり返ってきました。

『アドリブの秘密、仕組みを知りたい』

この思いが24時間365日、私の脳みそを支配しました。
どうすれば誰でもアドリブを習得できるのか?
この答えを必ず見つけてやる。

そんな事ばかり考え、多くの生徒さんでテストさせてもらい、
色んな方法を色んなタイプの人に試しまくりました。
その頃、私に習っていた人、力不足ですみませんでした。
またご協力ありがとうございました。

また長くなったので今回はこの辺で。

『シトウさんはどうやって
 アドリブができるようになったんですか?』

以前、ある生徒さんからこんな事を聞かれました。

実は私自身は大学時代、
いわゆる『ジャズ研』には入っておりませんでした。
私が入っていたのは『ビッグバンド』のサークルでした。
そうです。グレン・ミラーやカウント・ベイシーなどの
『ビッグバンド』の曲の『譜面』を演奏するサークルです。

しかし、ご存知の方もおられるかと思いますが
『ビッグバンド』でも曲の中で『アドリブソロ』があるのです。

高校時代、『一応』吹奏楽部に所属していた私は、
『楽譜』はなんとか演奏できましたが
(それでもジャズは難しかったです)
『アドリブ』なんてやった事なかったのです。


先輩にアドリブを教わろうと思っても、
アドリブを教えてくれるような先輩は居ませんでした。

当時の私に出来た事はとりあえず
『参考音源のアドリブをコピーする事』
でした。

それでもその曲を知っている人は
『あれは音源のコピーだな』
とアドリブでは無いことがバレてしまいます。

なんとかアドリブが出来るようになりたいと思っていながらも、
当時は今ほど情報もなく、
誰かプロのレッスンを受けようにも、
学費と生活費の全てをアルバイトで稼いでいた私にとっては
そんな余裕も無いと諦めていました。

今思えば、なんとか無理してでもレッスンについていればよかったと
本当に後悔していますが、若さゆえの無知だったのでしょう。

それでもOBの先輩にプロで活躍されている方がいらっしゃったので
そういうOBが部室に遊びに来るとガッチリとマークして(笑)
色々教わりました。

今思えば、それらをきちんと理解できていたかも
甚だ疑問ですが(笑)なんとかコードやスケールの事などを
わずかながら学べたかと思っています。

大学3年生の時にその頃『これを読め』と言われていた
渡辺貞夫さん著の『ジャズスタディ』を買いましたが、
何が書いてあるのかさえサッパリ解りませんでした(笑)
(今でも新品のようなきれいな状態で持っています(笑))

理論の学習を断念した私は先輩の
『コピーは沢山したよ』
との言葉を信じ、ひたすらジャズマンのコピーをしまくりました。

初めは、1小節に何時間もかかりましたが、
そのうち1回聴いただけで何小節も音が採れるようになりました。
↑2行で済ませてますが、随分かかりましたよ(笑)


ビッグバンドのソロ以外で初めてコピーしたのは、
ソニー・スティットだったと思います。
その後、OBの先輩に洗脳されて
マイケル・ブレッカー→ボブ・バーグ→スティーブ・グロスマン
↑良い子はこの順番、真似してはいけませんよ!
その後やっとソニー・ロリンズ、デクスター・ゴードン、
ハンク・モブレイなどでしょうか。

本来は、コールマン・ホーキンスやレスター・ヤングなど
古い人からコピーして勉強すべきと思うのですが、
そんなことさえもわからなかったのです(笑)


勿論、コピーをしただけで一番大事な
『アナライズ』なんぞ、
一切しませんでした。
そんな事もわからなかったのです。
ですからコピーから何も学んでいない状態でした(笑)


『手癖』をつけただけでそれをいつ使うかも解らないという
本当にアホな大学生でした(笑)。


それでも沢山コピーしていると感覚的に
『あ、ここであのフレーズが使えるかも?』と思って
勇気を出して使ってみると

『奇跡的に』

ハマッたりする事があるのです。

そうするとアホな私は

『オレ、天才かも』

と思ったりしたのでした(笑)
今、私の前に当時の自分が居たら小1時間説教をしたいほどです(笑)

大学を卒業して就職もせずにプラプラとしている時、
とあるビッグバンドのトラ(サポート要員)で練習に行った時に、
私はある方に逢いました。

その方は私にジャズの多くの事を教えて下さったのですが、
そのエピソードはまた別の機会に。

ともかくその方に私はジャズ理論についても教えて頂き、
(きちんと師事したわけではないので申し訳なくて弟子とは言えません)
アホな私でもじゃずのアドリブの世界が少し見えたような気がしたのです。

が、しかし、少々ジャズのアドリブの世界が見えたゆえに

『こんなにたくさんの事をしなければならないのか!』

と理想と現実の距離に途方に暮れたのも事実です。

その後は教わった理論と、大学時代のコピーとが、
セッションと言うリアルタイムの即興と言う場で
少しずつ、少しずつ、融合、醸造していった時期がありました。

少々長くなったので今回はこのくらいにしておきます。




                                                             


 



『同じ箇所を何度も間違えてしまう癖が治らない』

との悩みをよく相談されます。
毎回#や♭を落としてしまったり、
休符を数え間違えたりなどです。

人間の脳は過去の記憶を参考に判断し、
体に命令を出します。

同じミスをする人は、実は
練習の仕方が間違っている場合がほとんどです。

あるフレーズを練習していて
『100回目にやっと出来た!』とか
『50分やってやっと出来た!』はダメです。

前者は99回間違える癖を体に叩き込んだだけ。
後者は49分も間違える癖を体に叩き込んだだけ。
です。

恐らく本番は叩き込んだ癖の方が再現されるでしょう。
人間の脳は多く経験した方の記憶を再生するように出来ています。

ではどうすればよいのか?
私は『超・安全運転練習法』を提案しています。
例えばテンポ120なら60以下に落とします。
次の音が(休符が)何の音で何拍か?臨時記号は付いているか?
解ってからその音を演奏させます。
そこで一時停止しても構いません。メトロノームは無視です。

『右見て左見て、もう一度右見て』の精神です。
次の音が正しく認識していないのに演奏するから
間違えるのですよ。それでは単なるバクチです。
しかも確率の低い。

でも、なぜ、わからないのに演奏しようとするのでしょうか?
モノホンの音源のイメージが脳内で流れているからなんとなく
出来てしまうのではないかという『謎の思い込み』です。
正確さよりもテンポや音源の記憶が優先されているのです。
目の前に楽譜があるのに。

ピントが楽譜でなく脳内の音源に合っているのです。
これを変えなければなりません。

記憶は練習中はインストールされた音源再生に使うのではなく、
練習中の覚書きの体験として使いましょう。
エピソードバッファというやつです。

『ここは毎回こう間違えちゃうんだよな』とか
『ここはこうやって練習してできるようになったな』など
リスクマネージメント、成功体験として記憶は使いましょう。

そして演奏中にそこの少し手前でぼんやり思い出せばよいです。
ボンヤリで結構。意識のピントは楽譜と自分の音へ向けましょう。

復習用に楽譜と別にメモを取るのは構いませんが、
私は楽譜に書き込むことに関しては大大大反対主義者です。
理由は
①書いただけで満足、安心してしまう。
②音符を俯瞰で読みにくくなり意識もミクロになる。
③メモの方に意識がいって周りの音が聴こえなくなる。
などなどです。
ドレミをカタカナで書くなんてもってのほかです。
書いたら永遠に読めるようになりません。
おたまじゃくし無視する練習してるんですから。

高校生の時のブラスバンドの顧問の先生から
『楽譜に書き込むな』と言われた事は今でも感謝しております。
楽譜が真っ黒になるほど書き込むと
『すっげえ練習したな』と自己満足にはなりますが(笑)、
奏者は楽譜を通して(楽譜に向かって)演奏してしまい、
周りの音を聴いて自分をどうサウンドさせるか?
という意識が希薄になります。

『楽譜の通りやってるのだからいいのではないか』
という意見もあるかと思いますが、
音楽ってそんな縦割りの分業制では無いと思うのです。
プラモデルなら設計どおりの部品を組めば完成品は出来上がりますが
それならDTMで打ち込めば済む話でしょう。
最近はニュアンスかなりつきますし。

私は音楽は生き物だと思っています。不測の事態も起きます。
リアルタイムに鳴っている音を有機的なネットワークで繋ぐ事の
面白さ、素晴らしさだと思うのです。楽譜が有ろうと無かろうとです。
それはビッグバンドでもクラシックのオーケストラでも同じではないでしょうか?

そもそも譜面をさらうという行為は楽譜という紙切れから
意識を拡大し、実際のサウンドに発展させるという
楽譜→現実の音世界という意識の『拡大』の作業と思っています。
前頭前野の情報空間で臨場感を得るという
瞑想や祈りに非常に近い行為なのです。
だから他者(聴衆)と、世界と自分が一体である(繋がる)
と感じることが出来るのです

練習中の『間違えやすい自分』を『メタ認知』する事も重要ですが、
演奏中の自分も『メタ認知』する事が大事です。
客観性や俯瞰と言ってもいいでしょう。
自分を改革するには『メタ認知』が必要と脳科学では言われます。
私のレッスンは『メタ認知』の連続です(笑)
楽譜で同じミスをする人は『メタ認知』ができていないのです。

教室の受講生の方に発表会に出ましょうとお誘いするとよく、
『まだ完璧じゃないので…』と仰る方がいます。
私は『完璧な演奏ってどんな演奏ですか?』と聞きます。
そうすると
『楽譜を間違えないように演奏する事です』
と答えます。
確かにそれはそう思うかもしれませんが、
『楽譜を間違えないように演奏する事』は
音楽のゴールでなくスタート地点です。
楽譜を『どう演奏するか?』が音楽なのです。

スタート地点をゴールと勘違いするからなかなか達成できないのです。
より高い所にゴールを設定してエフィカシーを高くすることで
ビジョンと課題が見えてきます。
先に書いた『まだ完璧じゃないので…』というのは謙虚ではあるけれど
目的達成の為には邪魔なのです。

楽譜の演奏がまだ出来ない事を批難しているのではないのです。
『こんな楽譜、自分なら1週間、いや30分で演奏できるようになるのだ』
と決めることが大事なのです。

『自分は初心者だから』『自分は楽譜が苦手だから』
このエフィカシーの低さが脳のパフォーマンスの質を下げているのです。

ですから私もレッスンでは『ここまた間違えましたよ』とは
あまり言わないようににしています。
言うとしたら
『○○さんらしくないですね~』です。

人は『貴方はいつもミスをするね』と言われ続けるよりも、
『貴方は本来はもっと優れて(素晴らしい)はずですよ』
と言われた方が伸びるのです。
子供の教育もそうでしょう。

私は『お前はダメだ』と言われて育ったので
未だにうまくいっていないのは仕方ないと
人のせいにしてます(笑)。



7月9日の記事で

『「Lick」の練習法は簡単です。ひたすら仕込むだけです。』

と書いたところ、

『簡単じゃないです!たとえ覚えたと思っても
肝心のアドリブの時に思い出せませんし!』

とのご意見を頂きました。

はい。最もです。
皆さん、それで悩んで、悔しい思いしてませんか?

皆さんは一生懸命「Lick」を覚えます。
そしてセッションで

『このツーファイブであのフレーズを!』

と思っていても、

その直前まで、バタバタと余裕の無い状態だったり、
フレーズをプレイし続けていたりで、
肝心のコード進行が来たら

『あ、あああぁ!あ! アレレ…。。。。』

と間に合わなかったりするのですよね。

もしくは
それ以前にロストしてしまったりもあるかもしれません。

もう大丈夫ですよ。
解決法、教えます。

本当は『教材で』と思ってましたが。
私のブログを読んでくれた、マニアックな方々に
感謝の気持ちとして、ここで教えちゃいます。

問題は
『覚えられない』→Inputの方法を見直す。
『思い出せない』→Outputの状態を見直す。
の2つです。

まずはInput。
人間の脳には
『脳幹網様体賦活系』(のうかんもうようたいふかつけい)
と言う器官、機能がございます。

単純に言うとフィルターのようなものですね。
脳は1日6万くらいの事柄を脳に受容しているといいます。
それは見た、聴いたなど個別化された情報、
つまりピントを合わせた情報です。

この他にもピントの合っていない情報も
脳には入ってきます。意識していない情報です。
例えば、犯罪の目撃者の記憶があいまいな場合、
催眠によってより確かな情報を引き出したりなどは
無意識にinputされた情報を手繰る作業です。

また有名な例えですが、
男性の奥さんが妊娠したりすると、
『急に町に妊婦が増えたように思う』などです。
これは急に妊婦が増えたのではなく、
『今までは自分と関係が無いから気が付かなかっただけ』
なのです。
このように『脳幹網様体賦活系』がフィルターを
かけていると情報は脳にInputされにくくなります。

つまりコツは自分と関係が『有る』か『無い』かです。
フレーズをインストールする時に
『丸暗記』は非効率です。
私はフレーズの構造を理解して覚えるか(左脳)
そのフレーズの印象から『名前をつけてフォルダ保存』(右脳)
するかのどちらかで覚えてもらいます。

これで大抵は短時間で覚えられます。

次にOutputの問題です。

まず、その『ロストしてしまう場合』から
『もっと周りの音を聴きましょう』といって
改善されるレベルの方は問題ありませんので
ここでは
『そうアドヴァイスしても改善されない人』
と言う事で話を進めます。

私がそのようなロストしてしまう人にその理由を聞くと
『プレイに夢中になってしまいました』と皆さん仰います。
『プレイしていると周りが聴けない』のです。
プレイしなければ皆さん迷子になりません。

と言う事は、
プレイに脳のCPUのかなりの部分を占領されてしまって
周りの音が聴けていないのですよね。

であるならば、
脳の5%くらいでプレイできるようにしなければなりません。

私はレッスンであるフレーズをプレイさせたい時に
Step1 楽譜を見てプレイする
Step2 楽譜を見ないでプレイする
Step3 別の事をさせながらプレイする
という順番で練習してもらいます。
Step3の別の事と言うのはYoutube動画を見せたり、
本などの活字を黙読させたりです。

そうすると5%くらいでプレイできるようになります。
本当に5%かは解りませんが(笑)

はい、これでOut Putの下準備は出来ました。

次はOut Putのタイミングです。
これは原因は2つほどに絞られます。
1つはプレイしすぎ。
フレーズ過多です。そういう人に限って
あまり意味の無い音の羅列を間断なくしていたりします。
もっとスペース(空白、休符)を作りましょう。

そもそも曲には(モードジャズやファンクを除いて)
コード進行の流れと言うものがあります。
コードにはそれぞれ機能があり、
サブドミナント(SD)、ドミナント(D)、トニック(T)
と言う流れがあります。
そのコードの機能とフレージングと言うものがあって
自然とフレーズは生まれてくるものだと考えております。

コード進行のまとまりとフレーズがリンクするなら、
あるコード進行で有るフレーズをプレイしたいと思えば、
その直前にフレーズは終始して準備しているはずです。

逆に言えばあるコード進行でフレーズがパンチインできない
と言う事はそれまでコード進行と関係なくフレージングしている
と言う事になります。
ですからコード進行とフレーズの文節をリンクさせる事で
タイミングを逸するリスクは減るはずです。

もう1つ、保険として事前に、カラオケ、マイナスワンで
そのコードの部分で必ずそのフレーズをプレイするという
練習をする事をおススメします。
その直前までムチャクチャでもきちんとでも
インプロヴィゼイションしていて、そのコードの瞬間に
左脳なり右脳なりからそのフレーズを引っ張り出せるか?
というフックアップの練習をしてもらうと
大抵本番でもできるようになります。

長くなりましたが以上が
『覚えたLickをプレイする方法』です。
以前にも書きましたが、アドリブはLickが全てではありません。
私はむしろLickは自転車の補助的に使っております。

通常はLickでない即興を心がけており、
場面転換や、Lickがふさわしい時のみに利用しています。

Lickはオートメーションでプレイ可能なので、
その間、脳には余裕が生まれます。

そんな余裕が欲しいときにLickを利用します。
アマチュアの方で練習時間の無い方は
Lickをインストールする時間が無いかもしれません。
そのような方は逆Lickに依存しない即興に
挑戦された方が良いかと思います。
スケールとコード、つまり
ドレミとドミソでアドリブが出来たらいいですよね?
そんな教本を作りました。
初級 表紙

初級 目次
初級篇の内容は
『Bbの楽器に人が『枯葉』をマスターするまで』
という設定を借りて
Cメジャーのツーファイブワンと
Aマイナーのツーファイブワンへの
対処、攻略法をまとめたものなので、
Bbの人はそのまま読めば『枯葉』でアドリブができるようになります。
CやEbの人はメジャーとマイナーへのアプローチが理解できるので、
一度、枯葉をAm(C)として学んだ後にキーを変えて考えれば
枯葉や他の曲にも応用できるでしょう。

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